ソニーが2009年のPMAで発表し大きな関心を集めたいわゆる「スイングパノラマ」(英語ではsweep panorama)機能が,一般的になり始めた。
今回のPMAの会場では,富士フイルムの光学30倍ズーム機「HS10」(図1)と,韓国Samsung Digital Imaging Co., Ltd.の「TL350」(図2)が同様な機能を搭載していた。両機種とも1000フレーム/秒の動画撮影を実現するCMOSセンサを搭載している。
スイングパノラマ機能は図3のような,いかにもパノラマという写真が簡単に撮れるだけではない。ソニー製品で,ある使い方をすると,ユーザーに「おっ」と思わせる写真が簡単に撮ることができる。しかもパノラマに比べて日常的な風景を撮ることに適している。
具体的には図4のように,縦振りモード設定しておきながら実際には横に振る。すると,図5や図6のような写真が撮れる。まるで一眼レフ機に,重たい広角レンズを付けて撮ったかのような写真だ。つまりスイングパノラマ機能はユーザー・インタフェースを少し変更するだけで,広角撮影機能としてユーザーにアピールできる可能性を秘めている。
富士フイルムの製品でも同様な方法で撮れるが,撮影結果は普通の写真より横にやや長い。このため単なる横が短いパノラマ写真になってしまっていた。Samsung社は「ソニー製品と同様な方法で,同様な広角撮影効果を得られるようにしたい」(説明員)と意欲を見せていた。
従来のソニー製品で見られた「被写体の一部が不自然につながったり,消失したりする」という課題は,既に解決されている。この課題はソニーの従来機で撮った図3でも確認できる。写真左から1/4ほどの場所に写る白いシャツを着ている人の腕が一部消えている。連写結果のつなぎ目に腕が位置したからだ。
そこでソニーは2010年2月に発売した「DSC-TX7」などに,写真内の人やモノの動きを検出し,それらをまたがずに連写結果をつなぐスイングパノラマ機能を搭載した(図7)。富士フイルムの展示機は,こうした機能を備えていなかった。Samsung社は「動体検出に基づくパノラマ写真の合成機能を開発中」(説明員)という。