夏休みに観光で来日しているフランス人の学生が、どういう経緯だか友人のところに居候している。自分が帰省しているときから誘われていて、昨日こっちに戻ってきたのでさっそく飲むことになった。いろいろ面白い話が聞けたけど、ここに書いておきたいのは五輪男子サッカー三決の後のアレのこと。会話は英語(下手くそ)。
友 「フランスは五輪出てなかったけど、やっぱりEUROに比べたらどうでもいい扱いなの?」
フ 「つーかフットボール自体どうでもいいでしょ…。君たち大学生なのにフットボールなんて興味あるの?」
友 「クラブチームのゲームはほとんど観ないけどね。ナショナルチームの話はそれなりに盛り上がるかな」
俺 「ねえねえ、なでしこジャパンって知ってる?」
フ 「女子チームのことでしょ? 『なでしこ』ってどういう意味なの?」
俺 「えーと花の名前なんだけど(英語わからず)、トラディショナルな日本女性を表す言葉でもあるね。Yamato-Nadeshiko, you know?」
フ 「そうか覚えておく。結局五輪で日本は4位だったのは残念だったね。やっぱり隣国に負けると悔しいもの?」
友 「そこらへんすごく微妙だねー。ゲーム自体は文句なしに負けだったと思うけど、なんか余計なトラブルがくっついてくるのが何とも。何とも言えない」
フ 「ドクド・アイランズのアピールのこと?」
俺 「日本人と話すときはタケシマって言ったほうがウケいいのも覚えとくといいよ」
フ 「そりゃそうだなw。確かにあれはスポーツイベントで認められる行為じゃないと思うけど、そうせずにいられない事情もあるんじゃないのかな」
俺 「というと?」
フ 「気を悪くしないでほしいんだけど、日本が島々をパワーで支配しているのが紛争の種で、韓国がそれを国際的にアピールする機会にもプレシャーをかけているわけだよね? だからああいう場でゲリラ的な手段を取らざるを得ないわけで」
意外な展開に俺と友人が顔を見合わせてもじもじしていると、さらにあさっての方向へフランス人が進みはじめた。すまない、君たちを責めるつもりはないんだ。領土問題は扱いにくい歴史的な問題だし、双方の言い分があることもわかる。僕は君たちの話をフェアに聞く用意ができている、ぜひ意見を聞かせてほしい…。
俺 「あのねー、じつは武力でタケシマを支配しているのは韓国なの」
友 「大昔のことは俺も知らないけど、近代に限定すると日本の領土ということで国際的にも大方認められていて、それを戦後になって韓国がアタックして自分の領土と宣言したの」
俺 「日本は国際的な司法の場に提訴して解決を図りたいんだけど、韓国がイエスと言わないの」
友 「たぶん君が想像している旧植民地への宗主国の政治的な圧力みたいなのは、日韓関係には当てはまらないと思う。基本的に僕たちは韓国人や韓国政府が何かアピールするのを制限する手段を持ってない」
こんどはフランス人がもじもじし始めた。ちょっとよくわからないな…。その意見が正しいとすれば、韓国は不当に占領している地域について、わざわざ国際的なスポーツイベントでその存在をアピールしたということ? 俺たちも困ってしまって、この件に限ればイエス、ただし日韓には複雑な歴史的経緯があって、それを抜きにするはフェアじゃないかもしれないけどね…もごもご、としか言えなかった。
友人が沈んだ雰囲気をとりなそうと、話にわかりにくい所があるとしたら俺たちの英語にベリーハードな困難があるせいかもとおどけると、うむ、そもそも英語なんて野蛮な言語が使われるから国際紛争が絶えないんだよ、とカリカチュア的なフランスジョークでまとめてくれたので助かった。
まーほんと、理解しづらい問題だと思うねー。
来週初めまで関西にいるらしくもう一回は会える予定なので、ほかに尋ねてみたいことがあったらどーぞトラバで。ただしアニメなどの日本文化にはあんまり興味も知識もないようです。日本の実写映画(特に古いやつ)とプロダクトデザインが好きで遊びにきたらしい。
これフランスの人が墓穴掘って勝手に自分ひとりで気まずくなってるだけだろ。 無理に明るい話しようとしなくていいよ。
フランス人相手に「colonialist」って、本当に最高クラスの罵言になるのか試してみてよ。 それともありゃ60年代限定の話なのかね?