以前、女装用シリコン性転換パンツを履いて用を足す、という増田を書いた。自分のブログでは書きにくい夏休みの自由研究をまとめたものだった。今回はその続きとして試した実験とそこで得られたものを書き記していく。
寒い季節になった。シリコンパンツにとって汗は大敵で、夏は蒸れてかぶれて大変なことになるということがわかった。ということで、色々試したい事があったのでアマゾンで道具を揃え、久しぶりに倉庫からシリコンパンツを取り出した。
今回の実験に備えて筆者はこの秋を通じ様々なものを準備していた。それが女性用立小便補助デバイスである。
初見の人向けに前提について話しておこう。筆者は生まれ育ちも体格も性格も男だが、いや男であるが故に、幼少期から女性泌尿器に興味があった。ここで泌尿器と強調するのは、筆者の関心が、女性に女性器があることではなく、男性泌尿器がないこと、に向いているからだ。もう少し平易な言葉を使うとすれば、「おちんちんがない、立小便ができない生物の生態」に強い興味があり、それは女性器への興味とは一線を引いているつもりなのである。
幼少期であれば異性と風呂に入ることも着替えをすることもあるが、用を足すことはない。小便小僧はあれど小便少女はB級スポット扱い。「女性の排泄」はベールに包まれている。立小便ができないから個室に入り、行列を作る女性。あの向こうで何が起きているのか。そこに知的好奇心を駆り立てられてしまったのである。
そんな筆者が出会ったのが、女装コスプレ用に男性部をなだらかにするシリコン製の性転換パンツである。これを履くことでなだらかな女性らしい体型を作る事ができ、おまけに内部に配置された管を使って擬似的な女性器からの排尿ができるのだ。この夏にこれを購入し、女性の排尿を擬似体験してみたのだ。
男性は幼少期から公共のトイレで立小便をしている。それがトイレの回転率を上げているとされているため、女子トイレの混雑対策に「女性も立小便をすればいい」と安易に考えやすい。女性が立小便をする方法として頻繁に挙がるのが、旧国立競技場にあったという女性用立小便器「サニスタンド」と、女性用の立小便補助具、そして昭和期にあったと言われる田畑で直接野小便をしていた女性の存在である。
こういう議論を言う人たちは、こうした事例が過去に社会に存在したことを理由にこれらの例を挙げ、立小便をしない女性を怠慢であるかのように語る。しかしこうしたレスバを繰り広げる人たちは、女性器から排尿する経験もなければ、サニスタンドの実物を見たことも、立小便補助デバイスを使ったこともないのである。壁式小便器で用を足す女性の話も年寄りから聞いたり、国会図書館にある古い雑誌のエッセイで見かける程度で、平成の時代には絶滅しているのではないかと想像している。
こうした話を聞いて、幼少期からの好奇心が疼いた筆者は、性転換パンツを履いて和式トイレで排尿をしてみる実験を行った。勢いのない尿が真下にドボドボと落ちた。この実験を通じて女性がトイレで擬音装置を使いたがる理由、紙で拭かなくてはならない理由に触れる事ができた。しかし所詮は擬似的なもので、本当に女性が立小便できない構造をしているのかはわからないまま、あまりの暑さに検証を中断した。
今回は別の視点で女性の立小便について検証する。確かめたいことはずばり「女性用立小便補助デバイスを使えば女性が立ちションすることは容易になるのか」である。
女性の立小便デバイスというのは、速い話が女性の局部に取り付ける漏斗で、男性の陰茎の代わりになってくれるものだ。これらのデバイスについては、キャンプ系YouTuberによるキャンプ向け簡易トイレのレビュー動画という先行研究が十分にあるのでよく見てみる。このチャンネルを見ると、女性の尿は散らばりやすく、また補助具から尿が溢れやすいという話題が出てくる。そしてレビュー結果から商品の当たり外れがかなり大きいという。あくまでもキャンプ向け用品としてのレビューだが、これらのデバイスはどれほど実用に耐えうるものなのか、疑問に思い、実験を計画した。
