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全日本選手権24 女子レビュー2

全日本選手権のレビュー、最後は女子シングルの数値編です。男子と同様に振り返っていきます。

 

○総合上位6選手のショートプログラム構成

  坂本花織 島田麻央 樋口新葉 千葉百音 松生理乃 山下真瑚
1 2A 3Aq 2A 3Lz+3T 2A 2A
2 3Lz 3F 3Lz+3Tq 2A 3F+3T 3Lzq+3Tq
3 FCSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4 CCoSp4 SSp4
4 CCoSp4 3Lz+3T 3F! 3F 3Lz< CCoSp4
5 3F+3T StSq4 CCoSp4 CCoSp4 StSq4 3Lo
6 StSq4 LSp4 StSq4 StSq4 FCSp4 StSq2
7 LSp3 CCoSp4 SSp4 LSp4 LSp4 FCSp4
Base 32.65 37.71 32.33 32.53 31.29 30.59
GOE 9.01 6.79 5.00 8.81 6.62 3.00
PCS 37.26 31.08 33.72 33.38 32.88 31.54
Total 78.92 75.58 71.05 74.72 70.79 65.13

ショートからトリプルアクセルを投入してきたのは島田選手。基礎点削られる要素が1つも無く37.71という高い構成になりました。千葉選手、樋口選手も基礎点削られる要素はありませんでしたがコンビネーションの位置とスピンの構成差でトータル基礎点もわずかに差が出ています。坂本選手はスピンレベル3が1つありますが、コンビネーション1.1倍により基礎点は千葉選手を上回りました。松生選手はルッツのアンダーローテーションが響き、山下選手はステップレベル2なのと、フリップ無しでループを飛んでいることで基礎点がやや低くなっています。

加点が伸びたのはやはり坂本選手ですが千葉選手も遜色ありません。松生選手はアンダーローテーションが1つあるにもかかわらず加点を6点台稼ぎました。

PCSは坂本選手が9点平均超え。樋口選手、千葉選手、松生選手とグランプリ組は8点平均を超えています。山下選手はジュニアの島田選手を上回るPCSをもらいました。

 

○総合上位6選手のフリーの構成

  坂本花織 島田麻央 樋口新葉 千葉百音 松生理乃 山下真瑚
1 2A 3A< 2A 3F+3T 3Lo 3Lz+3Tq
2 3Lz 4T<< 3Lz+3Tq 3S< 3Lz+3T<+2T 3F!
3 2A+1Eu+3S 3Lz+3T 3Lo 3Lo 3F 3Lo
4 CCoSp4 3S+3T CCoSp4 2A ChSq1 2A
5 3F FCCoSp4 2S ChSq1 2A CCoSp4
6 StSq3 ChSq1 ChSq1 FCCoSp4 FCCoSp4 SSp4
7 FSSp4 3F+2A+2A 3Lz+2A+2T 3Lz!+2Aq 3Lz<+2T 2A+3T+2T
8 3F+2T 3Lo 3Lo+2T 3Lz<+2T+2Lo 3F+2A 3Lz+2T
9 ChSq1 3Lz 3F!q 3F< 2S 3S
10 3Lz!+2T StSq3 FCSp4 StSq4 StSq4 ChSq1
11 3Lo LSp4 StSq4 LSp4 CCoSp3 FCSp4
12 FCCoSp4 CCoSp4 SSp4 CCoSp4 LSp3 StSq4
Base 59.47 70.17 59.90 61.01 57.37 62.03
GOE 14.41 11.02 7.84 5.58 8.99 8.75
PCS 75.88 63.23 67.61 65.38 66.85 64.34
Total 149.76 143.42 135.35 130.97 133.21 135.12

島田選手は4回転がダウングレード、トリプルアクセルはアンダーローテーション、さらにステップはレベル3になりましたが、それでも基礎点70点を上回りました。2回跳ぶジャンプがルッツとフリップなのが坂本選手と千葉選手に松生選手。ルッツとループが樋口選手、ルッツとトーループなのが島田選手に山下選手です。島田選手は4回転とトリプルアクセルが1本ずつなこともあって、ルッツとフリップを2回飛ぼうとするより、セカンド3回転2本にして、3連続でダブルアクセルを2つ付ける、というのが1番基礎点を高くできる組み合わせになっています。セカンドループまで考えると少し話は変わりますが。

基礎点削られるミスが無かったのは山下真瑚選手。ショートも12位ながら上位と僅差でしたので、このフリーノーミスで大きく順位を上げました。

この上位6選手では松生選手以外の5選手はスピンオールレベル4です。樋口選手、千葉選手、山下選手はスピンステップオールレベル4 樋口選手と千葉選手はショートフリー通じてスピンステップオールレベル4でした。

この上位6選手は全員GOEはプラスとなりました。千葉選手はアンダーローテーション3つついて厳しい試合になりましたが、それでも5.58というはっきりとした加点をもらえています。

PCSは坂本選手が圧倒的。樋口選手は8.5平均に近いところまでもらいました。松生選手、千葉選手、山下選手も8点平均超え。島田選手は8点に少し欠けることになりました。

 

○総合7~12位の選手のフリーの構成

  渡辺倫果 住吉りをん 三宅咲綺 和田薫 吉田陽菜 青木祐奈
1 3A 2A 3T+3T 2A 3Aq 2Lz
2 3Lo+3T 3Lz+2T 3F 3Lz+3Tq 3F! 3T
3 3F CCoSp4 2A+1Eu+3Sq 3F! 2A+3T 3S
4 3Lz+2A 3Lo FSSp4 CCoSp4 2Lo 2A
5 FCSp4 3S< LSp4 3Lo ChSq1 CCoSp4
6 3Lz< ChSq1 2A ChSq1 FCCoSp4 2A+1Eu+3F
7 2A+1Eu+3Sq 3Lzq+3T< ChSq1 3S+2A 3Lzq+3Tq 3Lz<
8 3Lo 3F+2A+2T 3Lz! 3F!+2T+2T 3Lzq 3F<+3Lo<
9 ChSq1 FCCoSp4 3Lo 3Lzq 3S+2A+2T FCSp4
10 StSq3 3F< 3S+2T FCSp4 CCoSp4 ChSq1
11 FSSp3 StSq4 StSq2 StSq3 StSq2 StSq4
12 CCoSp3V LSp4 CCoSp4 LSp4 SSp4 LSp4
Base 65.44 61.18 57.94 62.84 64.99 54.38
GOE 4.78 3.76 7.42 7.16 -0.49 4.73
PCS 62.37 64.01 62.65 58.93 62.35 65.89
Total 132.59 127.95 128.01 128.93 126.85 124.00

この領域にもトリプルアクセルが2人います。渡辺選手はクリーンに決め、吉田選手はqが付きましたが基礎点は満額です。渡辺選手はルッツのアンダーローテーションの他、終盤のスピンステップのレベルで基礎点削られたものの65.44という高い基礎点になっています。吉田選手はループが抜けて2回転になったこととステップレベル2があっても64.99でやはり高難度ジャンプ無し組より高い基礎点になります。住吉選手は今回4回転トーループを回避しましたが、アンダーローテーション3つついて61.18という基礎点になりました。和田薫子選手はステップレベル3以外は基礎点削られることなく62.84と高難度ジャンプ無しとしては高い側の基礎点になりました。三宅選手はステップレベル2があって57.94 青木選手はルッツの2ミスに最後の根性コンビネーションが2つアンダーローテーション取られて基礎点54.38と少し苦しい展開になりました。

2回跳ぶジャンプはルッツとフリップが住吉選手、和田選手、青木選手、ルッツとループが渡辺選手、ルッツとトーループが吉田選手で、三宅選手はサルコウトーループになります。三宅選手は基礎点削られたのはステップレベル2だけでしたが、ジャンプの構成がやや弱く、ノーミス基礎点が低いという現実がありました。

ここの6人では渡辺選手以外の5選手はスピンオールレベル4、住吉選手と青木選手はスピンステップオールレベル4です。住吉選手はショートフリー通じてスピンステップオールレベル4でした。

上位12選手中フリーのGOEマイナスは吉田選手のみです。ジャンプでq4つに!2つ付いていて、加点が稼げませんでした。三宅選手、和田選手は加点を大きく得ました。

PCSは青木選手と住吉選手は8点平均超え。国際経験の無い三宅選手がグランプリ組の渡辺選手と吉田選手を上回るPCSをもらっています。ジュニア組の和田選手は7点台前半平均と抑えられました。

 

○世界ジュニア代表を争った6人のフリーの構成

  和田薫 中井亜美 村上遥奈 櫛田育良 岡万佑子 岡田芽依
1 2A 3A+2T 3Lz 3Lz!+3T 3Lz+3T 3F!+3T
2 3Lz+3Tq 3Aq 3S+3T 3S 3A< 3Loq
3 3F! 3Lz 3F FCCoSp4 3F FCCoSp4
4 CCoSp4 FSSp2 2A 3Lo 3Lo 3S
5 3Lo ChSq1 CCoSp4 2A CCoSp4 2A
6 ChSq1 2A StSq3 CCoSp4 ChSq1 3F!+2T
7 3S+2A 3Lz+1Eu+3S 3S+3T StSq4 3F+2A+2A 3Lz
8 3F!+2T+2T 3Lo ChSq1 3F+2A 3Lz StSq2
9 3Lzq 3F!+3T 3Lo 3Lz!< 3S+2T LSp4
10 FCSp4 StSq3 2A+2T+2Lo 3F+2T+2Lo StSq2 ChSq1
11 StSq3 CCoSp4 FCCoSp4 ChSq1 FCCoSp4 3Lz+2A
12 LSp4 LSp3 FSSp4 LSp3 LSp4 CCoSp4
Base 62.84 68.61 60.97 62.68 67.74 61.17
GOE 7.16 2.80 8.57 2.11 2.97 4.76
PCS 58.93 56.89 53.41 57.89 51.40 52.55
Total 128.93 127.30 122.95 122.68 121.11 118.48

世界ジュニアを争った6人ということで、すでに代表内定済みの島田選手は外しています。

トリプルアクセルを2本入れた中井亜美選手は68.61という高い基礎点となりました、トリプルアクセルを1本入れてアンダーローテーションの岡選手が67.74とそれに続きます。中井選手と岡選手でそれほど差が無いのは、シークエンスでダブルアクセル2本を岡選手がうまく使ったことにもよります。和田選手と櫛田選手はルッツとフリップ2本で62点台の基礎点です。岡田選手はルッツフリップ2本ですが、2連続が3つで3連続が無いことで和田選手や櫛田選手より基礎点が下がりました。村上選手はサルコウトーループ2本なのでノーミス基礎点が他の選手よりやや下がります。

和田選手、櫛田選手、岡選手、岡田選手はスピンオールレベル4でした。

加点は村上選手が1番稼ぎました。和田選手も7点台とかなり稼いでいます。中井選手と岡選手は基礎点でリードしていてGOEはそれほどは稼げなかった形です。結果的に基礎点劣る村上選手が技術点ではそれほど差が付かなかった形になりました。

PCSは和田選手と櫛田選手に中井選手までが7点台平均を出しました。村上選手、岡田選手、岡選手は50点台前半にとどまっています。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(フリー滑走23人)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 坂本 花織 228.68 113.14 62.82 12.81 24.54 15.37
2 島田 麻央 219.00 94.31 78.58 7.09 26.31 13.71
3 樋口 新葉 206.40 101.33 63.03 4.69 22.06 15.29
4 千葉 百音 205.69 98.76 63.64 3.67 25.88 14.74
5 松生 理乃 204.00 99.73 59.56 5.45 24.25 15.01
6 山下 真瑚 200.25 95.88 64.72 4.56 21.54 13.55
7 渡辺 倫果 198.55 93.47 70.30 1.91 20.43 12.44
8 住吉 りをん 197.53 95.46 63.81 0.15 24.24 14.87
9 三宅 咲綺 196.55 94.20 60.23 7.58 22.97 11.57
10 和田 薫子 195.63 87.77 66.37 4.82 24.43 12.24
11 吉田 陽菜 195.27 93.89 68.68 -2.38 22.55 12.53
12 青木 祐奈 194.07 98.76 58.01 0.90 21.90 15.50
13 河辺 愛菜 190.23 92.18 63.30 -0.73 22.84 13.64
14 櫛田 育良 187.14 86.63 65.61 -0.38 21.37 13.91
15 中井 亜美 182.50 84.01 67.51 -1.73 21.23 12.48
16 岡 万佑子 181.82 76.38 71.67 0.95 23.09 10.73
17 村上 遥奈 180.21 78.69 62.04 5.24 22.55 11.69
18 岡田 芽依 179.76 78.78 65.16 1.47 23.53 10.82
19 白岩 優奈 178.72 84.38 63.81 -0.05 21.41 11.17
20 江川 マリア 173.93 85.45 55.24 2.98 18.47 11.79
21 大庭 雅 163.19 82.06 49.33 -0.03 20.35 11.48
22 平金 桐 149.42 74.55 44.38 -2.15 22.87 9.77
23 永見 千代乃 149.22 72.36 46.41 0.22 19.49 10.74

PCSは坂本選手が圧倒。もう一人樋口選手も100点超えています。坂本選手と島田選手はPCSで18.83と大きな差が付きました。技術点は島田選手の方が上回っています。

ジャンプの基礎点は島田選手、岡選手とジュニア勢が上に2人並んで、その次に渡辺倫果選手が来ます。その他氏の吉田陽菜選手、5番目の中井亜美選手までトリプルアクセルが入っていました。トリプルアクセル無し組では和田薫子選手の66.37が最高です。

ジャンプのGOEは23選手中16選手がプラスです。ここにこのようにプラスが並ぶと試合全体の印象が良くなります。二桁稼いだのが坂本選手。2番目は三宅咲綺選手でした。島田選手が3番目。ジャンプで得た得点で並べると当然島田選手が1位で、2位に坂本花織選手がいて、次に岡万佑子選手が来ます。4番目に渡辺倫果選手で、5番目の和田薫子選手までが70点を超えています。

スピンは島田選手がただ1人の26点台。千葉選手も25点台で続きます。24点台で坂本選手、和田選手、松生選手に住吉選手といます。

ステップ系要素は青木祐奈選手が15.50で最高評価でした。坂本選手、樋口選手、松生選手が15点台で続きます。上位の中でスピンステップで伸びなかったのが渡辺倫果選手。山下選手、松生選手、千葉選手まで、スピンステップで同じ点数取れていたら勝てていたわけで、4位になっていたら4大陸はあったであろうことを考えると、チャンピオンシップにつながらなかった敗因はスピンステップ、ということになるでしょうか。

 

○4回転トーループ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 島田麻央 2 4T<< F<< 4.20   -2.10 2.10 -5.000

今季4回転トーループに挑んだのは島田麻央選手ただ1人でした。残念ながらダウングレードの転倒となっています。

 

トリプルアクセル

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 渡辺倫果 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
FS 中井亜美 1 3A+2T   9.30   0.57 9.87 0.778
FS 島田麻央 1 3A< < 6.40   -0.37 6.03 -0.556
SP 島田麻央 1 3Aq q 8.00   -0.80 7.20 -1.000
FS 中井亜美 2 3Aq q 8.00   -1.14 6.86 -1.333
FS 吉田陽菜 1 3Aq q 8.00   -4.00 4.00 -4.889
FS 岡万佑子 2 3A< F< 6.40   -3.20 3.20 -5.000

トリプルアクセルは5選手が構成に入れてきました。GOEプラスで成功したのは渡辺倫果選手と中井亜美選手の2人です。島田選手のフリーはアンダーローテーションながら平均GOE-0.556でわずかなマイナスというあまり見ない形でした。島田選手のショートと中井選手の2本目はどちらもqついていますがしっかり降りていました。

吉田選手はqが付いてのステップアウトということで得点はあまり入らず。岡選手はアンダーローテーションの転倒となっていて残念な形でした。

 

○セカンド3Lo

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 青木祐奈 1 3Lzq+3Lo q 10.80   -0.25 10.55 -0.556
FS 青木祐奈 8 3F<+3Lo< <|< 8.98 x -1.70 7.28 -4.000

セカンドループは青木祐奈選手のジャンプ。ショートは成功に見えましたがルッツでqを取られました。フリーは冒頭はいらなかったのでなしかと思いましたが、最後のジャンプに気合で入れ込んでいます。ただ、アンダーローテーション2つという判定になりました。

