月が綺麗amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 僕が言葉を話す 君が言葉で答える 僕らの距離を埋めたのは きっと言葉だった 地面に寝転んで星を 数えながら思ったこと これから話す言葉は ただそれだけの話 宇宙の埃として 右往左往ばっかの僕らは 地面に縛られてるから きっと本能なんだ この重力に抗いたいのは 涙が地面に落ちるのは それなりの重さがあるから 人生において苦楽は 惑星における衛星のよう 喜びだけを掴みたくて 近づき過ぎて墜落して 台無しだって泣いたんだ ところで今夜は月が綺麗 僕は時間を言葉で測る 千文字過去は捨てて行く 一万文字疎遠の彼とは 飲みにでも行かなきゃ足らないから お陰で千鳥足の帰路 北も南も分からなくなって もう諦めて寝転んだ歩道 空なら迷わず行けるのに プライドを守る為に 人を否定なんかするなよ 綻びはすぐに縫い合わせ 継ぎ接ぎだらけでみすぼらしい でも信念は大概そんなもんだ 飛べないからこそ見た景色 些細な綺麗が僕ららしい 人生において苦楽は 惑星における衛星のよう 悲しみだけ遠ざけたくて 離れ過ぎたら放り出され 真っ暗だって泣いたんだ ところで今夜は月が綺麗 あの惑星まで何万文字費やせば 意固地になるのは己の人生だから 気が狂うほど積んでは崩し 高くなるほどに足場は揺らぎ 重力に抵抗せよ 抵抗せよ 抵抗せよ その先を見たい訳じゃない 逆らってるだけ 逆らってるだけ 喪失と欠落の空白 埋める為に選んだ何か 人生において苦楽は 惑星における衛星のよう 重力に縛られた僕が あの星へ行く為の言葉 国道に寝転んで ところで今夜は月が綺麗 |
独白 (検閲済み)amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 私が私を語るほどに 私から遠く離れてしまうのは何故でしょうか? ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「どこにでもいる真面目な子でした」■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 途方に暮れた十五歳の夏 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との いかなる類似も■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ひぐらしの声 夕涼み 恋占い■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■にたがりの志願者 ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との いかなる類似も■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■ ■■■■■■ テレビ ラジオ インターネット ■■■■■■■■■■ ■■■■■■ ■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■ 喜び 悲しみ 怒りだとか憎しみ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 奪われた言葉が ■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■ ■■■■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■ |
ワードプロセッサーamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 遮光粘膜に囚われて 能動性が切断された感性を 自由解放運動、奪還の行路 故に単身武装蜂起 生きるか死ぬかにおいて 終わりを逆算、サバービアのメメント・モリ シャッター街の路地 郊外の鉄橋 背後霊が常に見張っている 言葉から言葉の国道を 往復し続けた十万キロの中古車 海岸に見果てぬ夢を看取り続けたら 夢だってとうとう見果てた 骨をうずめるなら故郷に でも僕の言葉の死に場所ならここだ 十年後、百年後 何かしら芽吹く種子だと確信している 歌うなと言われた歌を歌う 話すなと言われた言葉を叫ぶ 燃やすほどの情熱もないと いつか流したあの敗北の涙を 終わってたまるかと睨んだ明日に 破れかぶれに振り下ろした苛立ちの衝動を 希望と呼ばずになんと呼ぶというのか 現実も空想も等しい重さで 鉛となり降りしきり その胸に空いた風穴 そこからあんたの白けた明日ってやつが見える 演算式にしゃべり続けたワードプロセッサー 破り捨てられたちっぽけな一行も 数年を経た今となっては ついには岩のような絶望すらも穿つ 歌うなと言われた歌を歌う 話すなと言われた言葉を叫ぶ 燃やすほどの情熱もないと いつか流したあの敗北の涙を 終わってたまるかと睨んだ明日に 破れかぶれに振り下ろした苛立ちの衝動を 希望と呼ばずになんと呼ぶというのか 歌うなと言われた歌を歌う 目が眩む |
