2次形式・二次形式
のように、次数が2の多項式で表される式の形を2次形式と呼ぶ。
この形で表される多項式は、ベクトルと行列の演算を使って
の形で表すことができる。
ここで、
である。
実際に
であることを簡単な計算で確認できる。
一般化して
とすれば、
である。
たとえば
のように、3つの変数が含まれる2次形式の場合も、
とすることで、
の形で表すことができる。
ここで登場する行列は、多項式の係数によって決定されるので係数行列と呼ばれる。
よく観察するとわかるように、は実対称行列になっている。
■ 実対称行列ってなんだっけ?
実対称行列とは、成分がすべて実数の対称行列のこと。
対称行列とは、転置させたものが自分自身と同じになるもの。つまり、となる行列。
■で、このようなことを知っていると何かいいことあるの?
ここまでで説明したことは、2次形式という形をした多項式は、ベクトルと行列の積の形で表現できるということ。
多項式が行列の形で表されると、線形代数によるアプローチで、諸問題を簡潔にスマートに解決できる場合がある。
<数学>
例えば、係数行列の固有値・固有ベクトルを見ることで、元の多項式の性質を明らかにできるので・・・
・この式が幾何学的にどのような性質をもっているかを知ることができる。標準形への変換。主軸変換。(参考:EMANの物理学・物理数学・二次形式)
・ある特定のパターンのときの最小値・最大値問題を簡単に解くことができる。(参考:東工大の入試問題の解法の紹介)
<物理>
物理的な量は2次形式で表されることが多いので、この形の性質を知っておくと便利なことが多い。
・例えば、連続体内の任意の点における応力の状態は3次の応力テンソルで表すことができて、主応力は応力テンソルの固有値、対応する主応力方向は固有ベクトルとして求まる。(参考:個体の応力と変形)
<統計>
統計の分野で用いられることがある。(参考:2 次形式(Quadratic Form) 統計量の分布)
というわけで、
2次形式という特別な形で表される多項式については、その係数行列の性質(固有値・固有ベクトル)を調べると、その多項式の性質(使用する場面で異なる)を明らかにするうえで役に立つことが多い
と、まとめることができる。
参考:行列の微分と導関数
http://www.wakayama-u.ac.jp/~chen/education/adv2004/lec06.pdf
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