昨季は大庭雅選手がループループを入れていましたが今期は入れず。また、白岩優奈選手がジュニアの頃3S+3Loというのをよく飛んでいましたが最近は見かけません。青木選手がもし去ってしまったら、国内外でセカンドループを飛ぶトップ選手がいなくなってしまうかもしれません。

 

○セカンド3回転で平均GOE+2.000以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 三宅咲綺 1 3T+3T   8.40   1.56 9.96 3.667
SP 坂本花織 5 3F+3T   10.45 x 1.82 12.27 3.444
FS 三宅咲綺 1 3T+3T   8.40   1.26 9.66 3.000
SP 千葉百音 1 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
FS 島田麻央 3 3Lz+3T   10.10   1.69 11.79 2.778
FS 島田麻央 4 3S+3T   8.50   1.23 9.73 2.778
SP 島田麻央 4 3Lz+3T   11.11 x 1.60 12.71 2.667
FS 千葉百音 1 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.667
FS 河辺愛菜 1 2A+3T+2T   8.80   1.14 9.94 2.667
FS 吉田陽菜 3 2A+3T   7.50   1.14 8.64 2.667
SP 大庭雅 1 3S+3T   8.50   1.04 9.54 2.444
SP 江川マリア 2 3T+3T   8.40   1.02 9.42 2.444
FS 山下真瑚 7 2A+3T+2T   9.68 x 1.02 10.70 2.333
FS 村上遥奈 7 3S+3T   9.35 x 0.98 10.33 2.222
SP 和田薫 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.111
SP 村上遥奈 4 3S+3T   9.35 x 0.86 10.21 2.111
SP 白岩優奈 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
SP 松生理乃 2 3F+3T   9.50   1.06 10.56 2.000
FS 渡辺倫果 2 3Lo+3T   9.10   0.98 10.08 2.000

セカンドジャンプに3回転を入れるのは、もう女子でも標準装備されているジャンプです。

今大会の最高評価は三宅咲綺選手ショート冒頭のトーループトーループでした。平均GOE+3.667 フリーでも平均GOE+3.000を得ており、三宅選手の代名詞化しました。

島田選手はショートフリーで3本の3-3を飛びますが、すべて+2台後半と高い評価を受けています。千葉選手はショートでルッツからフリーでフリップからどちらも高評価を受けました。

 

○3連続ジャンプで平均GOE+1.000以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 坂本花織 3 2A+1Eu+3S   8.10   1.60 9.70 3.667
FS 島田麻央 7 3F+2A+2A+SEQ   13.09 x 1.51 14.60 2.778
FS 河辺愛菜 1 2A+3T+2T   8.80   1.14 9.94 2.667
FS 樋口新葉 7 3Lz+2A+2T+SEQ   11.55 x 1.35 12.90 2.333
FS 山下真瑚 7 2A+3T+2T   9.68 x 1.02 10.70 2.333
FS 青木祐奈 6 2A+1Eu+3F   10.01 x 1.14 11.15 2.222
FS 住吉りをん 8 3F+2A+2T+SEQ   10.89 x 0.91 11.80 1.778
FS 江川マリア 7 2A+3T+2T   9.68 x 0.72 10.40 1.778
FS 中井亜美 7 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.93 12.70 1.444
FS 大庭雅 6 3S+2T+2Lo   7.30   0.61 7.91 1.333
FS 吉田陽菜 9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.49 10.28 1.111

3連続ジャンプは23選手中22選手が入っていました。プラス評価が15選手。割と入らないことも多い要素なのですが、今大会ではほとんどの選手がしっかり入れることが出来ていました。

最高評価は坂本選手。ダブルアクセルから前半に入れているので比較的難易度の低い要素になっています。島田選手は今大会の3連続の中で岡選手と並んで最高基礎点になる組み合わせで1.1倍というものですがそれでも高い評価を得ました。

青木選手は3つ目にフリップという宇野選手など数少ない選手が入れる飛び方ですが今回これを+2を超える高い評価となりました。

 

○ステップレベル4

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 坂本花織 6 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.111
SP 青木祐奈 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
FS 樋口新葉 11 StSq4   3.90   1.56 5.46 3.889
FS 青木祐奈 11 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
SP 樋口新葉 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
SP 松生理乃 5 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
FS 住吉りをん 11 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.556
FS 松生理乃 10 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.444
SP 千葉百音 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
FS 山下真瑚 12 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
SP 住吉りをん 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
FS 千葉百音 10 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
SP 吉田陽菜 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
FS 河辺愛菜 5 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
SP 島田麻央 5 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
FS 櫛田育良 7 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.222
SP 櫛田育良 6 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.111
SP 中井亜美 7 StSq4   3.90   0.67 4.57 1.778

ステップレベル4は12選手が獲得。青木祐奈、樋口新葉、松生理乃、住吉りをん、千葉百音、櫛田育良の6選手がショートフリー共にレベル4です。櫛田選手はジュニアでただ一人のショートフリーレベル4でした。

最高評価は坂本選手のショートのステップで平均GOE+4.111あります。青木祐奈選手はショートで+4.000、フリーで+3.889とショートフリー共に高評価ですし、樋口新葉選手もほぼそれに近い評価を受けています。多くの選手がレベルが3になることはありますが、ショートフリーのステップでもらうGOEは似たような水準になっています。

 

○平均GEO+2.000以上のコレオ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 坂本花織 9 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.222
FS 山下真瑚 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.778
FS 青木祐奈 10 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.333
FS 住吉りをん 6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
FS 島田麻央 6 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
FS 松生理乃 4 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
FS 千葉百音 5 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
FS 樋口新葉 6 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
FS 河辺愛菜 12 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
FS 櫛田育良 11 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.667
FS 大庭雅 10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
FS 吉田陽菜 5 ChSq1   3.00   1.21 4.21 2.556
FS 白岩優奈 9 ChSq1   3.00   1.21 4.21 2.444
FS 渡辺倫果 9 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333
FS 和田薫 6 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333
FS 村上遥奈 8 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333
FS 岡万佑子 6 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111

コレオも坂本花織選手が最高評価です。それに次ぐのが山下真瑚選手。青木祐奈選手はコレオも高評価を得ていました。ジュニア組では島田選手を別にすると櫛田選手の評価が高いです。ステップもレベル4を揃えていましたし、ステップ系要素で点を取れる選手です。

ベテランの大庭雅選手、あるいは白岩優奈選手選手といったあたりがこのあたりに名前が入ってくるのはさすがだなあと思わされます。

 

○平均GOE+3.500以上の要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 坂本花織 1 2A   3.30   1.60 4.90 4.778
FS 島田麻央 11 LSp4   2.70   1.31 4.01 4.778
SP 坂本花織 1 2A   3.30   1.56 4.86 4.667
FS 島田麻央 12 CCoSp4   3.50   1.65 5.15 4.556
SP 島田麻央 6 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.556
SP 千葉百音 7 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.556
FS 坂本花織 9 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.222
SP 島田麻央 7 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
FS 千葉百音 12 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 4.222
FS 坂本花織 6 StSq3   3.30   1.41 4.71 4.222
FS 千葉百音 11 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.222
SP 坂本花織 6 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.111
SP 青木祐奈 6 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
SP 松生理乃 6 FCSp4   3.20   1.28 4.48 4.000
FS 樋口新葉 11 StSq4   3.90   1.56 5.46 3.889
FS 青木祐奈 11 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
FS 和田薫 12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
SP 樋口新葉 6 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.778
FS 山下真瑚 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.778
FS 江川マリア 12 LSp4   2.70   1.00 3.70 3.778
SP 三宅咲綺 1 3T+3T   8.40   1.56 9.96 3.667
FS 坂本花織 3 2A+1Eu+3S   8.10   1.60 9.70 3.667
SP 松生理乃 1 2A   3.30   1.23 4.53 3.667
SP 松生理乃 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.667
FS 松生理乃 12 LSp3   2.40   0.86 3.26 3.667
FS 坂本花織 2 3Lz   5.90   2.11 8.01 3.556
SP 松生理乃 5 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
FS 住吉りをん 11 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.556
SP 千葉百音 5 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
SP 樋口新葉 1 2A   3.30   1.18 4.48 3.556
SP 和田薫 5 LSp4   2.70   0.93 3.63 3.556

これまでに上げてきたものと重複も多いですが、評価の高い要素を並べています。

坂本選手と島田選手が上の方に並び、次いで千葉選手が埋めていきます。平均GOE+4を超える評価はこの3選手だけが受けました。+4のところで青木選手と松生選手が入ってきます。松生選手は+3台後半の要素が多数ありました。

上位の選手の中では渡辺倫果選手、吉田陽菜選手あたりの名前が入ってきていません。このあたりに入って来る高評価を得られるように1つ1つの質を上げていくことが、世界選手権代表への復帰、オリンピック代表への道だったりするのかもしれません。

 

女子は今回かなり質の高い試合になった印象です。大崩れする選手がほとんどおらず、フリーに進んだ選手はノーミスではないにしても各選手とも見せ場を作ってある程度の力を発揮できていたように思います。

近年は平均年齢が少し上がったでしょうか。トップ10のうち5人、ショート通過24人中では11人が大学4年生以上です。つまり来期は大学を卒業した年齢になる。大学3年生も2人いて、その2人も含めると13人はオリンピックが終わったシーズンに大学を卒業していることになります。今回の全日本で最後という選手もすでに何人もいますが、来期のオリンピックが終わったら、一気にシニアの選手たちの顔ぶれが入れ替わっていくのかもしれません。出来れば大学を卒業するところで競技にめどというのが標準コース、というのが少しづつ変わっていくといいなあと思っています。それには、トップ選手ではなく中堅くらいの、グランプリ枠を持っていないベテランが競技を続けていける環境が重要で、大庭雅選手のようなケースが増えて行ってほしい。そんなことも思う全日本でした。

全日本選手権24 男子レビュー2

今回から男子のレビュー数値編へと移ります。

 

○上位選手6名のショートプログラム構成

  鍵山優真 中田璃士 壷井達也 織田信成 友野一希 三宅星南
1 4S 4T+3T 4Sq 4T+3T 4T+3T 4S
2 4T+3T 3A 1A* 3A 4S 3A
3 FSSp4 FCSp4 FCSp4 CCSp3 FCSp4 FSSp3
4 3A<< 3F 3Lz+3T 3Lz 3A 3Lz+3T
5 CCSp4 CSSp4 StSq4 FSSp4 CSSp3 CCoSp3
6 StSq4 StSq4 CCoSp4 StSq2 StSq4 StSq4
7 CCoSp3 CCoSp4 CSSp4 CCoSp4 CCoSp3V CCSp4
Base 40.13 41.13 34.41 40.09 44.15 41.51
GOE 8.29 9.28 1.11 7.28 4.12 -2.25
PCS 44.63 39.90 38.42 37.16 41.45 35.90
Total 92.05 90.31 73.94 84.53 89.72 75.16

総合上位6選手のショートプログラムですが、様々でした。

基礎点は友野選手が最も高く44.15あります。スピンのレベルが取れていませんがジャンプは4回転2本入りで基礎点満額ありました。三宅選手は4回転1本でジャンプの基礎点満額あって41.51 鍵山選手はトリプルアクセルがダウングレードで40.13です。織田選手は4回転1本でジャンプの基礎点満額ありますが、ステップレベル2があって40.09に。壺井選手はアクセル零点により34.41と出遅れています。

出来が一番良かったのは中田選手。鍵山選手はアクセル以外はプラスで8.29あります。織田選手は全要素プラスで7.28ついています。友野選手はアクセルで大きなマイナスついて4.12まで。壺井選手はアクセルは零点なのでGOEも0でマイナスはなかったのですが、サルコウもqついていて、ジャンプがうまくいかなかったということで加点は伸びていません。三宅選手はジャンプ3つすべてGOEはマイナス側でスピンのマイナスもあって、トータルGOEもマイナスになりました。

ステップは織田選手以外レベル4 スピンは中田選手、壷井選手がオールレベル4を並べました。

PCSは鍵山選手が全体1位で、友野選手も実力者、40点台に乗せています。中田選手はジュニアながら40点近いところまで出しました。壺井選手はまずまず、織田選手はPCSはさすがに一番いいころほどは出ずに7点台中盤程度。三宅選手はミスもあって7点平均を少し超えた程度にとどまっています。

 

○上位6選手のフリー構成

  鍵山優真 中田璃士 壷井達也 織田信成 友野一希 三宅星南
1 4F 4Lo 4S+3T 4T< 4Tq 4S+2T
2 4S 4T 4S 3Lz 4T<<+REP 2S
3 4T+3T 3A+1Eu+3S 3A 3A+1Eu+3Sq 4S<< 3A+1Eu+3S
4 3A+1Eu+3S FCSp4 FSSp3 3Lo 3Lo ChSq1
5 FCSSp4 ChSq1 StSq3 ChSq1 FCSp4 3A
6 4T 3A 3A+1Eu+3S 3A ChSq1 CCSp3
7 3A 3F+2A 3Lz+2A CCoSp3 3A+1Eu+3S 3Lo
8 3F+2A 3F+2T 3Lo 3F!+3T 3F+2A 3Lz+3T
9 StSq4 3Lo CCoSp4 3Lz+2A 3A 3F
10 ChSq1 StSq3 ChSq1 FCCoSp4 StSq4 StSq4
11 CCoSp3 CSSp4 3F StSq3 CSSp4 FSSp3
12 FCCoSp4 CCoSp4 FCCoSp4 FSSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 92.31 78.91 81.64 76.37 70.58 71.23
GOE 19.39 13.41 11.45 1.52 -3.33 9.21
PCS 93.98 81.36 80.28 73.26 78.98 77.89
Total 205.68 173.68 173.37 150.15 144.23 158.33

4回転を鍵山選手は4本、友野選手は3本、中田選手と壷井選手は2本、三宅選手は2本入れようとして1本、織田選手は1本いれました。上位3選手は入れようとした4回転をほぼこなしましたが、友野選手は3本全滅、三宅選手は2分の1だけ残り、織田選手は入れた1つがアンダーローテーションとなっています。結果として鍵山選手のみ基礎点90点超え。壺井選手も80点を超えました。中田選手はセカンド3回転が入らなかった分壷井選手より基礎点は劣り78.91 織田選手は4回転以外はしっかり決めて76.37です。友野選手は4回転2つダウングレードでコンビネーション1つ入っていないことで70.58に留まります。三宅選手は4回転サルコウ2本入れば80点近かったのですが、1つが2回転になると71.23まで削られます。

加点は鍵山選手が圧倒的ですが中田選手、壷井選手まで二桁稼ぎました。微妙な差ですが技術点は中田選手より壷井選手が上です。三宅選手はサルコウ抜けで基礎点削られましたがGOEは痛まないので、他で稼いで9.21と大きく稼ぎました。演技終わって少し残念そうでしたが、これで4回転2本そろっていれば170点近い点になって4位には入れていたわけで、残念な気分もわかる気はします。

ステップレベル4は鍵山選手と友野選手に三宅選手。スピンは友野選手だけオールレベル4です。序盤に4回転全滅した友野選手ですが、後半、気持ちは切れなかった、捨てなかったのが見て取れます。

PCSは鍵山選手が90点台半ばまで出て圧倒。ジュニアの中田選手が80点台に乗せて壷井選手を上回りました。壺井選手も80点台に乗せて素晴らしいですが、滑走順が早すぎましたので、最終グループで同じ演技だったらもう少し出たかもしれません。

 

○7-12位の選手のフリーの構成

  佐藤駿 三浦佳生 島田高志郎 本草 中村俊介 西野太翔
1 4Lz<< 3A 4Lz< 3Lo 4Tq 4Sq
2 4F 3T 2T 4S 3A 3F+3T
3 4T 2S 3A+3T 4Tq 3Lz!+3T 3Aq+2T
4 FCSp4 FCSp4 3F! 3A CSSp4 3Lo
5 4T+3T 3A+COMBO+1S* CCoSp4 ChSq1 3F! FCSp3
6 3A+1Eu+3S<< StSq4 StSq3 FCSp3 3Loq CSSp4
7 3A 4T+3T 3A+1Eu+3S 3A<+REP 3Lz+1Eu+3Sq 3A
8 3Lo+2A 4T* 3Lz+2A 4T+3Tq 3Lo+2T 3Lz
9 CSSp3 ChSq1 3Loq 3F+2A StSq4 3F!+2A+2A
10 StSq3 3Lo+2A CSSp4 StSq3 ChSq1 ChSq1
11 ChSq1 CSSp4 ChSq1 CSSp4 FCSp4 StSq3
12 CCoSp4 CCoSp4 FCSp4 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4
Base 84.30 62.19 73.59 76.66 73.48 77.38
GOE -8.92 0.94 -0.34 -10.23 -5.02 -6.76
PCS 75.52 79.09 78.59 74.56 71.83 65.87
Total 148.90 141.22 150.84 136.99 140.29 135.49