空洞空洞amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 耳を塞いだって ざわめきは聞こえてくる 酸性雨で花は枯れた 明日咲くはずの花は枯れた 意味のないことばっかりだ 意味ばかり求めすぎるから トンビは山に鳴いた もう帰れないと泣いた 掃き溜めみたい憧憬も 遠くからは見とれていた 憧れが駆け込み乗車 いたたまれなく頭を垂れた 絶望と君、隣り合わせ 自暴自棄とは背中合わせ がらんどうが乗り合わせ 乗り過ごしたんだ幸福を 空っぽな奴ほど詩を書きたがる ほんとそうだよな ほんとそうだよな 傷ついたなんて言わないぜ けど痛くないわけじゃないよ 優しい人なんていないぜ 武装解除しただけ 空洞空洞 僕らが野垂れ死んだって その頃には忘れるくせに 「信じてる」も「愛してる」も オーナメント巻いてる空洞空洞 何にもやる気が起きないよ やりたいことなんてないよ 反省なんかもうしないよ 責任なんてとらないよ 別れた人はもう忘れた でも忘れたこと忘れない 亡霊と僕ら生きてる つまりは憑りつかれてたんだよ 送電鉄塔 原っぱで口ずさもう 夢にあふれた歌 夢にあふれた歌 死にたがらない奴らが 死にたがる奴らを迫害した 翌日の某コンビニで マシンガンは品切れ 空洞空洞 君の骨は拾えないぜ この命使い果たすまで それを使命と呼ぶんだよ そんな訳ねえよ 空洞空洞 離れるものを留める術それすら持たない僕らは 泣き言ばっかを歌う 最近街でよく流れる流行歌 あれだってそう 誰だってそう 街はがらんどう 巨大な空洞 車道の側溝 自販機の横 笑みの喉元 君の足元 夢、希望も恨みつらみも 「君に会いたい」も「くたばれ」も 詰め込んだ火炎瓶で 世界ざまあみろ 空洞空洞 みんな死んだ焼野原で めでたしめでたしで終わり そうだったらいいのにな なつかれちまった 空洞空洞 |
水槽amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 車両基地のレールが 喘息みたいに軋む音がして 雨が近いことをさとる ショッピングモールの駐車場では ベンチに腰掛けた春が ATMが開くのを待っていた 陽射しは依然、退屈な音量で オルゴールみたいなジャズは この町に似合うことを自覚してるから 鳴るべくして鳴っているのだ 僕らは焦りで満たされた 水槽で生きてるから 僕らは恐れが充満した 喫煙室で暮らしてるから 今日が終わることに焦りも恐れもなく 清書された一日を 目でなぞる様に そして、あくびを噛み殺しもしない 誰かそのエアーポンプの電源を切ってくれないか さもなくば僕がそうする 見てみろよ これが世界の全てだ シャッター商店街 環状道路7号線 地元のラジオから流れるスタジアムロックが 大仰なエンジン音で ネズミ捕りに捕まった 退屈も悪くないって言葉は 退屈以外を知ってはじめて言えるんだ そして、あのパチンコ店の看板 あれが世界の果てだ |
ハルキオンザロードamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 僕らの別れは最初から決まっていた 墓石に刻みたいくらいさ 君と過ごした数年は ピックアップトレーラーにそれぞれ雑魚寝して 寝汗に染み入る虫の声 真空パック夏の情景 ハルキはホントに人生が下手だから 子供のキャッチボールみたいに 全く不器用な放物線 ああ ああ 放り投げた身体が 落下したとある夏の一夜 そこが我が家だって顔で生きていた 道なき道、すらない道 辿ったのではなく描いたのだ 世界は白紙のノートで 留まるにはまだ広すぎる 生きるという名前の列車に乗って 時間の後ろ姿、追い越した 相席をした彼の名は悲しみ それを知ったのはもうずっと後 夜を散らかし 夏を散らかし それを露骨に照す夜明け ライブの打ち上げで 酒癖悪い奴に絡まれて さっさと逃げ出して、そいつのバンに立ち小便 美しい記憶はいつも夜だ ぼろい電飾看板と月と 二人だけが浮き彫りのエッチング画 想像力で飛べるなら宇宙の果てじゃなく僕の中 見たい景色を掘り返す 墓暴きみたいに掘り返す でかい夢ほど僕らを汚す 例えば作業服のペンキ跡 ロマンチストはいつも泥まみれ 積み上げたら積み上げた分 その重さで身動きとれないな 世界中全部ガラクタ 眩いばかりのガラクタ 馬鹿でかい音楽、投げやりな酩酊 世界の真理が休符の隙間 愛した彼女は砂漠の一滴 時間の速度で飛び散って干上る 夜を散らかし 夏を散らかし それを露骨に照す夜明け 馬鹿笑いした夜が耳鳴りになって 眠れぬ夜に刃先を突き立て 僕らの間に川が横たわる 時間という名前の川が 青春と呼ばれた無残な抜け殻 君が変わったように僕も変わった 僕らの別れは最初から決まっていた 一番眩しい恒星ほど 燃え尽きるのも早いんだ ハルキ、君は僕にとって腫瘍だ 手の施しようない未知への衝動 眩い光ほど誘われる虫 白日の下でどこへ行けばいい? 時の移ろい 人の移ろい 今でも露骨に照らす夜明け |
