図 新競争促進プログラム2010の論点ごとのスケジュール 最終目標は2010年に据えてある (クリックすると画面を拡大) | |
新競争促進プログラム2010は,2010年代初頭を目標に多岐にわたる論点を検討し,結論を出す方針だ。総務省が2010年を意識するのには,三つの理由がある。
第1が,政府が2006年1月に決定した「IT新改革戦略」で2010年までにブロードバンド・ゼロ地域の解消を目標にしていること。また,総務省が掲げる「u-Japan」も2010年が最終年度に当たる。第2は,通信事業者の次世代ネットワーク構築が本格化する時期であること。NTTグループは2010年までに光ファイバを3000万世帯に広げることを目標に掲げている。そして第3が,地上アナログ放送からデジタル放送への移行だ。2011年には地上アナログ放送は停波する予定。総務省は既に,IPマルチキャストを使った同時再送信を実施する方針も固めている。通信と放送の融合が本格的に進むのも,2010年代初頭なのだ。
まずは総務省が新競争ルール策定にコミットする
今後のスケジュールはこうだ。9月中旬にも開催するIP懇談会の次回会合で寄せられた意見について議論をし,大きな問題がなければ新競争促進プログラム2010を承認する。これを受けて,総務省が正式なプログラムを作成し公開する。
こうした作業の進め方に,総務省の“本気度”が現れている。というのも「総務省内の布陣が変わるといった状況変化があっても,必ず競争ルールの策定を実行すると総務省自身がコミットする意味合いがある」(総務省)からだ。
そして秋口には本格議論がスタートする。複数の研究会を立ち上げて,それぞれのテーマを検討する方針だ(図)。まず動きそうなのが,MVNO(仮想移動通信事業者)である。MVNOの促進は新規参入や番号ポータビリティなどと並んで,携帯電話市場を一層活性化させる起爆剤になりうる。既に議論は大詰めの状況にあり,早ければ今秋にもガイドラインを改正する見通しだ。
また,NTTの次世代ネットワークにかかわる接続ルールや接続料は,緊急の課題である。NTTグループは,次世代ネットワークを利用した商用サービスを2007年下期に始める方針を明らかにしている。商用サービス開始までにルールの整備を終えるためには,議論にかけられる時間は1年もない。
数年をかけて検討するのは,ユニバーサル・サービスや指定電気通信設備制度の抜本的な見直しだ。これらは通信事業者網のIP化の進展やブロードバンドの普及状況を見ながら議論していくことになる。