4回転を佐藤選手は4本、三浦選手と山本選手は3本、島田選手は2本、中村選手に西野選手は1本入れようとしました。結局どの選手も入れようとした4回転を思い通りに決められなかった形となりました。三浦選手の最後の4回転トーループは、トリプルアクセルと3回転トーループをすでに2回飛んでいる状態で、4回転トーループが2回目になったためノーバリューとなっています。

結果として佐藤選手は4回転がダウングレード1つあるも3つは基礎点満額入ったのでトータル基礎点は84.30と80点台中盤まではありました。西野選手もジャンプの基礎点はしっかり入ったので77.38 山本選手は3連続入らずで76.66、島田選手は4回転2本で基礎点削られて73.59 中村選手はジャンプの基礎点は入りましたが、4回転とトリプルアクセル1本ずつという構成なので73.48まで、三浦選手はジャンプが全くうまくいかず62.19という基礎点に留まっています。

今回、男子はあまりいい演技が見られなかった印象になっているのですが、この7-12という中堅領域の選手たちがほぼGOEでマイナスとなっているところがその印象を強くしているように感じます。三浦選手のみGOEはかろうじてプラスがありますが、基礎点削られるミスが多すぎてのこの形ですので、やはり印象はよくありません。

PCSもグランプリシリーズでは普通に80点台を出す佐藤選手、三浦選手、山本選手が揃って70点台。島田選手は4回転以外はよかったこともあり、いつもなりの70点台後半が出ています。

 

○世界ジュニア代表を争った6選手のフリー構成

  中村俊介 西野太翔 高橋星名 垣内珀琉 朝賀俊太朗 蛯原大弥
1 4Tq 4Sq 3Lz+3T 4T< 3A+2A 3A<+2T
2 3A 3F+3T 1A 3Lo 3Lz+1Eu+3S 3A<
3 3Lz!+3T 3Aq+2T 3F 3Lz+3T 3Lo 4T<
4 CSSp4 3Lo FCSp4 FCSp4 StSq4 CCSp1V
5 3F! FCSp3 ChSq1 3Lz+2A CSSp4 3F!
6 3Loq CSSp4 1A 3Sq 2A ChSq1
7 3Lz+1Eu+3Sq 3A CSSp4 2A+3Tq+2T 3Lz+3T 3Lz+3T
8 3Lo+2T 3Lz 3Lo 3F! 2F 3Lz+2A+2A
9 StSq4 3F!+2A+2A 3F+2A+2A ChSq1 FCSp4 FSSp4
10 ChSq1 ChSq1 3S+3Tq StSq3 ChSq1 3Loq
11 FCSp4 StSq3 StSq3 FCCoSp4 3F StSq3
12 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 73.48 77.38 61.43 68.54 65.72 71.55
GOE -5.02 -6.76 4.25 -1.38 1.36 -3.13
PCS 71.83 65.87 66.24 66.59 64.67 59.73
Total 140.29 135.49 131.92 132.75 131.75 128.15

ここでは世界ジュニアの代表を今回争った選手を横並びで見てみよう、ということなので、内定済みだった中田選手は入れていません。下位の方も横に広くなりすぎるので外しました。

4回転は中村選手、西野選手、垣内選手、蛯原選手が1本ずつ入れましたが成功者はいませんでした。アクセル2本が1回転半になり、トリプルアクセル以上のジャンプが無くなった高橋選手は基礎点が伸びずに61.43 トリプルアクセル1本構成で、ジャンプが1つ抜けて2回転になった朝賀選手は65.72 トリプルアクセル無しで4回転1本がアンダーローテーションの垣内選手は68.54 4回転とトリプルアクセルが入った蛯原選手、中村選手、西野選手は70点台になっています。

加点はマイナスが多いです。高橋選手はアクセル2本のミスが痛く、基礎点は著しく削られていますが、他は良かったということでトータルGOEはプラスになりました。

PCSは19歳の中村俊介選手のみ7点平均を超えて71.83あります。中村選手と西野選手では、技術点は西野選手が上だったのですがPCS差で中村選手が上回り、世界ジュニア代表を勝ち取った形です。蛯原選手は技術点だけなら中村選手と0.04差と遜色ないのですが、PCSの差が極めて大きい状態です。

ジュニア組はPCS差が結果に大きく影響した形となりました。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(フリー滑走24選手)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 鍵山 優真 297.73 138.61 102.94 16.59 24.22 16.37
2 中田 璃士 263.99 121.26 90.44 16.61 22.88 12.80
3 壷井 達也 247.31 118.70 86.55 6.80 22.38 12.88
4 織田 信成 234.68 110.42 88.76 4.19 21.99 10.32
5 友野 一希 233.95 120.43 86.18 -4.79 19.96 14.17
6 三宅 星南 233.49 113.79 84.24 2.91 19.15 13.40
7 佐藤 駿 230.80 115.84 97.10 -11.47 20.43 11.90
8 三浦 佳生 230.09 120.83 77.94 -3.02 22.36 13.98
9 島田 高志郎 224.04 117.31 84.30 -9.46 22.59 12.30
10 山本 草太 217.09 114.87 88.36 -16.51 22.55 12.82
11 中村 俊介 214.25 106.61 85.49 -11.79 21.72 13.22
12 西野 太翔 213.07 101.28 85.71 -6.51 22.17 11.42
13 片伊勢武アミン 212.78 107.02 73.20 -0.88 20.46 12.98
14 高橋 星名 209.79 101.35 69.36 5.05 22.27 11.76
15 杉山 匠海 208.75 100.07 80.59 -2.42 20.04 10.47
16 大島 光翔 206.99 106.61 72.08 -0.73 19.05 9.98
17 垣内 珀琉 203.27 100.59 71.27 -0.69 22.29 10.81
18 朝賀 俊太朗 199.33 96.40 73.05 -2.85 20.46 12.27
19 蛯原 大弥 192.81 90.09 81.66 -6.45 17.10 10.41
20 木科 雄登 191.05 99.55 62.31 -3.32 20.69 11.82
21 植村 駿 185.97 92.26 69.11 -1.35 17.31 10.64
22 吉岡 希 181.29 99.47 71.30 -17.30 19.21 10.61
23 菊地 竜生 169.29 87.06 67.95 -10.11 16.65 8.74
24 山田 琉伸 146.49 81.37 51.18 -9.77 15.75 9.96

PCSは鍵山選手がダントツ。ただ一人9点平均を超えました。2位がジュニアの中田璃士選手。1位と2位でPCS差が17.35あります。PCS差がかなり大きく付きました。

ジャンプの基礎点は鍵山選手のみ100点超え。佐藤駿選手も97.10あって、ここはそれほど大きな差にはなっていません。ショートフリー、4回転ルッツがどちらもダウングレードだったわけですが、どちらか片方基礎点満額取れていれば、鍵山選手同等の基礎点になっていました。3番目がジュニアの中田選手。ショート1本フリー2本、という4回転の本数なので、決して多くはない中でこの順番。シニアがいかに今大会4回転が決まらなかったかが見て取れます。ショートフリー1本ずつだった織田信成選手がジャンプ基礎点4番目という状態です。

ジャンプの加点は僅差ですが中田選手が1位です。鍵山選手と2人16点台あります。その次は10点ほど差がついて壷井選手。フリーでいい演技見せましたが、ショートはなかなか残念な滑りだったので足すとこれくらいになります。高橋星名選手に織田選手が4番目5番目と続きます。ジャンプのGOE二桁マイナスが吉岡希選手に山本草太選手、佐藤駿選手、さらに中村俊介選手が来て、菊地竜生選手と5人います。

スピンは鍵山選手が24点台で1位。こういうところでも点を稼ぐ。他は22点台以下になります。

ステップ系要素も鍵真選手が16点台で1位。他は14点台以下で2番目に友野一希選手、さらに3番目の三浦選手で13.98と13点台になり、三宅選手まで13点台で5番目以下は12点台以下です。佐藤駿選手は11.90で鍵山選手と4.47差あります。スピンステップ合計で佐藤選手と鍵山選手は8.26差あります。4回転トーループが1つ2回転になっちゃいました、というくらいの差がスピンとステップでつくわけで、これはかなり大きいです。

 

○4回転のループ、フリップ、ルッツ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 鍵山優真 1 4F   11.00   4.71 15.71 4.222
FS 中田璃士 1 4Lo   10.50   1.05 11.55 1.000
FS 佐藤駿 2 4F   11.00   -2.83 8.17 -2.444
FS 島田高志郎 1 4Lz< F< 9.20   -4.60 4.60 -5.000
SP 佐藤駿 1 4Lz<< F<< 5.90   -2.95 2.95 -5.000
FS 佐藤駿 1 4Lz<< F<< 5.90   -2.95 2.95 -5.000

高難度4回転を入れたのは鍵山選手、佐藤駿選手、中田璃士選手に島田高志郎選手の4人。決まったのは鍵山選手のフリップと中田選手のループでした。佐藤選手はフリップを降りましたがGOEマイナスです。佐藤選手のルッツはショートフリー共にダウングレードの転倒、島田選手のルッツはアンダーローテーションの転倒となりました。4回転のルッツはアンダーローテーションでも降りられてGOEいくらかマイナス、という程度なら入れても問題ないのですが、ダウングレードの転倒となってしまうと、点が全然なくなってしまうので厳しいです。

 

○4回転サルコウを含む要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 三浦佳生 1 4S+3T   13.90   2.91 16.81 3.000
FS 鍵山優真 2 4S   9.70   2.91 12.61 3.000
SP 鍵山優真 1 4S   9.70   2.63 12.33 2.667
FS 壷井達也 2 4S   9.70   2.36 12.06 2.333
FS 三宅星南 1 4S+2T   11.00   1.94 12.94 2.111
SP 友野一希 2 4S   9.70   2.08 11.78 2.111
SP 三宅星南 1 4S   9.70   -0.55 9.15 -0.556
FS 壷井達也 1 4S+3T   13.90   -1.11 12.79 -1.111
SP 壷井達也 1 4Sq q 9.70   -2.91 6.79 -3.000
FS 本草 2 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
FS 西野太翔 1 4Sq Fq 9.70   -4.85 4.85 -5.000
FS 友野一希 3 4S<< F<< 4.30   -2.15 2.15 -5.000

4回転サルコウは7人が構成に入れました。GOEプラスの成功ジャンプは5人で6回。壺井選手は3本飛んでGOEプラスは1つだけでしたがあとの2つも転倒は無く、軽度のGOEマイナスに留めたのでしっかり点は取れていました。

最高評価は三浦佳生選手のショート冒頭のコンビネーションで入れたものと、鍵山選手のフリーで単独で跳んだものです。三浦選手はこの冒頭の勢いで最後まで行ければ間違いなくワールドだったのですが、後が続きませんでした。

 

○4回転トーループを踏む要素でGOEプラス

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 鍵山優真 3 4T+3T   13.70   3.12 16.82 3.222
FS 中田璃士 2 4T   9.50   2.99 12.49 3.222
SP 鍵山優真 2 4T+3T   13.70   2.99 16.69 3.111
SP 友野一希 1 4T+3T   13.70   2.31 16.01 2.333
SP 中田璃士 1 4T+3T   13.70   2.17 15.87 2.333
FS 佐藤駿 5 4T+3T   13.70   2.17 15.87 2.222
FS 三浦佳生 7 4T+3T   15.07 x 1.76 16.83 1.889
SP 織田信成 1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 1.889
SP 本草 1 4T+3T   13.70   1.63 15.33 1.778
SP 佐藤駿 2 4T+3T   13.70   0.54 14.24 0.778

4回転トーループは多くの選手が構成に入れてきましたが、GOEプラスの成功ジャンプは7人が10回成功させました。不思議なもので10例中9例がコンビネーションです。

3本成功させた選手はいません。鍵山選手のもう1本はGOEマイナス。中田選手はショートフリー共に1本ずつです。佐藤選手のもう1本はGOEマイナスでした。

この4回転トーループは何と言っても織田信成選手が37歳の全日本で決めてきた、というのが非常に大きい出来事だったと思います。

 

○ステップレベル4

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 鍵山優真 9 StSq4   3.90   1.95 5.85 5.000
SP 鍵山優真 6 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.111
SP 友野一希 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
FS 友野一希 10 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
SP 三浦佳生 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
SP 中田璃士 6 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.778
FS 三浦佳生 6 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.667
SP 壷井達也 5 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
FS 三宅星南 10 StSq4   3.90   0.89 4.79 2.222
SP 三宅星南 6 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.111
SP 佐藤駿 6 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.000
SP 中村俊介 6 StSq4   3.90   0.72 4.62 1.889
FS 片伊勢武アミン 5 StSq4   3.90   0.72 4.62 1.889
SP 片伊勢武アミン 5 StSq4   3.90   0.67 4.57 1.778
SP 北村凌大 6 StSq4   3.90   0.67 4.57 1.667
SP 高橋星名 6 StSq4   3.90   0.61 4.51 1.667
FS 朝賀俊太朗 4 StSq4   3.90   0.50 4.40 1.444
FS 中村俊介 9 StSq4   3.90   0.56 4.46 1.333
FS 木科雄登 10 StSq4   3.90   0.39 4.29 1.000
SP 山田琉伸 5 StSq4   3.90   0.00 3.90 0.000

ステップレベル4は14選手が取得し、6人はショートフリー共にレベル4でした。

鍵山選手、友野選手、三浦選手、三宅選手、中村選手、片伊勢選手の6人がショートフリーレベル4です

鍵山選手のフリーのステップは満点が付きました。ショートも平均+4.111でショートの最高評価です。それに続くのが友野選手で、ショートフリー共に+3以上を得ています。

ステップレベル4はシニアの選手が多い中、14歳の高橋星名選手がショートではレベル4をとっていました。

 

○平均GOE+2.000以上のコレオ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 鍵山優真 10 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.889
FS 本草 5 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
FS 島田高志郎 11 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333
FS 中村俊介 10 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.222
FS 三浦佳生 9 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
FS 壷井達也 10 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
FS 朝賀俊太朗 10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000

コレオの最高評価も鍵山優真選手でした。ただ一人平均+3を大きく超えています。

総合成績では振るわなかった山本草太選手、島田高志郎選手ですが、コレオの評価は高いものを得ていました。

ジュニア組から朝賀俊太朗選手も+2.000と高い評価を得ています。

 

○平均GOE+3.000以上の要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 鍵山優真 9 StSq4   3.90   1.95 5.85 5.000
FS 鍵山優真 1 4F   11.00   4.71 15.71 4.222
SP 鍵山優真 6 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.111
FS 鍵山優真 10 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.889
SP 鍵山優真 7 CCoSp3   3.00   1.11 4.11 3.667
SP 友野一希 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
FS 鍵山優真 12 FCCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
FS 本草 10 StSq3   3.30   1.08 4.38 3.333
FS 鍵山優真 3 4T+3T   13.70   3.12 16.82 3.222
FS 中田璃士 2 4T   9.50   2.99 12.49 3.222
SP 鍵山優真 2 4T+3T   13.70   2.99 16.69 3.111
SP 中田璃士 2 3A   8.00   2.51 10.51 3.111
SP 島田高志郎 5 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
SP 三浦佳生 1 4S+3T   13.90   2.91 16.81 3.000
FS 鍵山優真 2 4S   9.70   2.91 12.61 3.000
FS 友野一希 10 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
SP 本草 7 CSSp4   3.00   0.94 3.94 3.000
SP 鍵山優真 3 FSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000

ここまでに乗せてきたものとかなり重なりますが、各要素で評価の高いものを並べると、上の方は鍵山選手ばかりが目立ちます。友野選手、山本選手、島田選手、総合成績では思う結果を残せなかった選手も、自分の得意なところではやはり高い評価を得ています。

結果を出した側の選手では、壷井選手が名前が入ってこないのと、世界選手権に選ばれましたが佐藤駿選手の名前も入ってこないあたりは少し気になりました。

それにしても鍵山選手は、ジャンプ、ステップ、スピン、コレオとすべての要素で高評価を得ていて、これぞナショナルチャンピオンという様相です。他の選手は何か1つ伸ばせばいい、ということでもなく、この全体的に優れた総合力のある選手と戦わないといけないわけですから大変です。