悲しみ一つも残さないでamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 汽笛が鳴れば素っ気なく もうこれまでと旅ゆく人 泣けば切ない、笑えば尚更 だから悲しみ一つも残さないで 家族と別れ、友と離れ どこで暮らしても僕は僕で そういう考えはやめておけ 生きた轍を君と呼べ ああ大嫌い 悲しい事は なのに僕らさよならばかり どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして 歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ できればこっそり出てってくれ 悲しみ一つも残さないで 旅ゆく人は荷物も少なく 望郷、忘れ難き思い出も 始発駅に全部置いてくるから 青森駅は感傷だらけ 夢は夢だとうそぶいた 叶えてこその夢だと誰かが言った 夢を終えた奴らに耳を貸すな 君の夢なら 君が夢見ろ ああ大嫌い 苦しい事は なのに僕ら戦ってばかり どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして 歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ できればこっそり出てってくれ 悲しみ一つも残さないで 戦う人よ傷を癒せ 道半ばで倒れる事なかれ 「命など惜しくない」と言うが 君を惜しむ人がここにいる 先は長いが終わりは早い 焦りはじめてからが始まりだ その先の事は僕も知らない 言いたい事はこれで全部 ああ大嫌い 寂しい事は なのに僕ら旅立ってばかり どこにも行かないで ずっとこの町で暮らして 歳をとって死ぬまで 笑って生きてたいよ 汽笛が鳴るから僕も行くよ 悲しみ一つも残さないで 悲しみ一つも残さないで |
バケモノamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 彼は化け物 嘘を食らう獣 月曜の朝に捨て犬のように公園で出会う 濡れたアサガオ 真夏の太陽の 真下で倒れ 息も絶え絶え 怯えた目玉で しなびた体毛を撫ぜれば ひきつる口元 痩せこけた体躯 それは憐みだったか、情けなのかどうか 僕の嘘を一つあげようか 例えば僕は今消えたいのに 嘘をついてる 嘘をついてる 家族の手前、学校には時間通り出掛けるんだよ そして今日も楽しかったんだと 嘘をついてる 嘘をついてる こいつを食らえ なあ化け物、ずいぶんうまそうに食うもんだな 彼は化け物 嘘を食らう獣 腹を満たして僕に懐いて 見る間に育って 僕は除け者 飛び降た歩道橋 病院の窓 すすり泣く母 木立ちに夕焼け もの欲しそうな表情浮かべ 次第に肥大するその体躯 次の嘘をもっともっととせがむもんだから そうか 僕の嘘を一つあげようか ほんとは僕、死に損なったのに 嘘をついてる 嘘をついてる 家族の手前 「運が良かったんだ」と 悪びれて笑ったよ そして今日も息をするみたいに 嘘をついてる 嘘をついてる こいつを食らえ なあ化け物、ずいぶんでかく育ったもんだな 僕の背丈を超えた化け物 嘘の塊みたいな僕を 綺麗さっぱり食べてくれないか 「生きるのが辛かった 苦しくてしょうがなかった だけど辛いと思われるのが 一番辛いことだから」 ようやく本音叫んだら 化け物は見る間に萎んだ でもね僕はまだ嘘を隠してる 自分さえ騙す僕の嘘を ほんとは笑って生きたいくせに 嘘をついてる 嘘をついてる 理想、現実 そのずれを 埋めるための仮初の夢想なら 弱い僕らに嘘は必然か 今日も誰もが 嘘をついてる そいつを食らえ なあ僕らは、表裏一体の実像と影 彼は化け物 嘘を食らう獣 一人に一人 誰も彼もが背後に匿う その隠し事 蓋をしてる腫物 君の背後にそびえ立つ影 ずいぶん巨大だな |
リタamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 君が出てくならそれでいいよ 借りた物は返すから 時計もCDも電車賃も全部 君の優しさ以外は 線路沿い 一人歩いてる夜道の 街灯に影が二つ 君の亡霊だ きっとそうなら嬉しいな 明かり途切れてひとりぼっち 変わらないと思ってた そんなものある訳なかった でも君はそう思わせたんだ まるで詐欺師か魔法使いみたい ねえリタ 離れない人に泣いたりしない 壊れない物に泣いたりしない 一人で平気 嘘なら言える 言葉だったら どうとでも言える 部屋の中 黙りこくった冷蔵庫と 笑い声がテレビの中だけ 気持ちが見えたならいいのにな いややっぱりいらないや 残酷だから 人の為に生きたい君と 自分の為に生きたい僕 合わない歯車が回っては軋む音 そんな風だった、二人の笑い声 一つを選ぶという事は 一つを捨てるという事だ それならいいよ 僕は大人しく ゴミ箱に入って君を見送るんだ ねえリタ 自分の為に泣いたりしない 苦しい時も泣いたりしない そんな君がさ なんで泣くのさ 僕より先に なんで泣くのさ 自分とばかり向き合って 人とは決して向き合わずに 言葉を選ばないのなら 傷つけて当たり前だ 過去とばかり向き合って 今とは決して向き合わずに 後ろ向きで歩いてりゃ つまずいたって当たり前だ 留まる人に泣いたりしない 分かったつもり だから僕はもう 自分の為に生きたりしない 誰かの為に笑ってみたい 君みたいに 忘れた過去に泣いたりしない 過ぎない時間に泣いたりしない 君と笑った 季節が終わる 時は流れる たったそれだけ |
ぼくら対せかいamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | モールの駐車場で花火してはしゃいでいる若い親子連れ 野球場とドンキのライト煌々と まるで系外惑星のメテオライト 二日酔い吐瀉した給付金 鱗粉にかぶれる地方都市 バイパスで先輩が死んだ ここ十年毎年死んだ 人生に意味を問うたら終わりだ って価値観で虫を潰した 僕らにとって哲学とは居酒屋の便所に貼ってあるポエムだ 飲みすぎたときにだけ「頷けなくもないな」なんて頭よぎる代物 翌日には汗と伝票であっという間に干上がる 光は木漏れ日 操車場の貨車に 働くあなたに いつか世界を変えたあなたに かつては僕と君だけがいて その静謐な場所を世界と呼んで 結んだ身体 終末に青さを看取って 校舎の夕焼けときのこ雲 ブレザーのリボンと孤立の最果て オイルの染みたシャツで 幻想をトラックに積み込む 過去 未来 ぼくら対せかい 何かを置き去りにしてしまった気がするんだよ でもそれが何なのかはもう忘れた もしくは何かに置き去りにされたのかもしれない いつもせっかちで何かの使命みたいに 先を急ぐ彼女の名前はたしか「時間」 後ろ姿さえもう見えない その微笑さえ思い出せない 痛みは過ぎ去り かさぶたの夕焼け 古傷、疼けど かき消した目覚ましの音 かつては眼前に無限の荒野 行くも行かざるもただ勇ましく 倒れた友よ 決して置いて行きはしないぞ 繊細さ故、僕ら武装蜂起 劣勢から覆し掴みとる勝利 かつての栄光 梱包しても宛先不明 過去 未来 ぼくら対せかい 世界は変わると信じてた 僕らが変えると信じてた 離れ離れになったって 気持ちは変わらないと疑いもしなかった 裏切りも 欺きも いわれのない濡れ衣も へつらいも 言い訳も 口約束も マンガ喫茶も 満員電車も 見え透いたお世辞も 謝罪も 恥も罵倒も 本音を語れる仲間も かつての戦友も かつて笑えなかった笑い話も 音楽も 息子、娘も 政権も 右も左も 過去、現在も 未来の話も 束の間の休息、週末に 公園でぬるい風に吹かれて 繋ぎあう手に 時を経た分、それだけの温もり あの日救った世界の続きを あの日うち倒した世界のその後を 苦悩しながら 僕ら懸命に生きてた 過去 未来 ぼくら対せかい |
フィロソフィーamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 辛くて悔しくて まったく涙が出てくるぜ 遮断機の点滅が警報みたいだ、人生の くさって白けて投げ出した いつかの努力も情熱も 必要な時には簡単に戻ってくれはしないもんだ 回り道、遠回り でも前に進めりゃまだよくて 振り出しに何度戻って 歩き出すのも億劫になって 商店街の街灯も消える頃の帰り道 影が消えたら何故かホッとして 今日も真夜中に行方不明 死ぬ気で頑張れ 死なない為に 言い過ぎだって言うな もはや現実は過酷だ なりそこなった自分と 理想の成れの果てで 実現したこの自分を捨てる事なかれ 君自身が勝ち取ったその幸福や喜びを 誰かにとやかく言われる筋合いなんてまるでなくて この先を救うのは 傷を負った君だからこそのフィロソフィー 都市の距離感解せなくて 電車は隅の方で立ってた 核心に踏み込まれたくないからいつも敬語で話した 心覗かれたくないから主義主張も鳴りを潜めた 中身無いのを恥じて ほどこした浅学、理論武装 