チャドクガの恐ろしい生態
チャドクガは、日本を代表する毒蛾です。お茶の木などツバキ科の葉に発生することから茶毒蛾(チャドクガ)とよばれています。
幼虫期はいわゆる毛虫と呼ばれる外見で、黒く見える模様の部分に、風で飛ばせるほど小さな「毒針毛(どくしんもう)」と呼ばれる目に見えない小さな毒毛を持っています。この毛虫に直接触れたり、飛んできた毒毛が皮膚に刺さることで、皮膚炎などの被害が引き起こされるのです。幼虫はツバキ科の葉に密集し、集団で葉を食べます。危険生物であり、園芸植物の害虫でもある存在です。
食草(エサ):チャノキ、ツバキ、サザンカ等のツバキ科の葉
幼虫の発生時期:6月ごろ、9~10月
分布:本州~九州。ツバキ科の植物がある公園、庭など
チャドクガは、山や森林内よりも、都市部の公園や庭木などで出会うことが多い危険生物です。幼虫はもちろんですが、チャドクガはマユや成虫、卵も触ると危険なのが特徴です。
直接これらを触る機会は少ないかもしれませんが、行動範囲の広い成虫については、その姿を覚えておくことも対策の一つです。成虫は25~35mmくらいで、メスは翅には小さな黒い点が二つある黄色い外見で、オスは黒褐色をしています。
成虫は葉に卵を塊にして産みつけます。この卵塊(らんかい)には毒針毛がついていて、モサモサとした見た目です。触ると皮膚炎症状を引き起こすため、見つけても触れないように注意が必要です。
産卵は年2回、7~8月と11月ごろに行われます。11月ごろに生まれた卵は、卵のまま越冬し、翌年の春に幼虫へと孵化します。
チャドクガの症状と応急処置
チャドクガによる皮膚炎は刺された直後から発症しますが、風に飛ばされてきた毒針毛による被害では、遅れて気づくことも多いです。「昼間公園に行っていて、夕方になってから腕がかゆいなと思ったら、腕が赤い発疹でいっぱいだった」なんてこともあります。
かゆみは人により差がありますが、完治するまで2週間程度かかる傾向があります。「庭木の手入れをしていて、終わった後で発症」ということもあります。幼虫の発生時期には注意が必要です。
やってはいけない対処法
・こする・掻く→被害を広げる恐れがある
・刺された時の洋服を、そのまま洗濯機で洗う→毒針毛が他の服へ移ってしまう
正しい応急処置方法
・粘着テープで毒針毛を取り除く→症状が出ている個所を中心に、テープで取り除く
・流水で洗う→患部を清潔にし、毒針毛を落としたり、腫れを防ぐ効果が期待できる
・抗ヒスタミン軟膏を塗る→あまりにも症状がひどい場合は、病院へ
池田模範堂 ムヒアルファ EX
内容量 | 15g |
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毒針毛がついた衣類は、
- 粘着テープで除去
- 50℃以上のお湯で洗う
- アイロンがけ(またはスチームをかける)
以上の方法で対応が可能です。
※庭木の手入れなどをチャドクガの幼虫がいる時期にやらなければならない場合、ビニール製のポンチョや合羽などを着用したうえで実施すると、より安全です。
チャドクガの駆除法 3つのステップ
ツバキやサザンカなどの庭木のチャドクガは、風によって毒針毛が飛ぶのが最も厄介な性質です。そのため、公園などでチャドクガの幼虫の駆除を行う場合は、バーナーで焼く方法がとられますが、一般家庭ではその対応は大変です。
そんなときは、チャドクガ用に開発された固着剤を使用する方法があります。
KINCHO チャドクガ毒針毛固着剤
容量 | 180ml |
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1.しっかり装備!
ゴム手袋、長袖長ズボン、帽子、マスクなどを装着し、なるべく肌が露出しないようにする。洋服の上に、ビニール製の合羽などを着用すると、洋服も安心。
2.殺虫剤をかける
葉を揺らさないようにし、なるべく離れたところから殺虫剤をかける。
3.枝ごと切り取り、袋に入れて口をしっかりしめる
幼虫だけとるように作業をすると危険なので、幼虫がいた枝ごと切り取り、ビニール袋などにいれ、しっかり封をし、燃えるごみとして捨ててください。
※チャドクガの発生量が多い場合は、専門業者に依頼した方が安全です。
※毒針毛はもちろん、殺虫剤が自分にかかる可能性もあるため、強風時を避けて作業をしてください。
身近に潜むチャドクガ
毒性のある生き物は日本にたくさん生息しています。中でもチャドクガは庭や公園のツバキ科の植物に生息しており、人の生活圏からとても近いところにいる生き物です。こうした身近な存在だからこそ、チャドクガの生態や、対処方法を把握しておくことはとても大切です。