 

 

 

 

全日本選手権24 女子レビュー1

前回の男子に続いて女子シングルの振り返りです。今回も数字を追うのではなくて感想の羅列的なものになります。

女子は、男子から一転、ノーミスぞろいではないものの、ハイレベルの大変な試合になりました。

 

○女子シングル最終結

Pl Name Nation Total SP FS 
1 坂本 花織 シスメックス 228.68 78.92 149.76
2 島田 麻央 木下グループ 219.00 75.58 143.42
3 樋口 新葉 ノエビア 206.40 71.05 135.35
4 千葉 百音 木下アカデミー 205.69 74.72 130.97
5 松生 理乃 中京大学 204.00 70.79 133.21
6 山下 真瑚 中京大学 200.25 65.13 135.12
7 渡辺 倫果 三和建装/法政大学 198.55 65.96 132.59
8 住吉 りをん オリエンタルバイオ/明治大学 197.53 69.58 127.95
9 三宅 咲綺 岡山理科大学 196.55 68.54 128.01
10 和田 薫子 グランプリ東海クラブ 195.63 66.70 128.93
11 吉田 陽菜 木下アカデミー 195.27 68.42 126.85
12 青木 祐奈 MFアカデミー 194.07 70.07 124.00
13 河辺 愛菜 中京大学 190.23 62.25 127.98
14 櫛田 育良 木下アカデミー 187.14 64.46 122.68
15 中井 亜美 TOKIOインカラミ 182.50 55.20 127.30
16 岡 万佑子 木下アカデミー 181.82 60.71 121.11
17 村上 遥奈 木下アカデミー 180.21 57.26 122.95
18 岡田 芽依 名東FSC 179.76 61.28 118.48
19 白岩 優奈 関西大学 178.72 59.00 119.72
20 江川 マリア 明治大学 173.93 61.29 112.64
21 大庭 雅 東海東京FH 163.19 57.03 106.16
22 平金 桐 法政大学 149.42 51.96 97.46
23 永見 千代乃 ノートルダム清心女子大学 149.22 51.06 98.16
  三原 舞依 シスメックス 51.94 51.94  
25 籠谷 歩未 神戸クラブ 49.52 49.52  
26 上薗 恋奈 LYSインカラミ 48.08 48.08  
27 髙橋 舞 法政大学 46.43 46.43  
28 三枝 知香子 日本大学 45.12 45.12  
29 奥野 友莉菜 駒場学園高校 44.17 44.17  

女子はショートから好演技連発でしたが、それだけにちょっとミスをすると大きく沈む展開にもなりました。昨季の世界ジュニア表彰台、今期は代表入りは厳しそうではありながらも全日本表彰台級の演技なら大逆転あるかも、というところだった上薗選手がジャンプ2ミスで全く点が伸びずのショート落ち。ジュニアはこれまでも実績ある選手が全日本に進めなかったりショート落ちしたりとありましたが、それをばねに数年後には世界選手権代表にまでなっていったりしていますので、また来期に期待です。その前にまず全中だとは思いますが。

三原舞依選手がフリー棄権。ショートは23位通過でした。それ以前に今シーズンはまったくまともに滑れてなかったですし、昨季のように全日本だけ一発当てられるか? という中での23位。怪我の状態も悪いようでは棄権もやむなしでしょうか。とにかく万全の状態での滑りをもう一回見たいです。本人はオリンピックへ出たいだろうと思いますが、ただの一ファンとしては、それを横に置いて、ナショナルだけでもいいのでもう一度万全の状態で滑る姿を見せてもらえたらと思います。紀平梨花選手も以下同文、とも思いました。

それにしても女子は全体的にレベルが高い。もう、たぶん、全日本36人にしてもいいのではないかとも思いました。ショート24位は51.06 世界選手権並みのショート通過ライン、とはなりませんでしたが、昨季は50.08だったヨーロッパ選手権並みのショート通過ラインです。

 

女子の第1グループは最後の全日本になりそうなシニアと世界ジュニアを目指すジュニアの組み合わせ。3回転2種類ながら全日本フリーまで進んできた鳥取の希望、永見選手。ショートはキダムでフリーはOというシルクドソレイユセット。キダムではなくてOの方が本郷理華さん振付なのね。最初で最後かもしれない全日本でほぼノーミス。力的に上位に行くのはやはり難しいですが、すばらしい出来だったと思います。

続いて平金選手。こちらも大学4年生、ということになっている5年生ですね。引退一年延期組。白岩祐奈選手や青木祐奈選手と同期ということになります。フリーは樋口美穂子先生の振付なんですね。ノーミスとはいきませんでした。

1人飛んで先に大庭雅選手。女子の最年長29歳。全日本は13回目。今回もしっかりフリーに進んできました。ジャンプはやはり苦労していますが、それでも取れるところをしっかり取っています。ショートではサルコウからですが3-3決めていますし。来年もお待ちしております。

この第1グループの3選手は、全日本選手権が、世界最大のお稽古事発表会、となっているのを体現している選手たちなんだなあ、と思っています。揶揄しているように見えてしまうかもしれませんが、世界の頂点を目指す選手たちだけの全日本ではなくて、幼いころから続けてきた習い事としてのスケートの発表会、という要素が色濃くあるのが日本のフィギュアスケートのある種いいところ、だと思っていて、こういう選手たちが全日本に出てくる、というのが今後も続いてくれれば、と思っています。

 

世界ジュニアを目指す中井亜美選手は、お稽古事発表会ではなく、アカデミーのエリート選手。ショートで櫛田育良選手と9.26差、岡田芽依選手と6.08差。この2人を超えていければ代表は確定的、超えられなくても僅差に迫れればたぶん勝ちです。そういう場面でどういう構成にするか? と見どころでしたがトリプルアクセル2本入れてきました。1本目は成功ですがセカンドは2回転。本音では3回転入れたかったと思います。2本目行くか行くか?行った! というアクセル、結構きれいに降りた印象ですがq判定。ただ、それだけ入れば十分。次のルッツはステップアウトですが、以降はほぼしっかり決めていき、セカンド3回転は最後にフリップに付けました。シンデレラはやはり逆転が似合うのか? と思いましたが意外とスコアは伸びず127.30 タイムオーバー減点1があったのと、PCSが7点平均の56.89 後ろに20人残っているとPCSはなかなかもらえないです。トータル182.50は微妙なスコアです。

第1グループ最後の村上遥奈選手は世界ジュニアに挑戦する権利はありますが、現状では少し遠い位置。シンプルに今日いい演技をする、というのが目標だったでしょうか。そんなシチュエーションで全要素プラス評価のノーミス。代名詞化してきた3S+3Tの2本使いも当然成功で、ショート含めて3本大成功。基礎点的にはどうしてもちょっと弱い扱いにはなってしまうのですが、こういう特徴は今後も生かしてほしいなあ、とかってに思います。フリーは自己ベスト相当の122.95を出し、トータル180.21 来期はジュニアグランプリに復帰してほしいなあ、ライバル多いけど、という演技でした。

 

第2グループに入って白岩優奈選手。最後の全日本と聞いています。3Lz+3Tバシッと決めてきました。今回はショートフリー3本のルッツ、すべてコンビネーション付きで決めています。ループとサルコウ、そっちで転ぶ?? みたいなショートとフリーでしたが、しっかりまとめてフリー119.72 トータル178.72はどちらも復帰後のベストスコア。軟化す油脂楽しそうに滑っているように見えました。こんなに楽しそうに滑る選手でしたっけ? いろいろありましたが最後はいい形で終わったと思っていいのでしょうか。ただ、こういう選手がこの年齢で辞めていく、というのがフィギュア界の大きな問題だと思っていたりします。お稽古事発表会と世界で戦う選手のはざま。フィギュア界の23歳問題、と言えるかもしれません。

 

続いて初出場、ジュニア2年目の岡万佑子選手。世界ジュニアを狙うにはちょっと難しい立場ですので、初の全日本でどこまでできるか、という試合。中井亜美選手の方がかなり目立っていましたが、昨年、ジュニア枠をフルに使っていれば岡選手も全日本に出られたはずでした。というある種因縁の試合ですが、あまり関係ないでしょうか。15歳のクレオパトラ。軟体スピン軟体コレオで有名ですけど、点を稼ぐのはジャンプ。3Lz+3Tの成功率が高くて今回も決めてきました。そしてトリプルアクセル。アンダーローテーションの転倒。どこかで決めてくるでしょうか。そういう点の取れるジャンプがある上でスピンやコレオで魅せる。でもジュニアグランプリシリーズ無かったんですが、この人も来期は見たいなあ。

フリー121.11でトータル181.82 自己ベスト相当のスコアで村上遥奈選手の上へ出て、中井亜美選手に次ぐ2番目の位置に来ます。

次もジュニアから、大逆転世界ジュニアの可能性を残す岡田芽依選手。最低でも中井選手の上へ出ることは必要で、ターゲットスコアは121.23 120点台を今期3回出しているので、そこまでは行けるのではないか、と思われたのですが、意外とスコア伸びず。遠目にはミスなく見えたのですが3連続が付かなかったので少し技術点がいつもより低いのと、PCSが52点台と厳しく取られてフリー118.48 トータル179.76となりこの時点で4位。世界ジュニアは無しです。

次は東日本チャンピオンの江川マリア選手。ショート15位ですが全日本で初の60点台を出していて上位との差は小さくトップ10が見える状況。プレッシャーあったでしょうか。印象は悪くない演技なのだけど、ジャンプで2つの抜けはこの位置の選手にとっては痛くてフリー112.64 トータル173.93は9人終わって6位。強化指定選手に残るのはちょっと苦しくなりました。

続いて国際大会復帰を目指す河辺愛菜選手。ショートの6分間でぶつかった2人が仲良く続けて出てきます。トリプルアクセルに行きそうな雰囲気を携えた入りの滑りからのダブルアクセルからの3連続、好きです。見た目ノーミス。ただ、最後のフリップはアンダーローテーション付いていました。こうなるとショートのフリップ転倒が痛かった。フリー127.98はあの表彰台に乗った全日本以降の3年間でのベストスコア。トータル190.23と190点に乗せてトップに立ちます。樋口先生とはだいぶあっているようでなによりです。

前半最後は世界ジュニア代表争い、注目の櫛田育良選手。残り1枠を争う中井選手を超えるには118.05でいいですが、やや不利な側の立場なので点差をつけて順位も差を付けたい立場です。派手なミスはなかったですがステップアウトが2つ。全体的に全日本ジュニアの方がよかったかなあ、という印象で122.68でトータル187.14 中井選手の上に出て12人残して2位。もう少し欲しかったですが、最低限の結果は残して代表選考待ちとなります。

 

女子は前半グループから上位と遜色ない演技が多く、もうおなか一杯、みたいな感じですが製氷を挟んでまだ半分あります。今期は前半から190点超えが出ました。

後半は山下真瑚選手から。ショート65点出しても12位。上位とは差が無い状況です。ここでスピンステップオールレベル4で全要素減点なしという素晴らしい滑りを見せました。フリー135.12でトータル200.25 2018年のスケートアメリカ以来6年ぶりに200点に到達しました。11人残して早くも200点超えが出る、とんでもない展開になってきました。

次は、ここから世界選手権の代表争い、渡辺倫果選手が登場。今期本人初、今日2人目、トリプルアクセル決めてきました。コンビネーションも決め、前半完璧。これは来た! と思ったのですが後半失速。ジャンプ終わった後は疲れの色がかなり濃く出ていたように感じます。もう少し出たと思ったのですが、フリーは132.59 トータル198.55で10人残して2位。逆転世界選手権は厳しくなった印象です。PCS62.37は少し厳しい印象ではありましたが、後半の疲れがPCSにも効いたかなあ・・。それにしてもブエノスアイレス、派手な曲はやっぱり似合う。

世界ジュニア代表争い、最後の登場が和田薫子選手。ただ、すでにほぼ当確という立場です。櫛田選手の上に残れればそこで完全勝利。ターゲットスコアは120.45 今回も遠目にノーミス出してきました。ただ判定はフリップで2つ!が付き、qも2か所あります。フリーは128.93でトータル195.63 印象は200点でしたがそこまでは出なかったものの、櫛田選手や中井選手をはるかに上回って9人残して3位。世界ジュニアを確定させます。

世界選手権代表争い2人目、吉田陽菜選手登場。トリプルアクセルは3人目の成功とはならずステップアウト。それだけなら十分だったのですがqもついてGOE-5となって残念な結果に。そこまでなら織り込み済みですが、ループが抜けて2回転になったのが痛かった。後半もqが並んで印象ほどスコアが伸びずに126.85でトータル195.27 僅差ですが8人残して4位。世界選手権代表はこちらも厳しくなっています。

国際経験のない選手でショート最上位に来たのが三宅咲綺選手。2年前はショート5位からフリーでつぶれましたが今回はどうか? 3T+3T デールマンさんほどとはまだ行かないですが代名詞化してきたんでしょうか。ただ、基礎点的にはどうしても弱い現実はあります。黒、似合いますね。3連続だけオーバーターン入りましたが、全体的にはいい印象。大学4年生、国際経験なし、という選手がこれだけの演技が出来てしまう、恐ろしい国。フリー128.01 PCSは62.65で自己ベスト相当。でトータル196.55は自己ベストで7人残して3位。全日本最高位は確定です。大学4年生ですが、辞める云々聞かないですし、3人でオリンピック行くんだよ、と中野先生に言われたりもしているようなので、来期も滑りますかね。NHK杯地元枠争いに参戦することになるかと思います

 

世界選手権代表争い3人目、住吉りをん選手が第3グループ最終滑走に出てきます。ファイナルには残っていないもののグランプリ2戦は200点台。4位までなら1.47差で何の問題も無く射程圏内です。冒頭、単独ダブルアクセルは、あれ? という印象。いつもはセカンド付けていましたが、後半に持っていく勝負構成なんでしょうか。2つ目の4回転トーループは回避。ルッツに2回転をセカンドで付けます。序盤順調だったのがサルコウで転倒。これがまずもったいなくて、そこから勝負の後半。後半、何とか頑張ったと思ったんですが、判定としてはアンダーローテーション2つついていました。スコアが出るまで分からない、僅差の勝負でどうか? というところでフリー127.95でトータル197.53 6人残して3位。渡辺倫果選手の下となると世界選手権は厳しそうです。

 

 

6人を残して首位は山下真瑚選手。2位渡辺倫果選手、3位住吉りをん選手。すでに190点以上が7人。195点から200点に6人いる、僅差でレベルの高い試合になっています。

最終グループは青木祐奈選手から。世界選手権の代表争いでは表彰台に乗らないと権利が無いので厳しいですが、滑り終わった時点で首位に立てれば4大陸は見えてきます。冒頭、コンビネーションのはずがルッツが抜けて2回転。あー、っと頭を抱える出だしですが、次の3つのジャンプは決めてきます。コンビネーションが全部後半になるコース。3つ目フリップの3連続をきれいに決めたのでまだ十分チャンスがあったのですが、次のルッツ転倒が致命傷。だめだー・・・、という場面でしたが最後のフリップにセカンド3回転ループ付けました。見るからに回転は足りていなかったものの、そこで付けるか、という驚きのリカバリー。後半ルッツに付けるリカバリーは時折ありましたが、最後のフリップに付けてきたのは初めてのことで驚きでした。セカンドループの青木祐奈の面目躍如。スコアはルッツ2本ミスありながらも124.00まで出してトータル194.07 5人残して7位。ルッツ2本ミスしてもこのスコアというのが成長のあかしで自身の国内最高スコアでしたが、この僅差の中でルッツ2本ミスすると順位は上がってこない。初チャンピオンシップはならず。

 

続いて世界選手権代表を狙う位置にいる松生理乃選手。ノーミスペースで進んだのですが最後のサルコウが2回転に。なんか今日サルコウミスの選手が結構いるなあ、という印象。結果的にコンビネーションで2つアンダーローテーション付いてもいましたが、フリー133.21でトータル204.00 ここで首位に立ちます。4大陸以上はほぼ確定的。あとは初ワールドが来るかどうか。残り4人、シニアは3人。

復活の樋口新葉選手。代表選考では現在3番手。ここで首位に立てば事実上世界選手権確定と言えます。いやあ、貫禄の演技でした。さすがオリンピアン、さすがメダリスト。でもやっぱりここでもサルコウが抜け2回転。なんでみんなサルコウミスするかなあ。ただ、それはそれとして、何かが籠っている演技でした。なんだろう。3回目の全盛期が来た、というような印象でした。フリー135.35でトータル206.40 首位に立ち、世界選手権代表はほぼ当確です。

残り3人。昨年2位の千葉百音選手。首位に立つには131.69で十分。今期の実績からすると問題なく出せるスコアで、本人としてはそこではなく逆転優勝を目指していたかと思います。冒頭、極上の3F+3Tが入って、次のサルコウで転倒。なんでみんなサルコウミスするかな。それでも後決めていけば問題ないのですが、後半、頑張って頑張って頑張ったけど、回転足りないよね、という判定で微妙なスコアに。点が出るまでどこに入るかわからなかったですが、フリー130.97でトータル205.69は2人残して2位。表彰台が厳しくなりましたが、世界選手権代表は当確と言える位置に入りました。

残り2人。代表選考無関係な島田麻央選手。ただ、初優勝が懸かる試合であり、本人も最初からそれを狙っていて気楽ではない試合かと思われます。Mado kara mieruフィギュア界の希望。トリプルアクセルはアンダーローテーション付くけれどGOEはほとんど削られないという珍しい点が付きます。Mado kara mieruこれから我が世の春を迎える山不如帰はまだうまく唄えない。4回転トーループはダウングレードの転倒。初鰹はこれから旬を迎える象徴。3回転-3回転を2つ続けて決めていきます。秋、スピンにコレオ、冬、ジャンプを3つ。Mado kara mieru ステップ、スピン。Mado kara mieru フィギュア界の希望。フリー143.42 トータル219.00 これは勝ったか???

