2024年11月9日(土)・11月10日(日)、「中野×杉並×豊島アニメ・マンガフェス2024 in 杉並」が東京・杉並会館にて開催された。本イベントは、日本中でどこよりもアニメ制作会社が集まる“アニメのまち すぎなみ”で、アニメイベントを楽しもうと2019年から開催されている。
2022年は「映画ドラえもん 展」、2023年はTVアニメ『SPY×FAMILY』杉並アニメーションミュージアム展示と、これまでは作品にフューチャーするかたちで実施されてきた。今年は、これまで「区内アニメ制作会社PRコーナー」として実施していた展示を大幅に拡大し「すぎアニエキスポ 2024 アニメのまちすぎなみ」と銘打ち開催。区内に拠点を構える多くのアニメ制作会社を紹介しており、その中から10社が特別出展を行った。各社制作のアニメの魅力が伝わる展示が堪能できる内容となっていた。
本記事では、11月10日のイベントの様子をお届けする。
@editoranimeanime ?“アニメのまち”杉並で人気制作会社10社が出展、原画や絵コンテがずらりと並ぶ展示やアニメ制作を体験できるイベントを満喫! ?レポート記事はコチラ? https://s.animeanime.jp/article/2024/12/18/88283.html ?スタンプラリーイベント開催中! 中野・杉並・豊島のアニメ・マンガ・サブカルチャー4施設を巡って景品をゲットしよう! (令和7年1月13日まで) https://deliver.ads2.iid.jp/c/?n=11802
? オリジナル楽曲 - アニメメディア編集部の日常?
[取材・文=双海しお]
◆人気作を手掛ける10社がオリジナル展示を実施!
会場となった杉並会館は、近隣の桃井原っぱ公園や桃井第一小学校体育館で開催されている『すぎなみフェスタ2024』を楽しんできたであろう家族や、アニメファンで賑わいをみせる。
会場に入ると、まずは出展している9社が制作するアニメ作品のキャラクターたちが並ぶパネルがお出迎え。往年の人気キャラクターから、絶賛放送中の新作アニメのキャラクターまでが並び、どんな展示が楽しめるのかと期待が膨らんだ。
1階には2スペースをたっぷり使って、出展10社――A-1 Pictures、ゴンゾ、サテライト、スタジオKAI、バンダイナムコフィルムワークス、武右ェ門、ボンズ、MAHO FILM、ライデンフィルム、100studioのブースが登場。各社が趣向を凝らした展示を楽しむことができる。
絵コンテや原画が楽しめる展示が多かったのが印象的。スタジオKAIでは劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』、武右ェ門では虚淵玄(ニトロプラス)原案・シリーズ構成で話題となった2019年のWEBアニメ「OBSOLETE」や短編アニメ『風の又三郎』の原画パネルや絵コンテが展示されていた。
サテライトでは現在放送中のTVアニメ『多数欠』の原画のほか、同作のキャラクターデザインを手がける林奈美氏によるかわいいスペシャルイラストも。バンダイナムコフィルムワークスは、来場者を迎えるように『機動戦士ガンダムSEED』のキャラクターパネルが飾られていて、こちらもインパクトがあった。
A-1 PicturesブースではTVアニメ『負けヒロインが多すぎる!』とTVアニメ『NieR:Automata Ver1.1a』の原画が展示されると同時に、制作進行スタッフから作品や各カットへのコメントが紹介されていた。作り手の作品愛や細かなこだわりがダイレクトで伝わってくる。また、展示スペースの横には2025年に設立20周年を迎えるA-1 Picturesへのメッセージを書いて貼れるコーナーも。海外のアニメファンからのメッセージもあれば、まだ文字が書けない幼い子どもが一生懸命描いたイラストもあり、あらためて本イベントが地域に根ざしたものであることを実感した。
MAHO FILMでは、現在放送中のTVアニメ『青のミブロ』のEDコンテ集などが楽しめた。台本表紙集には、MAHO FILMが手掛けた8タイトルが並ぶ。「この作品もMAHO FILM制作だったんだ!」といった発見もあり、普段表に出ることのない台本表紙イラストをじっくりと堪能することができた。
