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読書感想文からの雑感

 Xより、

 もうそんな時代は半世紀も前ですが、今でも伝統は脈々と受け継がれていると感嘆した次第です。ちょっとだけ調べたら、今でも現代国語の試験問題は、
    作者はどう考えるか
 これ式の問いかけのようです。出題形式としてそうなると言うか、慣習的にそうなっていると思いますが、これが本当に作者がそう考えていたものではないのは既に周知の事です。だって出題者が作者に確認なんてしていないからです。

 あれは出題者が読んだ勝手な感想です。ですから回答者は会ったことも、見たこともない主題者がどう感じたかを推理して回答を探す問題になります。だから苦手とする人は多いと思っています。

 ついでに言えば作者も「こう思って欲しい」「こう考えて欲しい」の意図を込めて書いてはいます。ですが作者の意図通りに受け取られなくても間違いとはしない人も多いはずです。どちらかと言えば意図通りに伝わらなかった点に力不足を感じるぐらいでしょうか。

 作者と読者の感じ方が異なるのは生じて当然と考えています。とくに読者は生まれも育ちも、それこそ千差万別だからです。そんな読者に一律で同じ解釈をさせるのは至難の業の気がします。

 これは文学、文芸作品についてはそうなるものだと考えていますが、そうであって欲しくない文章があります。わかりやすいのならマニュアルとか、教科書とか、論文とか、学生のレポートとかの実用文です。

 論旨を可能な限り明快にし、それを誤解なく読み手に伝えることが求められるからです。そのためには無味乾燥な文章になるのさえ問題とされません。これは広義の文学、教義の純文学の定義になりますがwikipediaより、

    学問のための文章でなく美的形成に重点を置いた文学作品
 明治時代の定義ですが、基本的には今も同じと考えています。美的形成をどう解釈するかに手を出すと長くなりますが、ここに文学への対比として学問のための文章が出されています。これは誤解なく論旨を伝えるための実用文としても良いかと思います。

 文学とは実用文のように必ずしも作者の意図したものが読者に伝わる必要はないと私は受け取っています。その文章を読んで様々な感想を読み手が抱けるからこそ読書感想文なるジャンルが成立しているはずです。

 さらに言えば読書感想文も実用文ではないと存じます。大きなジャンルとしては文学に属すはずです。

 と粋がってみても、現国は学問として教科にあり、一律の試験で評価されるものです。もうそういう試験と棺桶に入るまで無縁の人物の妄言を学生の方々は冷笑してください。それこそ百害あって一利なしです。