自分を守って 軟弱なその盾が 戦うのに十分な強さに変わる日まで 謙虚もつつましさも むやみに過剰なら卑屈だ いつか屈辱を晴らすなら 今日、侮辱された弱さで うまくいかない人生の為にしつらえた陽光は 消えてしまいたい己が影の輪郭を明瞭に 悲しいかな生きてたんだ そんな風な僕だからこそのフィロソフィー 正しいも正しくないも考えだすとキリがないから せめて望んだ方に歩けるだけには強がって 願って破れて 問と解、肯定と否定 塞ぎがちなこの人生 承認してよ弁証法 悲しみを知っている 痛みはもっと知っている それらにしか導けない 解が君という存在で そもそも僕らが生きてく動機なんて存在しなくて 立ち上がるのに十分な 明日への期待、それ以外は 僕は僕の問いを解いて 君は君の、君だからこそのフィロソフィー |
空に歌えばamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば 後悔も否応無く 必然 必然 なるべくしてなる未来だ それ故、足掻け 蜃気楼 涙の川を漕ぎ出して 幾星霜 さよなら 行かざるを得ない 何を失ったとて 忘れない 悔しさも 屈辱も 胸に飾って 虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば 後悔も否応無く 必然 必然 断ち切るには眩し過ぎた 未来へ、足掻け 人を傷つけずには 本懐は遂げられず 失って構わないと思える 理想が道しるべ 笑うなら 笑ってよ 嘲笑も 道連れにして あの日の君の声 言いたかった事 言えなかった事 空に歌えば 後悔を振り切って 必然 必然 投げ出すには背負いすぎた それ故、足掻け 苦悩は一陣の驟雨となりて 行かすものかと足にすがる嘲笑の泥濘 雨雲に幽閉 隔離された空 捕縛された暗がりからの逃走 掴んだものはすぐにすり抜けた 信じたものは呆気なく過ぎ去った それでも、それらが残していった、この温みだけで この人生は生きるに値する 失意の濁流を抜けて 曇天から射す一条の光 その時、既にもう 雨は上がっていた 虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久 空に歌えば あの日なにか叫んでた君の声 言いたかった事 言えなかった事 空に歌えば 後悔も連れ立って 必然 必然 終わらすには失くしすぎた それ故、足掻け 有限 有限 残り僅かな未来だ それ故、足掻け |
月光、街を焼くamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | カーテンから漏れる月明り それを頼りに書く手紙 今生さらばと結ぶなら 別れの手紙のはずでした 色々あったの色々を 未練がましく箇条書き 私の歴史を知る旅路 ペンを銃器に見立てては 乱射する空想は実感をかすり あるいは誰かに命中し 都市では空が炎上し 冷笑じみた街に高笑い 逃亡の日々がはじまって ついには追い詰められた僻地で 自由を振りかざした僕は 発砲された自由に殺される 閉じた目 冷めた目 触れた手 それだけ この旅程 どれだけ この夢 仮初め 世界を 燃やして 燃やして 燃やして あまだれ 逃げ出せ 逃げ出せ 逃げ出せ |
たらればamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | もしも僕が天才だったなら たった一つだけ名作を作る 死ぬまで遊べる金を手に入れて それこそ死ぬまで遊んで暮らす もしも僕が王様だったなら 嫌いな奴は全員消えてもらう 僕以外、皆居なくなるかもな なら僕が消えた方が早いか あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も 悪くはないなって思えたんだ 無い物ねだりの 尽きない戯言 もしも僕の頭が良かったら 大学に行って勉強するよ 立派な仕事で親孝行して 両親が喜ぶ顔が見たかった もしも僕が優しい人だったら 困ってる人は全員助ける 見て見ぬ振りで素通りして 惨めな気持ちになるのは、もう嫌だ もしも僕が話し上手だったら 深夜ラジオのパーソナリティーになる どこかの誰かの辛い一日を 笑顔で終わらせる人になる あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も 悪くはないなって思えたんだ 無い物ねだりの 尽きない戯言 もしも僕がミュージシャンだったなら 言葉にならない言葉を紡ぐ 誰も聞いた事無い旋律で そんな事考えていたっけな もしも僕が名医だったなら 親父の病気は僕が治す 照れくさいから言わないけどな そういうとこばっかり似てるよな あなたの眠った顔見ていたら こんな僕も 悪くはないなって思えたんだ 無い物ねだりの 尽きない戯言 もしも僕が神様だったなら 喜怒哀楽の怒と哀を無くす 喜と楽だけで笑って生きていて それはきっと贅沢な事じゃない もしも僕が生まれ変われるなら もう一度だけ僕をやってみる 失敗も後悔もしないように でもそれは果たして僕なんだろうか |