女性用トイレの回転率を立小便によって上げるには、男性同様に小便器を使って、ズボンを下ろさずに用を足せる事が望ましいと筆者は考えている。
そこで、女性が男性用小便器を利用できる可能性について調査してみることにする。
先行研究のレビュー動画や、過去に作られたサニスタンドの趣旨は、汚れた便座に座らない、しゃがまないなどの衛生面の観点が重要視されていた。さらに、これらをレビューしていたのは女性である。つまり生まれてからずっと和式便器にしゃがみ、洋式便器に座って排尿してきた女性が試しているのであって、その対象は草むらや女性用トイレであって、そこに小便器はないのである。
しかし筆者は男性である。男性だから男性用トイレを使うし、小便器を使って排尿する。性転換パンツで立小便を封じられても、女性用立小便デバイスを使えば、男性と同様に排尿できるはずだ。女性用立小便補助デバイスが女性にとって男性器の代わりになるのなら、それが立小便に有用であるかどうかを判断できるのは、本物の男性器を持つ男性だけなのではないか。筆者は仕事の遅れを関係各所にお詫びして回る激務の中で閃いてしまったのである。
色々語ったが、まとめると、男性用小便器を使えるのは男性と女装した男性だけなので、女性の立小便の可能性はむしろ男性が考えるべきなのではないか、ということだ。
はじめに性転換パンツを着用して、亀頭部に導尿管をつける。この取り付けが甘いと、導尿管から漏れた尿が性転換パンツの裾を伝ってくるので、慎重に行う。装着できたら、まず洋式便器に座って排尿を試してみる。ここで同尿管から排尿できればOKだ。
早速購入した漏斗を試したいところだが、いきなり小便器はハードルが高いので、まずは和式トイレのある公衆トイレへ向かった。先行研究が言うように漏れても、和式便器ならリカバリーが容易だからである。結果は良好で、無事、漏斗から前方に排尿する事ができて、使い方のコツを掴む事ができた。説明書にもあるように、排尿時に漏斗を体に密着させる必要があるのだが、これがシリコンの身体だと密着感を図る事ができず、さらに漏斗が柔らかくて形を保つのが難しいと感じた。
いよいよ小便器での実験だ。小便器の難しいところは個室の用意が難しい点である。家庭に小便器がないので仕方がない。ピンクの竿から排尿するおじさんがいたら間違いなく不審である。なんとかバレないように用を足さなくてはならないので、時間帯を選んで実験に踏み切った。
さっそく小便器の前に立ち、漏斗をズボンのチャックに差し込む。ここでハッとした。漏斗が尿道口に届かない。色々と差し込みかたを試したがうまく姿勢が作れなかった。尿道の位置が男女で違いすぎるのである。
仕方なくズボンとパンツを膝上あたりまで下ろし、性転換パンツの尻を丸出しにして排尿してみる。誰か来ないことを祈りながら立小便にチャレンジし、そそくさとズボンを履き直した。ここで改めて、小便器には紙がないので、あらかじめ生理ナプキンを下着に貼り付けて垂れを防いだ。
さて、この立小便検証の結果は、大学の試験の点数で言えば70点くらいだろう。こう評する理由は、立小便は技術的には可能だが、男性と同じように排尿すると言うと語弊が生じるからだ。
漏斗の漏斗としての機能については十分だが、小便器で使うには壁にあたるくらい、もう少し勢いが欲しいと感じる。男性の排尿は尿道の尿が膀胱に押し出されて高速に放たれ、放物線を描く。しかし漏斗は位置エネルギーで加速するため勢いがなく、漏斗の出口で渦を作って散らばる。小便器の壁まで届かないので、便器の底でばちゃばちゃと飛び散るのである。ペットボトルの水を腰の高さからどぽどぽと溢したような振る舞いしていたと言えばイメージしやすいだろうか。
つぎに良くなかった点として、女性用の漏斗と男性用の服の相性の悪さが挙げられる。ここで男女の泌尿器の構造について整理しよう。筆者の経験に基づくので改めて保健の教科書などで勉強してほしいが、女性の尿道口は男性で言うところの陰嚢の裏側にあり、男性からしたらかなり肛門に高いと感じるだろう。一方男性の陰茎は女性で言うところの恥骨の硬い部分の下から上向きに垂れ下がっていて、憚らずに言えば、いわゆる上付き、下付きの、さらに上に男性の尿道はある。つまり男性のチャック付きズボンはその上の方から陰茎を出す想定の作りをしているので、女性の尿道口にとっては位置が高すぎて、排尿姿勢を作るのが困難になってしまうのである。
