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2024-03-08

麦茶を飲み続けている

妻が急逝した。

結婚5年目のことで、急なことだった。

当時の記憶曖昧だ。どういう風に葬式を行ったのかよく覚えていない。

妻は明るく快活で、いつも笑顔を絶やさない人で俺とは対照的だった。

冷蔵庫には妻が作った麦茶があった。

最後手作りがこれだと気付いたとき、なんだか滑稽で思わず笑ってしまった。

笑い止むのが恐くて、笑いながら涙が流れ続けた。

100均の容器で作ってある麦茶を俺は少しずつ飲んだ。

終わりは何ものにも訪れる。そんなことは子供でも知っている。

それでも俺はそれを認めたくなかった。

麦茶はとうとう最後の一杯になった。

酷く酔っぱらった後、最後となったコップ一杯の麦茶をほんの少し残した。

翌日、頭痛に苛まれながら起きると、コップに水を継ぎ足した。

電子レンジで温めて、ゆっくり飲んだ。これで妻の麦茶も終わり…

終わりにしたくなかった。

コップ一杯の温めた麦茶をまた少し残した。

それから水を足して温めて、コップ一杯の麦茶にした。

コップ一杯の麦茶を少し残して水を足し、レンジで温め一杯の麦茶にした。

そうして水を継ぎ足し続け、妻の麦茶を俺は今でも飲んでいる。

妻の麦茶は、今でも温かい

  • 腐ってそう

  • 嫁が死んだら俺はどうなるだろうなあ。 昔まだ結婚する前だったと思うが、もしお互いが死んだらどうするという話になったとき、「別の誰かが見つかるまでは枕元に立ってあげるよ」...

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