夏の日、残像amazarashi | amazarashi | 後藤正文 | 後藤正文 | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 答えを知って僕ら 繰り返しそうさ ささくれて溶け出すこころ 悲しみの訳は埋まらない隙間 不純な手でその胸を焦がす 敢えて見ないその先 敢えていないことにして 間違えたアンサー 繰り返しそうさ わだかまって離れるこころ 浮かない心情の埋まらない隙間 不純な手でその夢を壊す 夕立ち 蝉の音 報われぬ幻想 僕だけ残して流れて流れた 仁王立ち デタラメ 強がりはいっそ 夏の日、残像 消さないで消えないで 止まらないで… 最大公約数 探して塞いでる 割り切れるモノなんて無いのに 君の目に写った 僕が手に取った それとめどない それだけでいい 旅立ち 耳鳴り 報われぬ幻想 僕だけ残して流れて流れた 5年経ち冷めた目 強がりはいっそ 夏の日、残像 消さないで 消えないで 夕立ち 蝉の音 報われぬ幻想 僕だけ残して流れて流れた 仁王立ち デタラメ 強がりはいっそ 夏の日、残像 消さないで消えないで 止まらないで… |
ヒーローamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・YOSHIAKI DEWA | 食欲がないもんだからさ 別に小銭がない訳じゃないんだよ 君の横顔を見ていると そういう事を言いたくなるんだよ もしも明日世界の危機が来て 僕が世界を救う役目だったら 頑張れるのにな かっこいいのにな なんて空想だ なんて空想だ そしたら 僕の亡骸 君が抱いて 泣きながら 「やれば出来るんだね」って 呟いて いつだってヒーロー 笑われたっていいよ 人生は喜劇の 一幕の様なもんだろ 「ここはまかせろ」 とは言ったものの どうすりゃいいんだろう 断崖のヒーロー なんて言っても世界の危機なんて そうそう来るもんじゃないんだけど それなりの人生の危機ってやつは 僕なんかにも訪れるもんで 孤独になっても夢があれば 夢破れても元気があれば 元気がなくても生きていれば 「生きていなくても」とかあいつらそろそろ言い出すぞ そしたら 絶体絶命の危機の淵で 起死回生の一撃は きっと怒りか悲しみだ いつだってヒーロー 殴られたっていいよ 垂らした鼻血の色 田舎の根雪の白 連敗続きの 擦り傷だらけの 挑戦者気取りの 断崖のヒーロー 小銭数えて 逆算する人生も 追いつめられて 首括る人生も もうよく聞く話しだ 驚かないよな 今が世界の危機かもね 誰も選んじゃくれないけど 頑張れるかもな かっこいいかもな ここでやれるんなら 今がまさにそうだ どうせ「世界よ終われ」と願っても 世界はくそったれのまま 続いてく 誰だってヒーロー そんな訳はねえよ いわゆる掃き溜めの ありふれた有象無象 そこで負けねえと 言ったもん勝ちの よくある強がりの 「いつだってヒーロー」 絶体絶命の 絶望的状況 それでも言い張るよ いつだってヒーロー |
命にふさわしいamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 好きな人ができた 確かに触れ合った アスファルトより土 鋼鉄より人肌 無意識に選ぶのが 冷たさより温みなら その汚れた顔こそ 命にふさわしい 身の程知らずと ののしった奴らの 身の程知らなさを 散々歌うのだ 前に進む為に 理由が必要なら 怒りであれなんであれ 命にふさわしい こぼれた涙を蒸発させる為に 陽が照る朝を 飽きもせず こりもせず 待っている 待っている 全部を無駄にした日から 僕は虎視眈々と描いてた 全部が報われる朝を 世界を滅ぼすに値する その温もりは 二人になれなかった 孤独と孤独では 道すがら何があった? 傷ついて笑うその癖は そんなに悲しむことなんて無かったのにな 心さえなかったなら 友達ができた 理想を分かち合った 向かうべき場所に 歩幅すら共にした 裏切られたっていいと 道端ひれ伏すような 酩酊の夜明けこそ 命にふさわしい 失くした何かの埋め合わせを 探してばかりいるけど そうじゃなく 喪失も正解と言えるような 逆転劇を期待してる そしてそれは決して不可能じゃない 途絶えた足跡も 旅路と呼べ 世界を欺くに値する 僕らのこれまでは 一人になれなかった 寂しがりや共が集って 道すがら何があった? 傷つけて当然な顔して そんなに悲しむことなんて無かったのにな 心さえなかったなら 愛した物を守りたい故に 壊してしまった数々 あっけなく打ち砕かれた 願いの数々 その破片を裸足で渡るような 次の一歩で滑落して そこで死んでもいいと 思える一歩こそ ただ、ただ、それこそが 命にふさわしい 心を失くすのに値した その喪失は 喜びと悲しみは 引き換えじゃなかったはずだ 道すがら何があった? その答えこそ今の僕で 希望なんて いとも容易く投げ捨てる事はできる 心さえなかったなら 光と陰 |