筆者の知人女性から、男性の下着を借りたら前に穴が開いているのが面白くて開けて遊んだ、なんて話を聞く事があった。この位置の穴で女性は排尿できないのだ。では女性はどのような服装で排尿する必要があるのだろう。
女性の野外排尿を支援する服は、キャンプ向けなど海外ではすでに商品化されているものもあるようだが、股間を肛門あたりまで大きく開くジッパーなどが必要になると思われる。さらに下着もずらすか開ける余裕が必要だろう。それでいて、ナプキンを当てている時は血がつかないようにずれない仕組みが必要だろう。こんな矛盾したものを全部取り込んでようやく立小便できる服装が出来上がる。あるいはスカートから竿を出すためのチャックでも作るのだろうか、と思うが、筆者はこの半生スカートを履いた事がないのであまり細かいことはわからない。
ここまで考えると、女性の立小便のためにはどうしても尻を丸出しにする必要があるのではないか、と言う考えに至った。そしてこの姿を通路で見られることに抵抗がないかというと、男性でも嫌がる人がいるのだから女性には耐えられないのではないかと思う。(これは本物の女性に聞かないとわからないことだが)
結局はサニスタンド同様、立小便をするにも通路にポンと置いて丸出しで用を足すのは難しいのではないだろうか。そして個室に入って荷物を下ろしてズボンを脱いで…というルーチンを挟むと、結果として洋式トイレと変わらず、回転率を上げるという目的を達成困難なように考えられる。
もちろん、旧来の小便器が男性に特化していることもあって、女性が短時間で排尿するには専用の便器を開発すると言う方法もある。しかし過去に流行らなかったという事情を考えれば、社会を変えてしまうインフラづくりというものがいかに困難かも考慮しなくてはならない。服装と生活も変えてまで早く小便がしたいか。そこまでするよりも並んででも座って用を足すのではないか。こうした社会的のハードルも非常に高いと言うことを学んだ。
また余談だが、今回紙のないトイレでの事故防止ためにナプキンを使用した。筆者はナプキンというものを初めて手にしたのだが、ある程度水を吸っても表面がサラサラしていたので、よく見るCMの言ってることはこれだったのかと驚いた。しかししばらく歩いているとずれて足の付け根にじとっとしたナプキンが触れたり、タオルを絞るように湿り気が染み出してくるような感覚を覚えた。しばらくして脱いでみると下着の周りでナプキンがくしゃくしゃになって下着を湿らせていて、吸水するとはいえ長持ちはしないのかと知らず慌てた。生理中の女性はこれをずっとつけていると聞くが、血を一時的に受け止める道具というだけで血を吸ったら即交換が必要なのだろうか。オムツを履いていた頃の記憶などないので別の気づきを得た。
ここまで色々実験をしてさまざまな発見を得る事ができた。しかし筆者はある女性から結婚を前提とした交際を迫られているのだが、この女装趣味は墓場まで持っていかなくてはならない。交際が具体化したら女装グッズを全て処分するつもりだ。残された時間でより良い研究を試み、また機会があれば結果を発表したいと思う。
さて、この実験を通じ、トイレの壁の向こうで起きていることを双方で糾弾しても何も生まれない事がわかるだろう。男性は性転換パンツを、女性は立小便補助デバイスを、どうか一度試してみてはいかがだろう。必ずしも正確ではないが、きっと新鮮な経験を授けてくれる。それが人生に大きく価値があるかは、筆者も保証できないが。
まずは実験ご苦労さま しかしとても読みづらい・・・ 事実と蛇足的な感想が入り乱れて並記されているので情報の取捨選択が難しく内容が頭に入ってこない 「ここで男女の泌尿器の構...