【最新研究でわかった生理と心の関係】激しい生理痛…それはメンタルヘルス不調のSOSサインかも!?
学術誌『Briefings in Bioinformatics』に発表された最新の研究によると、うつと重い生理痛には深い関連があることが明らかになった。この研究結果は、心と体がいかに密接に関係しているかを示している。
生理痛がうつの原因になるのではなく、うつが生理痛の原因?
生殖年齢にあたる20〜40代の女性は、精神的なストレスやホルモンバランスの影響から、心の不調が現れやすい。また、多くの女性が経験する生理痛もストレスの大きな要因のひとつである。その痛みの強さや期間は人それぞれであるが、時にその痛みが手に負えないほど強くなり、日常生活に支障をきたすことがある。ひどい生理痛が原因で鬱々とした気分になるかと思いきや、先日発表された最新の研究で、うつが重度の生理痛(月経困難症)の原因となる可能性があることが示された。今回の研究の筆頭著者であり、西安交通リバプール大学の博士課程に在籍する研究チームのリーダーであるシューヒー・リュウは、次のように述べている。「私たちの研究では、生理痛がうつの原因になるのではなく、うつが生理痛の原因となる可能性が示されました。」
うつは心だけではなく、体に様々な症状を引き起こす
生理痛は通常、ホルモンの変動によって引き起こされるものと考えられがちだ。しかし、今回の研究は「うつが生理痛の原因になり得る」という視点を示した。うつは単なる「心の問題」ではなく、体にも様々な症状を引き起こすことがある。この関連性の背景には、遺伝的要因も影響している可能性が指摘され、研究者たちは、うつと生理痛をつなぐ特定の遺伝子を特定した。さらに、このつながりを強める要因として、睡眠障害が挙げられている。
うつを抱える人は、しばしば不眠や睡眠の質の低下に悩まされる。そして、この睡眠の乱れが生理痛をさらに悪化させることが研究で示されている。シューヒー・リュウは、次のように説明している。「睡眠障害は、うつと生理痛のつながりを強める要因である可能性があります。睡眠問題を改善することで、これら両方の症状を管理する助けになるかもしれません。」例えば、夜なかなか寝付けなかったり、途中で目が覚めてしまったりすることで身体が十分に回復できず、生理痛の痛みが一層強く感じられることがある。
生理痛に悩んだらメンタルのケアも忘れずに
今回の研究が示すのは、メンタルヘルスと身体的健康が切り離せないものであるという事実だ。多くの女性が生理痛に悩んでいる一方で、その痛みの背景にあるメンタルヘルスの問題には目を向けられていないことが多いのが現状である。シューヒー・リュウは、次のように述べている。「生理痛に悩む患者の治療では、メンタルヘルスが考慮されることがほとんどありません。しかし、重い生理痛に悩む人々に対して、メンタルヘルスの診断を取り入れることが重要です。」心のケアと身体のケアを統合的に行うことで、より効果的な治療が期待できると考えられる。これは、女性が日常的に抱える生理痛や心の不調に対する偏見を減らし、より理解のある医療やサポートを提供する大きな一歩となるだろう。
「生理痛だから仕方ない」と無理をするのではなく、自分の体と心のサインに耳を傾け、必要ならば専門家に相談することが大切だ。日々の睡眠や生活習慣を見直しながら、心身ともに健康な生活を目指していきたい。
出典:
Study Finds Genetic Link Between Menstrual Pain and Depression
Depression increases chances of experiencing menstrual pain
Women with depression may be more likely to have painful periods, study suggests
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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