幽霊amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 在りし日の幻影を ハンガーにぶら下げて 多情な少年は 出がけに人影を見る 去り行くものに外套を着せて 見送る先は風ばかり かじかむ指先でドアを開けて 未練を置きざりにして街に出る 繁華街で馴染みの顔と 音のしない笑い声 喧噪が静寂 楽しいと喜びが反比例しだして 意識の四隅に沈殿する 小さな後悔ばかりを うんざりする程看取り続けて 一人の部屋に帰る頃 どうでもいい落日が こんな情緒をかき混ぜるから 見えざるものが見えてくる 幽霊 夕暮れ 留守電 がらんどうの部屋 |
数え歌amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 一つ 人として真っ当に 人愛おしみ、人に失意 瞳に灯を宿すあの人 失せしともしび 夢に等しい 二つ 再び信ずるとて うだつあがらぬ詩にぶら下がり 裏切られた事も恨まぬ 負担を分け合う二人なら 三つ ミミズ腫れの三日月 身を隠すとばり 見つからぬように 四つ 寄る辺ない夜にこそ 僕の名前を呼んでくれ 一つ 二つ ただ悲しかった事 足し算したり 引き算したり 三つ 四つ 嬉しかった事 足し引きゼロで眠りたい夜 五つ いつかの傷も痛む 理屈では癒えぬ感傷と 後悔ですら慈しむ 去り行けば痛みすら愛おしい 六つ 移ろう人も街も むつ市の海辺、過去が映る 無痛でいられぬ人の世に ここだけは嵐もくつろぐ 七つ 懐かしいあの人の名は 夏のたもとに流れて泣いた 八つ 矢継ぎ早、急ぐ四季に 顔も忘れた母の呼び声 一つ 二つ 忘れてしまいたい事 足し算したり 引き算したり 三つ 四つ 消すに消せない事 足し引きゼロで眠りたい 五つ 六つ どうしようもなかった事 悔やんでみたり 開き直ってみたり 七つ 八つ 溢れ出した思い出 全部持っては行けない 明日には 九つ ここまでと、ここから 木漏れ日がコツコツ、ノックする部屋から とうの昔に消し去ったつもり 遠ざかる昨日 とうとうさよなら 一つ 二つ 離れたくなかった人 足し算したり 引き算したり 三つ 四つ 愛してくれた人 足し引きゼロで眠りたい 五つ 六つ 信じきれなかった人 悔やんでみたり 開き直ってみたり 七つ 八つ とめどない思い出 全部持っては行けない 明日には |
星々の葬列amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 今でもよく思い出すんだ 昔見た 賑やかな行列 ブラスバンドに鼓笛隊 それはそれは華やかなパレード 白い鳥が雲に混じって 花火が弾けて振り向いた 沢山の人が笑ってた 僕もつられてきっと笑ってた 暗い海に 君と二人 そんな昔話をしてた 物憂気に星を見ていると こんなおとぎ話を教えてくれたんだ 笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード さぞかし大きな星が死んだのでしょう 父が僕の手を強く引く いつもは無愛想な癖して あんまり子供みたいだから 僕もはしゃいでる振りをしたんだ ボロボロのサーカステントは あちこちに穴が空いていて 暗くなると光が漏れた まるで満天の星空みたい 暗い海に 君と二人 言葉もなくただ座ってた 波の音がリズムになった 僕らが見送る葬送行進曲 笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード さぞかし綺麗な星が死んだのでしょう 沢山の人が集まった 静かな黒ずくめの行列 ブラスバンドは来ないけれど 花火ももう上がらないけど 灯りを掲げた行列は 夜空の星の映し鏡 沢山の人が泣いていた 僕もつられてきっと泣いていた 笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード どこまでも長い行列 笑って 笑って 天の川は星々の葬列 宇宙のパレード 宇宙のパレード さぞかし大事な星が死んだのでしょう |