筆者が訪れた際、ひときわ子供たちが「これ知ってる!」と集まっていたのがボンズブースだ。そこには『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』とTVアニメ『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』の原画パネルが展示されていた。デスクには原画パラパラ漫画も用意されていて、子供たちがしきりにパラパラしては「おぉ~」と大盛り上がり。
ライデンフィルムのブースでは、TVアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱』の25話・26話の絵コンテ決定稿が展示。抜粋ではなく丸ごと1話分、自由に手にとって読めるという贅沢仕様となっていた。
ゴンゾブースには、TVアニメ『巌窟王』の美術設定集が展示されており、1ページずつじっくりと読み込んでいる熱心なファンの姿も。展示されていた『巌窟王』と『SAMURAI 7』は、今年でアニメ放送から20周年を迎える。放送終了後も根強く愛され続ける、アニメの色褪せることのない魅力を感じられた。
一風変わったアプローチをしていたのは100studioのブース。2024年6月に公開されたばかりの映画『数分間のエールを』のグッズ販売を実施するとともに、似顔絵制作コーナーを設けていた。これは希望者の似顔絵をその場で描いてくれるというもの。杉並にあるアニメ制作会社として、似顔絵を通じて地域の方々とコミュニケーションの機会を持てれば、という思いから実現に至ったそう。親子連れなどが参加して、うれしそうに完成したミニ色紙サイズのイラストを受け取っていた。こういった光景も「すぎアニエキスポ 2024」ならではだろう。
◆ワークショップや、なみすけ撮影会もイベントを盛り上げる
会場では昨年同様、杉並区公式アニメキャラクターのなみすけのグッズ販売コーナーや、なみすけとの撮影会も実施された。これが非常に盛況で、撮影会の時間になると待機列にずらりと長蛇の列ができるほど。
グッズ販売には、キーホルダーやあみぐるみ、なみすけが印刷されたドリップコーヒー、トートバッグまで、さまざまななみすけグッズが並ぶ。会場内ではなみすけスタンプラリーも実施され、なみすけをお目当てに杉並会館を訪れた人が、ふらりと「すぎアニエキスポ 2024」の展示スペースに足を運ぶ姿も見られた。
2階では、杉並アニメーションミュージアムで人気のアニメ制作体験ワークショップを実施。自分で描いた絵を撮影して、アフレコが体験できるというもの。模写用に人気キャラクターのイラストも多数用意されていたが、子供たちは持ち前の発想力を発揮して、自分のオリジナルキャラクターを楽しそうに描いていた。
3階には常設の杉並アニメーションミュージアムがあり、イベントとあわせてこちらも楽しめた。日本のアニメ史紹介や、アニメの制作過程を紹介した展示などがずらりと並ぶ。一角にはアニメ制作を体験できるコーナーもあり、普段見ているアニメの裏側を楽しみながら学ぶことができる。入館料無料とは思えない充実の展示内容だったので、同館を訪れた際はぜひ立ち寄ってみてほしい。
同フロアでは、企画展としてアニメ『ゆるキャン△ SEASON3』展も開催中。作中に登場した「キャンプめし」がレシピとともに紹介されていたり、富士山を背景に写真を撮れるフォトスポットがあったりと、随所にこだわりを感じる企画展だ。11月2日に始まったばかりの本企画展は、2025年4月6日まで開催予定となっている。
全国に811社あるとされるアニメ制作関連会社のうち、149社が杉並にあるそう(一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート2023」より)。今回実施された「中野×杉並×豊島アニメ・マンガフェス2024 in 杉並」の取り組みからも、“アニメのまち”として、街もアニメ業界も一丸となって地域を盛り上げていきたいという想いが伝わってきた。日本の文化のひとつであるアニメを、ぜひ杉並で身近に感じてみてはどうだろうか。