ドワンゴは2008年12月22日,ニコニコ動画の上で最大数十万人がチャットできるサービス「ニコニコ広場」を開設した。
ニコニコ広場には,ニコニコ動画の各動画の右上にある「ニコニコ広場に行く」ボタンで入ることができる。また時報が流れると,自動的にニコニコ広場に移動する。ニコニコ広場では,現在アクセスしているユーザーがさまざまな動画に書き込んだコメントがリアルタイムに表示される。動画エリアには通常,現在閲覧されている動画のランキングや生放送の情報などが表示される。
動画,生放送に次ぐコミュニケーションの進化
「ネット上に“群衆”を作りたい」(ドワンゴ 研究開発本部 杉谷保幸氏)---ドワンゴでは,ニコニコ広場を,「ニコニコ動画」,「時報(ニコ割)」,「ニコニコ生放送」に次ぐコミュニケーションの進化と位置付ける。「クラウドメッセージング(Crowd Messaging)」と,ドワンゴでは名付けている。
ニコニコ動画は「非同期に掲示板に書き込まれたコメントを,動画の時間軸に沿って見ることで擬似的なリアルタイム感を得られるようにする」(ドワンゴ 研究開発本部 戀塚昭彦氏)ものだ。動画を共有することで,ニコニコ動画に集まったユーザーはバラバラなユーザーではなく場を共有する“つながった群衆”となった。ニコニコ動画にとってユーザーの書き込みは単なるコメントではなく,コンテンツの一部となっている。
このニコニコ動画のコミュニケーションを実際にリアルタイムで行ったのがニコニコ生放送である。ニコニコ生放送は,ユーザー同士が場を共有するだけでなく,出演者がユーザーのコメントを読み“場”を共有する。出演者がユーザーのリクエストに応じたり,質問に答えたりすることで,ユーザーもコンテンツ製作者となる。「こういった形のコミュニケーションはリアルにはあったが,ネットにはこれまでほとんどなかった」(戀塚氏)。
このようなリアルタイムのコミュニケーションを「一カ所に集めて同期しよう」(ドワンゴ 第二開発部 藤田俊氏)としたのが,今回始まったニコニコ広場だ。
もともと,動画にとどまらないコミュニケーションの需要はあった。例えば地震のような事件が起こると,ランキング上位の動画にユーザーが集まってきて地震について会話を始めるという現象があった。ニコニコ広場は,このような「動画以外の話題について話をしたい」というユーザーが集まる場にもなる。