 

最終滑走、坂本花織選手、シカゴ。4連覇へのターゲットスコアは141.09 世界ジュニアチャンピオンと世界選手権チャンピオンの決戦。ジャパンスーパーカップみたいなものでしょうか。さすがに強い。2試合連続で崩れるということはなくジャンプ次々と決めていく。あれ、でも、3-3入らなかった。でも強い。演技構成基礎点が高すぎる。強い。これはこっちの勝ちか。全日本はわりとPCS渋いけれど、昔から最終滑走には気前よく出す傾向もあるし。ということでフリー149.76のトータル228.68 しっかり4連覇となりました。いやあ、PCS75.88は出しすぎにも思うけど、これ見せられたら出しちゃうなあ。

 

割と点が出にくいのが全日本ですが、今回は200点超えが6人、190点超えが13人も出ました。昨季の世界選手権、200点超えが4人、190点超えが8人ですからそれを大きく上回ります。普通の国ならナショナルボーナスだしまあ、みたいな気分にもなるんですが、全日本はそうでもないので、これは驚きです。190点出したのに13位になった河辺愛菜さんなにもなしですよ。200点出しても山下選手はチャンピオンシップ派遣なし。どんなレベルなんでしょうこの国。

 

世界選手権代表は坂本花織選手、千葉百音選手、樋口新葉選手。もめる要素ゼロで決まりました。補欠は松生理乃選手、住吉りをん選手、吉田陽菜選手。あれ、渡辺倫果選手は?? と思いましたが、グランプリシリーズの成績が優先されたようです。

4大陸の代表は樋口新葉選手に千葉百音選手と松生理乃選手。2人が世界選手権と重複。久々復帰の樋口選手はともかく、千葉選手はワールドだけでも良かったように感じます。補欠は住吉りをん選手、渡辺倫果選手、山下真瑚選手。住吉選手はダブルで補欠です。

世界ジュニア代表は島田麻央選手、和田薫子選手に中井亜美選手が選出されました。全日本順位よりジュニアグランプリファイナルが優先されたようで、櫛田育良選手、岡田芽依選手に村上遥奈選手が補欠です。

事前に決まっていましたがワールドユニバーシティゲームズは千葉百音選手、住吉りをん選手、吉田陽菜選手が代表で、渡辺倫果選手、松生理乃選手、三宅咲綺選手が補欠。アジア大会は坂本花織選手に吉田陽菜選手が代表で、千葉百音選手、住吉りをん選手、松生理乃選手が補欠となっています。

ついでに、オリンピックプレ大会には坂本花織選手が出るそうです。

 

これ、吉田陽菜選手がワールドも4大陸も入っていないので、世界ジュニアを希望していたらどうなっていたんでしょうね。世界選手権やオリンピックの代表経験があると、世界ジュニアには出ない、という不文律でもありそうではありますけど。

全体として補欠まで含めるといろいろな選手が入っていますが、それでも青木祐奈選手と河辺愛菜選手は何もなしでした。三宅選手も事前に入っていたワールドユニバーシティの補欠だけ。あとちょっとのところにいたわけですが、190点超えて何もなしは厳しい。青木選手に至ってはグランプリ表彰台実績もあっての194点でも何もなし。でもこの並び見ると何もなしでも確かに仕方なくなっちゃうんだよなあ、と納得感はある。チャンピオンシップの枠も足りなければ、グランプリシリーズの枠も足りない、という事態になってきています。この辺の、シニアの10番手前後の選手たちの層が分厚くなってしまっているので、この辺の選手たちの活躍の場をこの先確保していかないといけないんだろうなあ、というようなことも感じた全日本選手権でした。

全日本選手権24 男子レビュー1

今回は数字を追うのではなく、単なる感想の羅列になっています。まずは男子です。昨年は史上まれにみるハイレベルでしたが、今年はそうは言い難い試合展開になりました。

 

○男子シングル最終結

Pl Name Nation Total SP FS
1 鍵山 優真 オリエンタルバイオ/中京大学 297.73 92.05 205.68
2 中田 璃士 TOKIOインカラミ 263.99 90.31 173.68
3 壷井 達也 シスメックス 247.31 73.94 173.37
4 織田 信成 大阪スケート倶楽部 234.68 84.53 150.15
5 友野 一希 第一住建グループ 233.95 89.72 144.23
6 三宅 星南 関空スケート 233.49 75.16 158.33
7 佐藤 駿 エームサービス/明治大学 230.80 81.90 148.90
8 三浦 佳生 オリエンタルバイオ/明治大学 230.09 88.87 141.22
9 島田 高志郎 木下グループ 224.04 73.20 150.84
10 山本 草太 中京大学 217.09 80.10 136.99
11 中村 俊介 木下アカデミー 214.25 73.96 140.29
12 西野 太翔 神奈川FSC 213.07 77.58 135.49
13 片伊勢 武 アミン 関西大学 212.78 75.62 137.16
14 高橋 星名 木下アカデミー 209.79 77.87 131.92
15 杉山 匠海 岡山大学 208.75 72.93 135.82
16 大島 光翔 明治大学 206.99 74.37 132.62
17 垣内 珀琉 ひょうご西宮FSC 203.27 70.52 132.75
18 朝賀 俊太朗 関西大学 199.33 67.58 131.75
19 蛯原 大弥 駒場学園高校 192.81 64.66 128.15
20 木科 雄登 関西大学 191.05 68.84 122.21
21 植村 駿 ユニバースFSC 185.97 62.47 123.50
22 吉岡 希 法政大学 181.29 63.76 117.53
23 菊地 竜生 明治大学 169.29 62.77 106.52
24 山田 琉伸 早稲田大学 146.49 60.20 86.29
25 北村 凌大 日本大学 58.91 58.91  
26 松岡 隼矢 福岡フィギュアアカデミー 53.48 53.48  
27 戸田 晴登 東洋大学 53.34 53.34  
28 森 遼人 MFアカデミー 50.32 50.32  
29 誉田 知己 中京大学 50.14 50.14  
30 小林 隼 同志社大学 45.96 45.96  

今回は時系列追って振り返って見ることにします。

ショートはノーミスがあまりいない、という展開になりました。そんな中でノーミスにカウントできたのが織田信成選手と中田璃士選手。第3グループくらいかな、と思われた2人がフリー最終グループに入ってきます。世界選手権代表争いは、圏外にいた友野選手が3位スタートで面白い位置に来ます。当確圏にいるかと思われた佐藤駿選手が6位で一転ピンチですが点差はそれほどない。山本草太選手も最終グループに入れなかったのは痛いですが、3位の友野選手まで9.62差なのでチャンスはある。いまいちが多かったものの点差はそれほど離れずフリーに楽しみは持ち越された印象でした。ただ、そのシニア上位5人の次の階層にいる島田選手、壷井選手がどちらもジャンプ2ミスで前半グループ送りに。吉岡選手に至っては第1グループへ。上位を脅かすには難しい位置になってしまいました。

世界ジュニア争いは髙橋星名選手、西野太翔選手の2人はノーミスとも言える演技で上に来て優位に立ちますが、中村俊介選手も前半グループにはなったもののそれほど点差なくまだわからない、という状況でした。

 

フリーへの通過ライン、ショート24位は60.20で昨年よりわずかに下がりましたが、60点超えないとフリーへ進めないという目安は昨季と同じでした。

第1グループにグランプリ組の吉岡希選手がいます。大逆転で4大陸あたりの切符を掴むにはノーミスプラスαくらい必要な位置でしたがフリーも伸びず。上位で戦うには4回転トーループがほぼ唯一の武器、という現状でショートフリーで3本飛んで1つも決まらずだと苦しいです。今期は結果が残せずで終わった形になりまして、来期、国際大会派遣があるかどうか・・・。

第1グループからはこちらも大逆転世界ジュニアを目指す蛯原大弥選手がいました。トリプルアクセル2本に4回転トーループ。3本降りたけど・・・、どう見ても回転が足りないということでスコア伸びず。192.81でこの時点でのトップには立ちますが、世界ジュニアにはおそらく届かず。ただ、4回転トーループをアンダーローテーションで立ったのは初めてですので、1つの大きな成果だと思います。

 

第2グループは、逆転世界ジュニアの芽がある垣内珀琉選手。そのためには決めたかった4回転トーループはアンダーローテーションで転倒。残りはしっかりまとめたのですが、逆転を狙う立場としてはちょっと足りないか。トータル203.27 ここから大会は200点の領域に入っていきます。

岡山大学の4年生になった杉山匠海選手がトリプルアクセル2本構成にチャレンジ、2本目はq扱いですが初めて2本着氷。208.75はパーソナルベスト更新のはずです。大学卒業したらどうするんでしょう? 岡山大学の物理学科だと普通に院に進んで競技続けそうな気もします。岡山大学の理系って、地方の国立大学としては実はかなりのエリートですよね。

続いてショート15位の島田高志郎選手。4回転ルッツ投入はアンダーローテーションの転倒。次のトーループも2回転になって上位進出の可能性は消えました。ただ、他は良かった。さすが2シーズン目の死の舞踏。トータル224.04で本人比いまいちですがトップに立ちます。ここからまた大会のレベルがあがります。結局ジャンプ・・・。ショートはコンビネーションもミスしましたが、4回転がとにかく決まらない。これさえ入れば250点前後は出るのですが、入らないと230点前後になってくる。今期はスコア伸びませんでしたが、グランプリ表彰台があるので、何とか来期もチャンスは残るんじゃないかと思います。3シーズン目に死の舞踏ノーミスを期待したいです。

 

続いて壷井達也選手。NHK杯でせっかく結果出したのに・・、からのショート14位。一夜明けてのフリー、コンビネーションはオーバーターン。やっぱりダメかも、からの以降ノーミス。行け、行け、行けーみたいな展開。フリー173,37でトータル247.31 去年252.34なのでそれと比べるとまだこれでも少し落ちるのですが、上位進出は確定するスコア。フリーの170点台は国内外通じて自身初。PCSで初めて80点台もらいました。これだけ早い滑走順でこのPCSが出るのは、ジャッジにもかなり響いた演技だったようです。こうなるとショートのアクセルもったいなかったなあ・・・、と思う一方、ああいう派手なミスがあっても250点前後を普通に出せるようになったんだなあ、とも思ったりします。

第2グループ最後は世界ジュニアを目指す中村俊介選手。ショートで西野選手が3.62差、高橋選手と3.91差。高橋選手にはここで勝っただけだと足りなさそうですが、西野選手には勝っておけば世界ジュニアが回ってくるかもしれない。最低でも西野選手の上へ行くことが必要。そのためには決めたかった4回転がステップアウト。次のアクセルはそれほど悪くはなかったけれどコンビネーション入らず。後半、あれ? アクセル2本目は? と思いましたが、コンビネーション入らなかったので安全策で外したでしょうか。そんなに苦手なジャンプとは思えなかったですが。構成的にもったいないのは中村選手はシークエンスのアクセルを持っていないので、最後のコンビネーションがダブルトーループになってくる。手堅くまとめたのは確かですが、守りに入ったことがどう出るか? フリー140.29 トータル214.25 12人残してグランプリ組2人に続いてのこの時点で3位。微妙なスコアで後半グループを待ちます。

 

製氷挟んで後半へ。第3グループは明治大学4年生、大島光翔選手から。後半唯一の国際大会実績のない選手です。父へ送るデスペラード。後半ジャンプ苦しみました。ただ、大学4年生で全日本フリーまで残ってくれば、なんというか、もう、それはそれ、みたいな気分になります。フリー132.62 トータル206.99 この時点で5位になります。

続いて国際大会復帰を目指す位置にいる三宅星南選手。ノーミス近い演技で上位進出はあり得る位置。冒頭4回転サルコウからのコンビネーションを決めて、さあ2本目、となったのですがここは抜け2回転。以降ほぼノーミス。なかなか付けられないトリプルアクセルからの3連続の3つ目を3回転に出来たのが大きかったです。久しぶりのフリー150点超えとなった158.33 トータル233.49 国内外通じてセカンドベストにあたるスコアで2位につけて残り10人を待ちます。

続いてグランプリ経験もある片伊勢武アミン選手。トリプルアクセル1本構成。ノーミス出来栄え勝負派なのですが、ちょこちょこジャンプで引かれる要素があってまずまず悪くないのだけどスコアはそれほどは伸びてこない、というような展開になりフリー137.16 トータル212.78 9人残して5番目の位置に入ります。

 

ここから世界ジュニア代表決定戦。現状3番手争いな西野太翔選手。中村俊介選手を超えるにはフリー136.68が必要。東日本で142.36を出しているものの、全日本ジュニアは132.64でステップ分足すとちょうどターゲットスコアくらい、際どい勝負というところ。そういう際どい中で成功実績のない4回転サルコウを入れるかどうか? これは入れてきましたが転倒。ただ、それはいつもと同じと言えばいつもと同じ。ここからが勝負。以降のジャンプは予定通りに基礎点削られることなく入れていくことは出来ました。ただ、何とか降りた耐えるジャンプが多い形。これは点が出るまで分からない、というところからのフリー135.49 トータル213.07 中村選手に及ばず8人残して5位。世界ジュニア代表争いが混迷します。

続いて高橋星名選手。世界ジュニア代表争いではジュニアグランプリファイナル出場もあり一歩リードしています。中村選手の上までければ当確。ターゲットスコアは136.39 今季140点台も2試合出していますが、崩れて110点台の試合もあります。構成が冒頭トリプルアクセルではなく今回はルッツからのコンビネーションで入りました。これは成功。しかし次のアクセルが抜けて1回転半に。これでわからなくなって、中盤のアクセル2本目の1回転半に。これは足りないのでは・・・、というところからの後半はしっかり演じましたが結局131.92でトータル209.79 7人残して7位。中村選手、西野選手の後塵を拝する形となりました。今期のここまでの実績で選ばれそうではありますが、当確とは言えない順位、点差関係となりました。

 

第3グループ最終滑走、ここから世界選手権代表争い、山本草太選手登場。3位の友野選手まで9.62差、4位の三浦選手と8.77差、6位佐藤駿選手と1.80差。十分手が届くところにあったのですが、4回転2本を転倒。これで逆転はなくなりました。その上、課題のトリプルアクセル2本も決まらず。フリー3転倒で136.99 トータル217.09 近年見たことないようなスコアになってしまいました。代表選考から脱落。これだと4大陸も厳しそう、という位置になりました。

 

最終グループに入る時点で壷井選手が247.31で首位にいて、233.49の三宅星南選手が2位に残ります。上位6人、グランプリ組の4人にとっては壺井選手のスコアを超えるのはそれほど難しくはない水準なはずではあります。

