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2007-02-17

ジャイアンこと剛田武が歌う事を強く愛している事は疑問の余地がない。また彼が独自のセンスと才能をもって楽曲をつくり出していることも数々のエピソードから伺える。オリジナリティヴィジョンパッション、どれをとっても剛田武は本物のアーティストの資質を持っている。

しかし剛田少年音痴だと言われる。彼の歌は、ひょっとするとノイズアウトサイダーミュージックの愛好者には受容される余地があるかもしれない。しかしそれは彼の望むところではなかろう。彼は自分の名前を正統なポップミュージック史に書き入れたいと望んでいるのだ。だが歴史は彼のつくり出す音響を受け入れない。

剛田少年は自分の歌声を録音して聴く事もあるはずである。彼はそこで、自分の歌声の"異質さ"に気付かなかったのだろうか。気付かなかったのだとすればそれは認知の歪みによるものだろうか。そうかもしれない。だがもう一つの可能性が考えられる。剛田少年音楽観は世間一般のそれより広いのだ。通常の限界を超えた領域にも、彼の耳は音楽の歓びを聴き取ってしまう。その震えるような歓びを分け与える為に彼は歌うが、聴いた者は耳を塞いで逃げ出してしまう。

剛田少年の歓びに満ちた、しかし孤独な魂を、我々が理解できる日はくるだろうか。

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