こんにちは。ビジネス書評家の土井英司です。今月から、話題の新書をピックアップする新企画がスタートしました。
現在、書籍の世界でもっともホットな話題が読めるのは手軽に読める新書。今月は、“本格化する資本主義”をテーマに、現在売れている3冊をピックアップします。ぜひ最後までお付き合いください。
最初にご紹介するのは、現在の日本がモデルとしているアメリカ資本主義が陥っている貧困問題を取り上げ、話題となっている『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)。アムネスティ・インターナショナル・NY支局員を経て、米国野村證券時代に9.11同時多発テロに遭遇、以後、ジャーナリストとして活躍する堤 未果さんが、暴走した資本主義のなれの果て、アメリカの惨状を伝えた衝撃のルポルタージュです。
不法移民と低所得層を標的にし、破たんした「サブプライムローン」や国内の製造業の空洞化が生んだ格差社会、貧困がもたらした肥満、医療費の増大がもたらした新たな貧困、貧困ゆえに戦場に送られる若者たち……。
あまりに悲惨なアメリカの実態が、犠牲者たちの声とともに紹介されています。これから世界がどこへ向かうのか、われわれ日本人はどう生きるべきなのか、そしてビジネスは何のためにあるのか……。深く考えさせられる一冊です。
そして、次は、現在ビジネス書の世界でもっとも売れている著者の一人、経済評論家の勝間和代さんが書いた『お金は銀行に預けるな』(光文社新書)。
著者はもともと歯に衣着せずに語るタイプの方ではありますが、本書でも「(資本主義は)賢くない人から賢い人へお金が流れるしくみ」と言い切っています。また、著者は「家計がよりリターンの高い金融資産を持ち、労働収入にすべてを頼らない収入を持つ」ために、金融リテラシーを身につける重要性を指摘しています。本書は、投資の基礎理論と金融商品別の賢い見方や実践のヒントを提示した、入門者のための一冊です。金融に対する苦手意識を払しょくしたい方や自らの資産を賢く運用したい方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
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