最終グループは佐藤駿選手から。首位に立つには165.42が必要。スケートカナダで164.64という失敗もありましたが、あとは170点台から180点にも乗せる力が普通にあります。ところが、冒頭の4回転ルッツがダウングレードの転倒になると、次のフリップもステップアウト、トーループもステップアウト。このままだと山本選手も下回る可能性もありましたが、4本目の4回転はなんとかセカンド3回転もつけて踏みとどまります。以降、トリプルアクセルもうまくいかなかったりした結果、フリー148.90 トータル230.80 5人残して3位。山本選手よりは上ですが、三浦選手、友野選手をまだ残していて、代表争いがわからない状態になってきました。

 

続いて37歳の最終グループ、織田信成選手。全日本の歴史、古すぎて全部遡れませんが、史上最年長最終グループなんじゃないでしょうか。そして、史上最年長全日本4回転成功をショートで成し遂げたわけですが、フリー、展開的にまさかの表彰台もあるか? という流れ。6年前に高橋大輔さんがシングル復帰したときも、優勝以外上位総崩れして2位に入っていましたが、ベテランの呪いとかあるんだろうか? と思わせるような展開。しかしフリー冒頭の4回転トーループはアンダーローテーションの転倒。今の持ち札で4回転決まらないと、流石に点はなかなか伸びてこないのですが、以降の滑りは全盛期を彷彿とさせるというか、今が全盛期なんじゃないかという滑り。2本目の4回転を回避したあたりが、自己満構成ではなく、ちゃんと今の力を考えながらどう点を取っていくか、勝負する一員というのがよく見えました。フリーは150.15でシーズンベスト。トータル234.68でなんと4人残して2位。来シーズン、NHK杯地元枠とかどうでしょう? 普通に違和感なく勝負できると思うんですけど、と言いたくなる出来でした。

 

続いて三浦佳生選手。山本選手が脱落しているので、あとは友野選手と遜色ない順位くらいなら世界代表が見えます。首位に立つターゲットスコアは158.45 何の問題も無く出るはずのスコア、と思うのですが、今期はフリーを5回滑ってこれを超えたのは2回だけ。構成どうするか? という中で冒頭前向きに構えてトリプルアクセルを選択。おそらく3連続にするつもりだったと思うのですがステップアウトで単独に。この辺で嫌な予感しましたが、次のトーループが3回転に。さらにサルコウは2回転。これは全然足りないかも、という中で次のトリプルアクセルからリカバリー3連続は不発。後半、ジャンプどうするんだろう? と思っていたら4回転-3回転何とか入りました。これで何とか立て直して織田選手の上に残れば5位には入れて何とかなるか? からの、あー、4回転飛んじゃった・・・、でノーカウント。トリプルアクセル2回、3回転トーループが2回飛ばれている後の4回転トーループ2回目でノーカウント。これは佐藤駿選手の上か下か? どうなる・・・、というフリーのスコアは141.22 トータル230.09は佐藤駿選手に届かず3人残して5位。山本選手よりは上なので代表争いでは残っていますが、友野選手次第となったように見えました。一方で、この時点で佐藤駿選手はほぼ当確に近くなったでしょうか。さらに壷井選手が4位以内まで来て、シニアの選手の中で3番目以内に決まったことで、4大陸の当確までは出た印象です。

 

残り3人、今シーズンうまくいっていなかった友野選手にここでチャンスが来ました。首位に立つターゲットスコアは157.60 表彰台でも微妙な立場ではあるのでできれば中田選手にも勝っての2位まで欲しい。というところからの4回転3本全く決まらず・・・。ああダメだ・・。せめて織田選手の上に残れば表彰台チャンスはある。ということで4本目のトリプルループ以降はスピンステップもオールレベル4で3連続も3回転入ったし、何とか立て直しましたが、フリー144.23 トータル233.95は織田選手にわずかに届かず2人残して3位。佐藤選手、三浦選手と順位も点差もそれほどつかず、上に壷井選手がいる位置だと逆転代表入りはちょっと無いかな・・、という結果に留まりましたが、国際大会派遣を希望するシニアの中では3番目以内は確定。4大陸は取れていそう。

ラス前に中田璃士選手登場。パイレーツオブカリビアン。世界ジュニア代表内定済みであり、全選手中一番気楽な立場での試合。冒頭に4回転ループ。本当に入れてきた! これを成功。次のトーループも成功。ガッツポーズという振付は無いはず。トリプルアクセルからの3連続も決めて、以降も目立ったミスなし。フリップからのコンビネーションはセカンドを3回転にしたかったでしょうか。それくらい。驚きのフリー173.68 トータル263.99で首位に立ちます。ショートフリー合計すべて自己ベスト相当。今日じゃなくて世界ジュニアでこれが出ればほぼ問題なく優勝出来る、という出来でしたが、ショートは世界ジュニアではできない構成なので、もう少し点は凹むはずです。

 

最終滑走は鍵山優真選手。優勝へのターゲットスコアは171.95 フィンランディア杯でやらかした159.12というのがあるので、同じ轍を踏むと危ないけれどちゃんと滑れば問題ないというスコアです。中田選手は僥倖で優勝してしまうと今後のためによくないタイプにも見えるので、ここはしっかり勝っておいてほしいところ。確率がまだ怪しげな4回転フリップを今回はしっかり決め、最近軸が曲がって心配が多い4回転サルコウも降り、トーループからのコンビネーションも決まって、もうこれで勝ちは問題ないかな、という様相。後半のジャンプはちょっと乱れもありましたが勝ち負けには影響ない範囲で後は何点出るか。そんな大の字になるほどのものでもなかったように感じたのですが、やってみたかったからって冷静に大の字になったわけですかそうですか。採点的にはステップが全ジャッジ+5のレベル4で満点でした。フリー205.68は本人驚いていましたが本人の国内最高であり、個人戦最高スコアです。オリンピック団体戦で208点がありましたけど。トータル297.73で問題なく初優勝となりました。

 

 

 

代表選考は世界選手権2枠目は実績で佐藤駿選手。総崩れだと実績が物を言います。3枠目は全日本表彰台で選考対象となった壷井選手が入りました。NHK杯3位は選考基準には入らないものの、選考対象になった場合には考慮される、という形の論拠となって選出。まあ、三浦選手とはNHK杯に全日本と連勝しましたし、三浦選手は今期はスケートアメリカしか点が出ていませんので、ちょっと選びづらかったでしょう。三浦選手、友野選手、山本選手の順に補欠を入っています。全日本の結果だけなら山本選手より島田選手が上ですが、今期のスコア的に山本選手が優先されたでしょうか。

4大陸は壺井選手に三浦選手と友野選手。鍵山選手が希望しなければこうなる、というメンバーかと思います。佐藤駿選手は全日本がよくなかったので世界選手権と両方選ぶにはちょっと弱かったと思老います。補欠がなぜか2人でもう1人が島田選手。全日本6位の三宅選手を補欠に入れて、ミニマム取得派遣をしてあげてもよかったんじゃないかとも思いました。

世界ジュニアは2枠目に高橋星名選手が入り、3枠目は中村俊介選手が滑り込み。1.18差ですが西野選手に直接対決で上回ったのが結局大きかったでしょうか。3人の中では中田選手が一番期待されるのかと思いますが、圧倒的に一番世界ジュニアが重要になるのは、来期から強制シニアの中村選手です。19歳、ぎりぎり最後の年の世界ジュニア代表で3位表彰台に乗って、次のシーズンのグランプリシリーズを確保して、細い線を繋げながらついに世界選手権代表にたどり着いたのが壷井選手。その同じ道を目指すことになるわけで、そのためにはまず世界ジュニア表彰台に乗れるかどうかが大変重要になります。補欠は西野太翔選手、垣内珀琉選手、蛯原大弥選手の順。今期の実績順であり今大会の成績順であり、順当なところかと思います。

 

事前に発表されていますがアジア大会の代表が鍵山選手と佐藤選手で、補欠が山本選手、三浦選手、壷井選手。ワールドユニバーシティゲームズは鍵山選手、佐藤選手、三浦選手の3人が代表で、山本選手、壷井選手、島田選手が補欠です。ついでに、オリンピックのプレ大会は山本選手が派遣となりました。

こうやって並べると、全日本で6位、国際大会派遣を希望するシニアはその上に3人しかいない三宅星南選手が補欠含めて何もなし、というのはちょっと残念に感じます。B級大会派遣くらいはあるのかと思いますが。まあ233点というスコアは確かにそれほど高くはないですが、全日本をこれだけ重視するなら、6位には何か報いてあげてほしいと思います。

 

もうちょっとノーミス率の高い試合が見たい、というのも本音ではありますが、これもこれで全日本なのでしょう。それにしても中田選手と織田選手すごかったな、という印象でした。

 

 

全日本選手権24前に代表選考展望:女子シングル

全日本選手権24前に代表選考展望:女子シングル

 

カップル競技、男子シングルに続いて、最後は女子シングルです

 

○国際大会の結果

J/S Event Pl Name Total SP FS
S NHK Trophy 1 Kaori SAKAMOTO 231.88 78.93 152.95
J JGP Gdansk 1 Mao SHIMADA 224.68 73.11 151.57
S NHK Trophy 2 Mone CHIBA 212.54 71.69 140.85
S Cup of China 2 Mone CHIBA 211.91 70.86 141.05
S Grand Prix Final 2 Mone CHIBA 208.85 69.33 139.52
S Grand Prix de France 2 Wakaba HIGUCHI 206.08 66.98 139.10
J JGP Wuxi 1 Ami NAKAI 204.88 68.66 136.22
J JGP Riga 1 Mao SHIMADA 204.86 71.67 133.19
S Cup of China 4 Rion SUMIYOSHI 202.45 70.48 131.97
S Grand Prix de France 3 Rion SUMIYOSHI 201.35 66.88 134.47
S Skate Canada 1 Kaori SAKAMOTO 201.21 74.97 126.24
S Grand Prix Final 3 Kaori SAKAMOTO 201.13 63.98 137.15
S Finlandia Trophy 1 Hana YOSHIDA 199.46 67.87 131.59
J JGP Final 1 Mao SHIMADA 199.46 73.72 125.74
S Finlandia Trophy 2 Rino MATSUIKE 199.20 64.82 134.38
J JGP Gdansk 2 Kaoruko WADA 198.22 70.58 127.64
S Cup of China 5 Rinka WATANABE 196.95 69.08 127.87
S Skate America 1 Wakaba HIGUCHI 196.93 66.12 130.81
S Nebelhorn Trophy 3 Hana YOSHIDA 196.47 59.65 136.82
S Grand Prix Final 4 Wakaba HIGUCHI 195.96 61.61 134.35
S Skate America 2 Rinka WATANABE 195.22 66.54 128.68
S NHK Trophy 3 Yuna AOKI 195.07 69.78 125.29
S Grand Prix Final 5 Hana YOSHIDA 194.02 64.23 129.79
S Skate Canada 2 Rino MATSUIKE 192.16 52.31 139.85
J JGP Final 2 Kaoruko WADA 191.75 67.77 123.98
J JGP Ankara 2 Ami NAKAI 191.61 66.22 125.39
J JGP Ljubljana 3 Mei OKADA 190.93 68.34 122.59
J JGP Final 3 Ami NAKAI 189.58 67.26 122.32
S Grand Prix Final 6 Rino MATSUIKE 189.02 62.63 126.39
J JGP Bankok 2 Yo TAKAGI 188.54 64.99 123.55
S Asian Open Figure 2 Mako YAMASHITA 186.13 54.69 131.44
J JGP Wuxi 5 Yo TAKAGI 185.45 66.03 119.42
S Skate America 7 Yuna AOKI 183.03 56.51 126.52
J JGP Ljubljana 4 Rena UEZONO 181.27 63.09 118.18
S Asian Open Figure 3 Mai MIHARA 177.34 61.49 115.85
S Grand Prix de France 7 Mai MIHARA 174.93 61.12 113.81
J JGP Ankara 12 Riria KONO 142.18 54.55 87.63

 

 

1.世界フィギュアスケート選手権大会

全日本選手権大会優勝者を選考する。

 未定

②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。

A)全日本選手権大会 2 位、3 位の選手

   未定

B) ISU グランプリファイナル出場者上位 2 名

千葉百音 坂本花織 / 樋口新葉 吉田陽菜 松生理乃

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 3 名

坂本花織 231.88 (島田麻央 224.68) 千葉百音 212.54 樋口新葉 206.08 / (中井亜美 204.88) 住吉りをん 202.45 吉田陽菜 199.46 松生理乃 199.20

 

③以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①②で選考された選手を含め、 3 名に達するまで選考する。

A) ②の A)B)C)に該当し、②の選考から漏れた選手

  未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位 3 名

坂本花織1位 吉田陽菜4位 千葉百音8位 / 渡辺倫果10位 三原舞依14位 (島田麻央21位) 住吉りをん28位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位 3 名

千葉百音2位 坂本花織3位 吉田陽菜4位 / 樋口新葉10位 松生理乃16位 渡辺倫果19位

D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1における 総合得点の最も高い 2 試合*2の平均得点の上位 3 名

坂本花織 216.545 (島田麻央 214.77) 千葉百音 212.225 住吉りをん201.90 / 樋口新葉 201.505 (中井亜美 198.245) 吉田陽菜 197.965 (和田薫子 197.165) 渡辺倫果196.085 松生理乃 195.68

 

現時点で名前が入っているのは、②まででは千葉百音、坂本花織、樋口新葉、という3人になります。その3人のうち1人が先に選ばれると住吉りをん、という名前が繰り上がります。➂のところで、吉田陽菜、住吉りをん、と入っていて、➂では繰上り候補で渡辺倫果、三原舞依、松生理乃とあります。結局、最終的にはグランプリシリーズに出場した9選手のうち、青木祐奈選手以外の8人が入ってくることになりそうです。

坂本花織選手は全項目で1番目か2番目に名前があります。千葉百音選手は1つだけ3番目もありますが、それも含めてすべての条項に名前があります。この2人はほぼ当確に近いのではないかと思われます。坂本選手は昨季までの跳び抜けた実績もありますし、千葉選手は今期の3試合すべて210点台という驚異の安定感もありますので、全日本でも結果を出すでしょう。

 

問題は3枠目。一歩前へ出ているのは樋口選手でしょうか。全日本で2位に入ってくれば、②の段階で樋口選手は代表を決めることも出来そうです。②で決めるには住吉選手も可能性あるのでやはり2位に入ればチャンスあるかもしれません。①がジュニア優勝で対象者なし、となると2位に入っていればシニア最高位でやはり②で選ばれそうに見えます。

①と②が坂本選手と千葉選手になって、➂で決めることになると、対象候補者がたくさんいてわけのわからないことになります。選考対象項目を見ていると、樋口選手と吉田選手は乗っている項目が多いので、表彰台に乗れば代表になって来るのではないかと思われます。ただ、全日本で表彰台に乗るのは大変です。島田麻央選手、岡田薫子選手、中井亜美選手、世界選手権の代表選考に関係ない選手が表彰台を埋めていく可能性もかなりあります。

今期の実績を見ると、➂の段階で世界ランキングにしか入ってこない三原舞依選手はちょっと厳しいでしょうか。樋口選手と吉田選手がやや優位、その次に渡辺倫果選手、と松生理乃選手がいて、三原舞依選手はちょっと苦しい、と言うように見えます。

その他の選手は表彰台に乗って初めて代表選考の対象になりますが、3位だと外されそうに見えます。2位なら、その2位1つだけで代表になれる線もあるかもしれません。

 

2.四大陸フィギュアスケート選手権大会

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。

A)全日本選手権大会 10 位以内

 未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位 6 名

坂本花織1位 吉田陽菜4位 千葉百音8位 渡辺倫果10位 三原舞依14位 (島田麻央21位) 住吉りをん28位 / (中井亜美38位) 松生理乃39位 (上薗恋奈40位) 樋口新葉43位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位 6 名

千葉百音2位 坂本花織3位 吉田陽菜4位 樋口新葉10位 松生理乃16位 渡辺倫果19位 / 住吉りをん24位 三原舞依25位

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 6 名

坂本花織 231.88 (島田麻央 224.68) 千葉百音 212.54 樋口新葉 206.08 (中井亜美 204.88) 住吉りをん 202.45 吉田陽菜 199.46 松生理乃 199.20 / (和田薫子 198.22) 渡辺倫果196.95 青木祐奈195.07

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1における 総合得点の最も高い 2 試合*2の平均得点の上位 6 名

坂本花織 216.545 (島田麻央 224.68) 千葉百音 212.225 住吉りをん201.90 樋口新葉 201.505 (中井亜美 198.245) 吉田陽菜 197.965 (和田薫子 197.165) 渡辺倫果196.085 / 松生理乃 195.68 (岡田芽依191.81) (櫛田育良189.55) 青木祐奈189.05

 

4大陸選手権の代表争いは男子と同様、今年はいろいろな事情が錯綜して訳が分かりません。世界ジュニアと4大陸の代表兼任は無し、と今回は明示されています。影響ありそうなのは千葉百音選手、吉田陽菜選手の2人ですが、どちらも世界ジュニアの選考対象の方に公式ではリストされていませんでした。

時期の近いアジア大会との兼任はあるか? アジア大会の代表は坂本花織選手と吉田陽菜選手です。坂本選手にとっては4大陸はすでに持っているタイトルです。吉田選手はメダルも持っていません。吉田選手は世界選手権の代表になれないとしたら、4大陸はアジア大会と連戦でも希望すると思われます。

今シーズンはオリンピックのプレ大会がミラノで行われますが、それが4大陸と同スケジュールです。オリンピックに自分は出る、と思っている選手はそちらを経験したいと選ぶ可能性があります。坂本選手あたりはそちらを選ぶでしょうか。すでに4大陸のタイトルを手に入れている千葉選手も、世界選手権の代表に選ばれればそういう選択をしそうにも感じます。

選考対象に名前のある選手は多数いますが、結局各項目上位6人となると、世界選手権の代表選考で繰り上がり含め名前の入ってくる8人と同じ、となっています。青木祐奈選手は一番順位が高い項目でも8番目なので対象になっていません。その他国際大会に派遣されていない選手も入ってきません。

上記で名前のある選手以外に河辺愛菜選手、山下真瑚選手も4大陸のミニマムは持っています。今期の4大陸は開催時期が遅いので、ミニマムを取りに行くのも間に合います。

国際大会未経験組では東西両選手権の覇者、三宅咲綺選手、江川マリア選手あたりも190点前後の実績を持っていますしトップ5あたりに入ってくればチャンスがありそうです。このあたりまで含めると13人ほどという多くの選手に可能性があるように見えます。

 

3.世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。

 島田麻央

②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、 上記①で選考された選手を含め 3 名に達するまで選考する。

A) 全日本ジュニア選手権大会 2 位、3 位の選手

 和田薫子 櫛田育良

B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者

(島田麻央) 中井亜美 和田薫

C)全日本選手権大会参加者のうち上位 3 名

 未定

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 3 名

(島田麻央224.68) (千葉百音212.54) 中井亜美204.88 (吉田陽菜199.46) 和田薫子198.22 岡田芽依190.93 / (髙木謡188.54) 上薗恋奈181.27 櫛田育良166.01

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1 におけるジュ ニアカテゴリーの総合得点の最も高い 2 試合*3の平均得点の上位 3 名

(島田麻央214.77) (千葉百音212.225) 中井亜美198.245 和田薫子197.165 (吉田陽菜 197.965) 岡田芽依 191.81 / 櫛田育良189.55 (髙木謡 186.995) 上薗恋奈183.215

 

世界ジュニアは全日本ジュニア優勝の島田麻央選手が内定済みです。残りの枠は2つ。

すべての項目に名前があるのが和田薫子選手。中井亜美選手は3つ、岡田芽依選手が2つ、櫛田育良選手が1つ名前があります。

シニア組で世界ジュニアの権利がある年齢なのは千葉百音選手と吉田陽菜選手です。2人とも世界ジュニアの出場経験がありません。展開次第では希望するかな? とも思ったのですが、公式の選考対象リストには載っていませんでした。世界選手権経験者が出戻り世界ジュニアは無し、みたいな内規というか暗黙の了解もあったりするかもしれません。

シニア組が絡んでこないならば和田選手が有利な位置にいるのは間違いなさそうです。全日本ジュニアの表彰台には乗れませんでしたが、他の項目はすべて名前のある中井選手がその次の位置になるでしょうか。

櫛田選手は世界ジュニアでは5位に入りましたが、どうもジュニアグランプリシリーズと相性が悪い傾向があって、今期も2戦目がもらえませんでした。その結果全日本ジュニアの表彰台しか選考対象に入っていません。選考が混戦になると昨季のように全日本ジュニア表彰台を元に選ばれる可能性もありますが、今期のように国際大会でしっかり結果を出している選手が3人いると、全日本でよほどいい結果を出さないと難しいかと思われます。

岡田選手も2項目名前がありますが、和田選手や中井選手に勝っている項目が無いのがつらいです。全日本ジュニアの順位でも劣ります。全日本でよほどの結果が求められます。

昨季世界ジュニア3位の上薗恋奈選手は現状どの項目でも名前が挙がってきません。全日本で表彰台にでも乗ると話は変わってくるかもしれませんが、そのレベルの結果を出してこない限り、代表入りは難しそうです。

 

 

全日本選手権24前に代表選考展望男子シングル

前回のカップル競技に引き続いて今回は男子シングルの代表選考展望です

これをアップする時点で、連盟から公式に選考対象リストも出てきました

 

○今期の国際大会戦績

J/S Event Pl Name Total SP FS
S NHK Trophy 1 Yuma KAGIYAMA 300.09 105.70 194.39
S Lombardia Trophy 2 Yuma KAGIYAMA 291.54 98.68 192.86
S Lombardia Trophy 3 Shun SATO 285.88 98.39 187.49
S Grand Prix Final 2 Yuma KAGIYAMA 281.78 93.49 188.29
S Skate America 3 Kao MIURA 278.67 99.54 179.13
S Cup of China 1 Shun SATO 278.48 98.75 179.73
S Grand Prix Final 3 Shun SATO 270.82 86.28 184.54
S Finlandia Trophy 1 Yuma KAGIYAMA 263.09 103.97 159.12
S Nebelhorn Trophy 1 Sota YAMAMOTO 262.72 79.00 183.72
S Skate Canada 2 Shun SATO 261.16 96.52 164.64
S Skate Canada 4 Sota YAMAMOTO 257.00 92.16 164.84
S NHK Trophy 3 Tatsuya TSUBOI 251.52 85.02 166.50
S Finlandia Trophy 4 Sota YAMAMOTO 249.91 82.43 167.48
S NHK Trophy 6 Kao MIURA 240.38 102.96 137.42
S Finlandia Trophy 6 Kazuki TOMONO 238.41 90.78 147.63
S Lombardia Trophy 4 Kao MIURA 234.75 76.42 158.33
S Grand Prix de France 2 Koshiro SHIMADA 233.84 80.42 153.42
J JGP Wuxi 1 Rio NAKATA 233.53 81.55 151.98
S Grand Prix de France 5 Kazuki TOMONO 231.48 83.45 148.03
J JGP Riga 1 Sena TAKAHASHI 229.66 81.05 148.61
S Skate America 6 Koshiro SHIMADA 219.68 81.88 137.80
S Asian Open Figure 3 Nozomu YOSHIOKA 218.88 69.42 149.46
J JGP Bankok 2 Rio NAKATA 218.71 76.54 142.17
S Skate America 8 Nozomu YOSHIOKA 215.92 80.79 135.13
J JGP Final 3 Rio NAKATA 215.33 79.39 135.94
J JGP Riga 3 Shunsuke NAKAMURA 212.73 68.39 144.34
J JGP Bankok 4 Haru KAKIUCHI 209.50 69.99 139.51
J JGP Ankara 2 Shunsuke NAKAMURA 205.49 75.59 129.90
S Asian Open Figure 5 Tatsuya TSUBOI 204.98 82.37 122.61
J JGP Final 4 Sena TAKAHASHI 204.40 61.83 142.57
J JGP Ostrava 5 Daiya EBIHARA 202.78 66.92 135.86
J JGP Ostrava 6 Taiga NISHINO 200.23 77.20 123.03
J JGP Gdansk 2 Sena TAKAHASHI 198.42 80.25 118.17
J JGP Ljubljana 8 Haru KAKIUCHI 194.38 68.07 126.31

 

1.世界フィギュアスケート選手権大会

全日本選手権大会優勝者を選考する。

②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。

A) 全日本選手権大会 2 位、3 位の選手

   未定

B) ISU グランプリファイナル出場者上位 2 名

  鍵山優真 佐藤駿

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 3 名

鍵山優真 300.09 佐藤駿 285.88 三浦佳生 278.67 /  山本草太 262.72 壷井達也 251.52

 

③以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①②で選考された選手を含め、 3 名に達するまで選考する。

A) ②の A)B)C)に該当し、②の選考から漏れた選手

  未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位 3 名

鍵山優真3位 佐藤駿4位 三浦佳生5位 / 山本草太10位 友野一希18位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位 3 名

鍵山優真3位 佐藤駿4位 山本草太9位 / 三浦佳生16位 島田高志郎22位

D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1における 総合得点の最も高い 2 試合*2の平均得点の上位 3 名

鍵山優真 295.815 佐藤駿 282.18 山本草太 259.86 / 三浦佳生 259.525 友野一希 234.945

 

公式にも選考対象リストが出てきました。

男子は現時点で選考基準に名前が入っているのは、鍵山優真、佐藤駿、三浦佳生、山本草太の4選手です。その中で山本草太選手は➂の項目で2つはいっていて、②の項目には入っていませんが、鍵山選手、佐藤選手、三浦選手の誰かが優勝すれば入ってくるという形ですので、高確率で入ってくるでしょう。2人が決まった時点で名前が入ってくる可能性があるのは友野選手と島田選手。友野選手は➂から2項目、島田選手は➂から1項目でチャンスがあります。壺井選手はシーズンベストが5位なので、上2人が決まった時に3枠目の選考で基準に乗りそうなのですが、2枠目が決まった時点で3枠目は2枠目の選考で名前がある人、ということになっていて、決まった後の繰上りはないようで、入ってこないようです。

ということで、壷井選手含めてこれ以外の選手は表彰台に乗らない限り選考基準を何も満たしてきませんので対象外ということになります。

現状、すべての項目で1番目に名前があるのが鍵山優真選手です。ほぼ当確かと思います。佐藤駿選手はすべての項目で2番目に名前があります。こちらも当確に近いですが、万が一全日本で大崩れして6位以下くらいまで落ちて、三浦選手、山本選手が表彰台に乗った場合には代表落ちするかもしれません。

三浦選手と山本選手は現状でどちらが有利かなんとも言えません。若干三浦選手の方が有利なのかもしれませんが、全日本でわずかな点差であっても上の順位になった方が勝ち、というくらいの差だと思われます。基本的には表彰台に乗れば代表になれるのではないかと思われますが、自分が3位で4位に佐藤駿選手がいたりすると、代表になれないかもしれません。

友野選手、島田選手は代表になるには表彰台が必須と思われます。ただ、3位だと昨季の山本選手のように、今期の実績で4位に三浦選手や山本選手、あるいは佐藤選手だとひっくり返されそうです。女子の例ですが、昨季の千葉選手のようにそのシーズン国際大会でまるで結果が出ていなくても2位なら代表になるチャンスもありそうです。ただ、2シーズン前の島田高志郎選手のように2位になっても代表になれない、という展開も3位以下の順位の並びによってはあります。2位友野一希、3位山本草太、4位佐藤駿、みたいなならびになったら、代表選考は極めて難しい判断を迫られることになりそうです。

ここまでで名前が出てきていない選手は、2位でもおそらく世界選手権の代表にはなれないのではないかと思われます。優勝しかチャンスはなさそうです。

 

2.四大陸フィギュアスケート選手権大会

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。

A) 全日本選手権大会 10 位以内

 未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位 6 名

鍵山優真3位 佐藤駿4位 三浦佳生5位 山本草太10位 友野一希18位 吉岡希25位 / 島田高志郎27位 (中田璃士32位) 壷井達也41位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位 6 名

鍵山優真3位 佐藤駿4位 山本草太9位 三浦佳生16位 島田高志郎22位 (中田璃士29位) (高橋星名31位) 友野一希32位 / 壷井達也33位 中村俊介46位

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 6 名

鍵山優真 300.09 佐藤駿 285.88 三浦佳生 278.67 山本草太 262.72 壷井達也 251.52 友野一希 238.41 / 島田高志郎 233.84 (中田璃士 233.53) (高橋星名 229.66) 吉岡希218.88

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1における 総合得点の最も高い 2 試合*2の平均得点の上位 6 名

鍵山優真 295.815 佐藤駿 282.18 山本草太 259.86 三浦佳生 259.525 友野一希 234.945 (中田璃士 231.25) 壷井達也228.25 / 島田高志郎 226.76 (高橋星名 221.325) 吉岡希217.40

 

4大陸選手権の代表が、今回はまったくわかりません。ポイントはいくつかあります。

1つは毎年同じですが、世界選手権の代表と何人重複させるのか。次に時期の近いアジア大会と両方の代表に選出することはあるのか? アジア大会は鍵山選手と佐藤選手が代表です。さらに、4大陸選手権と同じ時期にあるミラノのプレ大会の方に出たい、という選択をする選手がいるか? また、今期は世界ジュニアが近いので4大陸と世界ジュニアの代表兼任はさせない、ということを連盟が明示しています。

世界ジュニアと4大陸、両方の代表になる可能性がある選手は三浦佳生選手と中村俊介選手でしたが、まあ、ここはあまり影響は出ないのではないかと思われます。三浦選手は世界ジュニアの方には公式では名前はありませんでした。

鍵山選手と佐藤選手はアジア大会に加えワールドユニバーシティゲームズでも代表です。その上で世界選手権にも代表に選ばれた場合、4大陸までも希望するかどうか。本人は希望したとしても連盟としてそこまで重複させて派遣するかどうか。

今シーズンはそんないろいろと複雑な状況でもあるので、中堅選手にもチャンスがありそうです。世界選手権代表候補として有力な上位4人のその下、友野一希選手、壷井達也選手、島田高志郎選手あたりも、これら3人の中での順位で上に出られれば4大陸のチャンスは回ってきそうに見えます。今期の実績ではもう少し下になる吉岡希選手も代表選考基準に名前が入っていますので、全日本で結果を残せば、4大陸のチャンスはありそうです。中村俊介選手は名前がありませんが、上位にまでいけばチャンスはあるかもしれないと思いましたが、シニアのミニマムは意外でしたがもっていません。ミニマム派遣+4大陸、くらいの結果が全日本で出せるなら世界ジュニアの方で代表になりそうなのでその線は可能性低いでしょうか。

問題は、上位がどれだけ4大陸を希望するか、なのですがこれは結果を見るまで分かりません。

なお、上記で名前のある選手以外では、片伊勢武アミン選手もミニマムを持っています。また、今期の4大陸は時期が遅いので、全日本終了後にミニマム取得のために遠征することも可能です。従って、上記に名前のある選手以外でも、表彰台レベルの活躍をすれば、ミニマム取得派遣から4大陸へ、という道もありそうです。

 

3.世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。

 中田璃士

②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、 上記①で選考された選手を含め 3 名に達するまで選考する。

A) 全日本ジュニア選手権大会 2 位、3 位の選手

 高橋星名 西野太翔

B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者

 (中田璃士) 高橋星名

C) 全日本選手権大会参加者のうち上位 3 名

 未定

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位 3 名

 (三浦佳生 278.67) (中田璃士 233.53) 高橋星名229.66 中村俊介 212.73 垣内珀琉 209.50 / 蛯原大弥 202.78 西野太翔 202.03

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1 におけるジュ ニアカテゴリーの総合得点の最も高い 2 試合*3の平均得点の上位 3 名

 (三浦佳生 259.525) (中田璃士 231.25) 高橋星名 221.325 西野太翔 213.165 中村俊介 209.11 / 植村駿 204.77 垣内珀琉 201.94

 

世界ジュニアは今期も男子は3枠あります。1枠目は全日本ジュニア優勝の中田璃士選手で確定です。残りは2枠。

一応、三浦佳生選手が世界ジュニアを希望した場合、圧倒的に力の差があるので選ばないわけにはいかないのですが、一度世界ジュニアを優勝した選手が、シニアに上がってから出戻りで世界ジュニアに出た例は過去ありません。4大陸と世界ジュニアの代表兼任は無し、と今期はなっているので、仮に世界選手権に出られなくても世界ジュニアではなく4大陸の方に回るのではないかと思われます。公式の選考対象リストにも名前はありませんでした。

そうすると、中田璃士選手以外では全項目で一番上に名前のある高橋星名選手はほぼ当確と言えると思います。ショート落ちとかされると選考会議でもめるからちゃんとある程度の結果を出してね、とみんな思っていることでしょう。

実質残り1枠。全日本ジュニア3位で2試合平均も高いのが西野太翔選手。シーズンベストが高いのが中村俊介選手です。この2人に次ぐのが垣内珀琉選手です。次点の位置に植村駿選手と蛯原大弥選手あたりまで名前はあるのですが、現状は選考対象になっていません。

やや有利なのが西野選手に見えますが、高いスコアは国内で出したものです。一方中村選手は国内戦はシニアなので2試合平均にカウントできないのですが、国際大会でのスコアは西野選手より上でした。4回転トーループをまずまず決める力のある中村俊介選手と、4回転サルコウがなかなか決まってこない西野太翔選手。中村選手がショートから4回転を決めてくると有利に感じますが、これが決まらないと西野選手が上へ行くでしょうか。2人の勝った方が代表、となりそうに見えます。垣内選手はこの2人に大きな差をつけて勝つ、ジュニア勢の中で1位か中田選手に次いで2番目のスコアを出すことが求められそうです。植村選手は蛯原選手が大逆転代表になるには、さらに大きな差を付けないといけなさそうです。

 

 

 

 

全日本選手権24前に代表選考展望 カップル競技

グランプリシリーズを終え、次は全日本選手権。全日本の結果次第で、シーズン後半のチャンピオンシップの代表が決まっていきます。その代表選考は全日本次第ではあるものの、代表選考基準にはそれ以前の試合の結果がかなりかかわってきます。

今回から3回に分けて、その代表選考の展望を見ていきます。

まず初回はカップル競技です

 

アイスダンス

○国際大会の結果

Event Pl Name Total RD FD
Nebelhorn Trophy 5 Utana YOSHIDA / Masaya MORITA 171.59 68.94 102.65
NHK Trophy 9 Utana YOSHIDA / Masaya MORITA 161.36 64.30 97.06
NHK Trophy 10 Azusa TANAKA / Shingo NISHIYAMA 151.27 59.15 92.12
JGP Wuxi 6 Sara KISHIMOTO / Atsuhiko TAMURA 139.97 58.59 81.38
JGP Bankok 7 Sara KISHIMOTO / Atsuhiko TAMURA 132.04 51.58 80.46
JGP Ostrava 6 Kaho YAMASHITA / Yuto NAGATA 128.80 51.24 77.56
JGP Riga 8 Sumire YOSHIDA / Ibuki OGAHARA 125.51 50.65 74.86
JGP Ljubljana 12 Kaho YAMASHITA / Yuto NAGATA 121.73 48.98 72.75

 

○東日本選手権と全日本ジュニア

J/S Event Pl Name Total RD FD
S 東日本選手権 1 吉田 唄菜 / 森田 真沙也 174.47 70.77 103.70
S 東日本選手権 2 田中 梓沙 / 西山 真瑚 163.99 67.33 96.66
J 全日本ジュニア 1 岸本 彩良 / 田村 篤彦 146.17 58.73 87.44
J 東日本選手権 1 岸本 彩良 / 田村 篤彦 144.37 58.21 86.16
J 全日本ジュニア 2 吉田 菫 / 小河原 泉颯 139.91 57.04 82.87
J 全日本ジュニア 3 山下 珂歩 / 永田 裕人 137.22 54.97 82.25
S 東日本選手権 3 佐々木 彩乃 / 池田 喜充 133.83 51.95 81.88
J 全日本ジュニア 4 柴山 歩 / 木村 智貴 133.38 52.28 81.10
J 東日本選手権 2 吉田 菫 / 小河原 泉颯 132.69 54.52 78.17
J 東日本選手権 3 柴山 歩 / 木村 智貴 131.93 51.07 80.86
J 東日本選手権 4 山下 珂歩 / 永田 裕人 128.95 49.16 79.79
J 全日本ジュニア 5 中島 未英 / 熊野 英輔 103.55 40.24 63.31
S 東日本選手権 4 久根下 未暁 / ルーシェ 聖夜 アレック 103.06 38.43 64.63
J 東日本選手権 5 中島 未英 / 熊野 英輔 99.38 42.22 57.16

 

1.世界フィギュアスケート選手権大会

A) 全日本選手権優勝組、2位、3位の組  未定

B) 全日本選手権終了時点でのISUワールドスタンディング最上位組

(岸本 彩良 / 田村 篤彦 56位) 吉田 唄菜 / 森田 真沙也 62位  /  田中 梓沙 / 西山 真瑚 94位

C) 全日本選手権終了時点でのISUシーズンベストスコアの最上位組

吉田 唄菜 / 森田 真沙也 171.59  /  田中 梓沙 / 西山 真瑚 151.27

 

(国際大会がまだ残っているので、全日本選手権前に世界ランキングは変わる可能性がありますが、日本勢の出場は無いので、日本勢同士の順位の上下関係は変わりません)

 

アイスダンスの世界選手権枠は1つ。その1つを昨季は3組で争って、全日本では決められずというなかなか見ない展開をしたのですが、今期は事実上2組の争いです。

アイスダンスの選考項目は3つ。全日本の表彰台は当然まだ未定です。世界ランキングは、ジュニアのカップルが1番上だったというちょっと驚きの結果がありますが、シニアの中では吉田/森田組が上です。シーズンベストも20点ほどの差で吉田/森田組が上です。田中梓沙選手のケガもあるようで田中/西山組は少し苦しい情勢になっています。

今期はオリンピックの枠が決まる大事な世界選手権になります。アイスダンスは現実的には、何枠取るかというのではなく、何とか1枠を確保してくること、というのが至上命題ということになるかと思います。世界選手権で決まるのは19枠まで。151.27ではこれに全然届きませんので、国際大会の今期の実績を考えると、全日本で田中/西山組が勝っても、それほど差が無ければ、吉田/森田組の実績を考えてこちらを選ぶ展開もありそうに見えます。

 

 

2.四大陸フィギュアスケート選手権大会

国際的な競技力を考慮し総合的に判断して選考する。

 

身も蓋もの無い選考基準です。アイスダンスで今シーズン国際大会に出場しているシニアのカップルは2組。4大陸選手権の出場枠は3あります。おそらく、怪我・辞退が無ければ、この2組は選ばれるのではないかと思われます。

問題は3枠目をどうするか。東日本選手権では佐々木 彩乃/池田 喜充組が3位に入りましたがスコアは133.83でした。ただ、国際経験がありませんので4大陸選手権のミニマムスコアを持っていません。今期は4大陸選手権の開催が結構遅い時期になっているため、全日本後にミニマムを獲りに行っても時間的には間に合います。ただ、東日本の時のスコアではミニマムに全然届きません。4大陸のミニマムスコアは、技術点でリズム、フリー合計85点。東日本の時はこれが77.35でした。これを85点にかなり近づけていかないと、3枠目は使われないのではないかと推測されます。

また、アジア大会と4大陸選手権がスケジュール的にはかなり近いです。この両方を兼ねるかどうか? というのがアイスダンスに限らず各種目注目されます。アイスダンスアジア大会代表は、後日発表と日本スケート連盟からは出ていたのですが、日本オリンピック委員会のエントリーリストには、森田真沙也、西山真瑚、吉田唄菜、田中梓沙、と個人名で4つ入っています。事実上この2組が代表、ということかと思いますが、スケート連盟は代表として発表していないので、エントリーは期日が来たので候補としてしたけれど、代表は1組だけ、とする可能性があったりするんでしょうか? わかりませんが。

いずれにしても、アジア大会を優先して、時期が近いから4大陸に出ない、という可能性はゼロではありません。大会の格としては4大陸の方が明らかに上ですが、タイトルが獲れる可能性はアジア大会の方が高くて、人生の中で得られる肩書としては、アジア大会のチャンピオン、というのは意味があると思います。でも、その感覚があったとしても、アジア大会の方が先なので、出られるなら4大陸に出るとは思われます。

 

3.世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会

国際的な競技力を考慮し総合的に判断して選考する。

 

こちらも身も蓋も無い選考基準です。

世界ジュニアのアイスダンスの代表枠は1つ。アイスダンスの場合はジュニア組の全日本出場が無いので、事実上選考レースは終わっていて、代表発表を全日本後に待つだけ、となります。

全日本ジュニア優勝は岸本 彩良 / 田村 篤彦組。ISUシーズンベストも10点以上の差をつけてSara KISHIMOTO / Atsuhiko TAMURA組 世界ランキングはシニアを超えて日本勢1位が岸本/田村組。事実上、世界ジュニアの代表は岸本/田村組でほぼ決まりと思われます。昨季の世界ジュニアは12位。ぜひとも、今期はトップ10に入って、来期2枠を持ち帰ってきてくれることを期待したいです。

補欠は、全日本ジュニアで2位の吉田/小河原組を選ぶか、ISUシーズンベストが上の山下/永田組を選ぶか、微妙な情勢です。

 

●ペア

○国際大会の結果

J/S Event Pl Name Total SP FS
S Skate America 1 Riku MIURA / Ryuichi KIHARA 214.23 77.79 136.44
S NHK Trophy 2 Riku MIURA / Ryuichi KIHARA 209.45 71.90 137.55
S Grand Prix Final 2 Riku MIURA / Ryuichi KIHARA 206.71 76.27 130.44
S Lombardia Trophy 2 Riku MIURA / Ryuichi KIHARA 199.55 73.53 126.02
S NHK Trophy 7 Yuna NAGAOKA / Sumitada MORIGUCHI 172.47 60.32 112.15
S Finlandia Trophy 6 Yuna NAGAOKA / Sumitada MORIGUCHI 171.80 51.75 120.05
S John Nicks International 8 Yuna NAGAOKA / Sumitada MORIGUCHI 158.90 55.92 102.98
J JGP Final 5 Sae SHIMIZU / Lucas Tsuyoshi HONDA 145.66 50.20 95.46
J JGP Ankara 3 Sae SHIMIZU / Lucas Tsuyoshi HONDA 140.19 48.04 92.15
J JGP Ostrava 4 Sae SHIMIZU / Lucas Tsuyoshi HONDA 136.29 44.96 91.33

 

○西日本選手権と全日本ジュニア

J/S Event Pl Name Total SP FS
S 西日本選手権 1 長岡 柚奈 / 森口 澄士 174.20 57.54 116.66
S 西日本選手権 2 柚木 心結 / トリスティン テイラー 138.80 50.59 88.21
J 全日本ジュニア 1 清水 咲衣 / 本田 ルーカス剛史 132.83 48.51 84.32

 

1.世界フィギュアスケート選手権大会

A) 全日本選手権優勝組、2位、3位の組  未定

B) 全日本選手権終了時点でのISUワールドスタンディング最上位組

三浦璃来/木原龍一 3位 / 長岡 柚奈 / 森口 澄士 40位 清水 咲衣 / 本田 ルーカス剛史 56位

C) 全日本選手権終了時点でのISUシーズンベストスコアの最上位組

三浦璃来/木原龍一 214,23 / 長岡 柚奈 / 森口 澄士 172.47 清水 咲衣 / 本田 ルーカス剛史 145.66

 

ペアは、世界選手権の代表枠は3枠あります。今期国際大会で活動しているカップルはシニアでは2組しかありません。3年連続世界選手権表彰台の三浦/木原組は言うまでも無く、長岡/森口組も問題なく代表に選ばれるはずです。昨季と異なりミニマムスコアもしっかりクリア済みです。問題は3枠目。国内では柚木/テイラー組がシニアで活動していますし、ジュニアで清水/本田組がいます。これを代表に選ぶかどうか? どちらもミニマムを持っていないだけでなく、今のスコアからすると、これから取得しようとしてもちょっと遠い、という現実がありますので、全日本でよほど高いスコアを出さないと、世界選手権は3枠あるけれど2枠しか使わない、ということになるかと思われます。どちらかというと、シニアで試合に出ている柚木/テイラー組の方が、ミニマム取れれば世界選手権出てもいいよ、という注釈付き代表にする可能性は相対比較としては高いかな、と一見思われました。ただ、問題があってテイラー選手は日本国籍ではありません。カナダから日本への移籍。国籍はそのままですが所属が変わっているので1年間国際大会に出られません。直近の出場国際大会は23年のジョンニックスペアチャレンジなので1年経っているのですが、24年のカナダナショナルの出場から1年経っていません。これ、厳密にこのルール分かっていないのですが、ナショナルに出ているということは、まだその時点では明らかにカナダの所属なわけで、そこから1年経たないといけないのか、ナショナルは国際大会ではないからカウント外なのかがはっきりしていません。ただ、近い実績で、サリナヨース選手がスイスからイタリアへ移籍した際、スイスナショナルから1年経たずに、国際大会実績から1年経った時期に、イタリアの代表として国際大会に出ていましたので、おそらく、カナダナショナルはカウント外でいいと思われます。ナショナルが1年の起点となっても、ミニマムを取りに行く国際大会には間に合うので、全日本で好成績を収めれば代表3枠目に選んでもらえる可能性はあります。

清水/本田組は世界ジュニアの代表になった場合、すでにアジア大会の代表も決まっていますので、シニアのミニマムを獲りに行こうとすると、ちょっとあわただしいスケジュールになりそうですし、世界ジュニアと世界選手権のダブル代表はなさそうに感じます。

 

2.四大陸フィギュアスケート選手権大会

国際的な競技力を考慮し総合的に判断して選考する。

 

はい、ペアもアイスダンス同様、四大陸選手権の代表選考は身もふたもない基準となっています。

4大陸選手権も3枠ありますので、三浦/木原組は考えるまでもなく、長岡/森口組も当然のように代表に選出されると思われます。ただ、4大陸選手権の真裏のスケジュールで、ミラノオリンピックのプレ大会が行われます。4大陸のタイトルは持っている三浦/木原ペアはプレ大会の出場を希望して4大陸は回避する可能性もあるかと思います。

三浦/木原ペアが出るにしろ出ないにしろ、残りの枠がどうなるかが問題。ただ、今期は、世界ジュニアと4大陸の代表兼任は認めない、との注釈がついていますので、今シーズンジュニアで活躍している清水/本田組は、世界ジュニアを優先させた場合、4大陸の代表にはなれません。清水/本田組は現在シニアのミニマムは何も持っていません。これまでの流れからすると、おそらく世界ジュニアを選ぶのではないかと思われます。

その場合、全日本にエントリーしている残りの1組、柚木/テイラー組にチャンスは回ってきますが、世界選手権の項で書いたように、テイラー選手の移籍問題というのが引っかかってきます。国際大会出場実績基準で1年でいいなら、4大陸の代表はありえそうです。ただ、カナダナショナル基準だと、4大陸は1年経つので理論上出られますが、ミニマム取得時期が間に合わないので、結局4大陸の代表にはなれない、となります。4大陸のミニマムスコアは75.00 柚木/テイラー組は西日本選手権で73.87のスコアを出しています。全日本で何点取れるか? それをもって、4大陸選手権の準備としてミニマム取得のための国際大会の派遣するか否か? が判断されることになるのではないかと思われます。ペアが3組出る4大陸を見てみたいと思います。

 

3.世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会

国際的な競技力を考慮し総合的に判断して選考する。

 

こちらも身もふたもない選考基準ですが、日本で活動しているジュニアのペアは事実上清水/本田組しかいまはありません。世界ジュニアのミニマムスコアもすでに取得しています。そのまま代表の1枠に収まるものと思われます。ただ、柚木/テイラー組は年齢計算からすると世界ジュニアに出場可能です。ついでに長岡/森口組も計算上は出場可能です。しかしながら、長岡/森口組はジュニアのミニマムを持っていないですし、今からジュニアのミニマムを獲りに行くくらいなら、4大陸選手権を優先させると思われます。問題は柚木/テイラー組が、4大陸のミニマムを取るには厳しいけれど、世界ジュニアのミニマムなら獲れそうで、かつ、清水/本田組を全日本で大差で上回った場合にどうするか? というのはあるかもしれません。まあ、非常にレアケースなので、その場合、柚木/テイラー組は4大陸のミニマム挑戦頑張れ、というコースになりそうに思われます。

 

ペアの代表選考は、柚木/テイラー組がどこにどう絡むか? 以外は、事実上ほぼ全部決まっているように見えます。あとは三浦/木原組が4大陸を選ぶか、プレ大会を選ぶか、というのも気になるところです。