明日には大人になる君へamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 明日には大人になる君へ 距離の最小単位を 時間の最小単位を “私”の最小単位を 細切れになった 映画フィルムの一コマのような静謐な場所で 自覚と無自覚の交差する三叉路で 初秋の風が撫ぜる歩道橋で そこで待ち合わせしよう 明日には大人になる君へ 私は自死を否定しない 私は孤独を否定しない 私は“私”という定義の領分については懐疑的でありたい 社会における境遇と その惰弱な精神を拠り所にした “私”と呼ぶには未成熟な自意識を 混同したりはしない 明日には大人になる君へ これから来る人生の屈辱においては 報復を誓うのも無理はないのかもしれない しかしながらその痛みが 君の尊厳に値するか知るべきだ 金品目的の窃盗犯は 私の書いた詩の一行だって盗めやしない 私はそれを尊厳と呼ぶ |
虚無病amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 諸行無常未来都市 輪廻の環状線 抜け出せない因果と 去勢に至る 未来無き未来 選択肢なき幸福 感染 反戦 我に返るも 手遅れ 潜れ 潜れ オーバーテクノロジーと心中して 生け贄 犠牲 人間性 侵入禁止区の春 生命の樹形図 患って列をなせ、弱きブレーメン 人間反対の姿勢を声高に表明 総人類、何らかの病気だろどうせ 欠陥品どものファンファーレ 虚無の犠牲者 夕焼け溺死、滅亡前夜の 緑地公園クレーター跡地で 隣人ですら疑い合うから 争いも致し方ない ミクロ マクロ 本能のフラクタル ブラフマ 気まずさと迎合 因果交流電燈の曼荼羅 収束するべく いがみ合う シェルターにノゲシが咲く 循環のライフゲーム 社会性脱ぎ去った我らは動物 北へ北へと頼りなく行軍 あらゆる恐怖症に欠落に躁鬱 失敗作どものファンファーレ 虚無の犠牲者 夢もない 希望もない 目的もない 味方もいない いない いない 人が嫌い 世界嫌い 言葉が嫌い 過去、未来 怖い 怖い 怖い しいたげられて 追いつめられたら やむをえず防衛機制 復讐の狼煙 脅し 暴利 思い通り 思い通り 思い通り 逆上して列をなせ、若きレベルエール 愛された事ないから愛は知らない 総人類、何らかの負い目を背負って 出来損ないどものファンファーレ 虚無の犠牲者 |
メーデーメーデーamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 茫漠たる享楽の混濁する網膜を 老若男女すべからく漂白するコンダクト 思考なきマスゲーム 堕落の行進曲 反旗も空しく 価値と数の暴力 否応もなく 突き立てられる喉仏 己を殺せ 無明の権化 無能、クズも仏 色めき立つ世俗共の純粋なるアンチで 近代合理主義のここどん詰まりにて テレビの向こうの多数の犠牲者には祈るのに この電車を止めた自殺者には舌打ちか 溜め息に似た自覚無き悪意が ファストフードの油の匂いみたいに飽和している東京 黙祷 少し黙れ喋り過ぎだ って我慢できず喋り出す自意識が 空白を埋めるな 踏みならすアスファルトに 生命浄化のアナトミー 等しくこの土地に死すなら シスター どうか慈悲を我らアウトランダー 背徳とはなんだ 善は悪を孕んだ 罵ったあとですぐ抱きすくめる「この売女」 二十一世紀ようやく迎えた人類の反抗期 値段も善悪も美醜も移ろうように 謀反にするどく研ぐ段平 泣きじゃくりの賛美歌 己を忘却してはいないか? 中古本屋で百円均一のハイデガー 高層ビル 名無し アイロニー 物質主義 吐く血 センシティブ 燃やす運命 分別ない文明 香典返しは歌のラストシーンで死んで いずれ来る寂滅 自ずと判明する判決に泣いて メーデー メーデー って子供みたいに泣きじゃくる無邪気な愛で 大学卒業後、中小企業に就職 それを機に同級生の彼女と巣を作る 息子、娘一人づつ、四人家族の幸福 激務だが平均年収、越えて撫で下ろした胸 色んな事を諦めた 屈辱に顔しかめた そのお陰か都内の新築マンションには手が届きそうだ 少し光が射した 今まで以上に気張った それがまずかった 向上心や見栄が仲間を遠ざけた 鼻につくと陰口 罵り 嘲り 自分諭す、無になれ 同調圧力、ヒエラルキーの下で 住宅費 頭金 積み立て 鎖に繋がれた飼い犬だと気付いた 喜んでくれた妻の笑顔を裏切れなかった ────これは全部想像だ 今日、電車に飛び込んだ男についての 高層ビル 名無し アイロニー 物質主義 吐く血 センシティブ 燃やす運命 分別ない文明 香典返しは歌のラストシーンで死んで いずれ来る寂滅 自ずと判明する判決に泣いて メーデー メーデー って子供みたいに泣きじゃくる無邪気な愛で 切り捨てるべきか 差別するべきか 淘汰されるべきか 実は悪意こそが普遍だ 「自分だけは大丈夫」という確信を この時代に持てるんなら 相当な権力者か馬鹿だ 八つ当たりの偽悪をひけらかしたいだけなら そのだらしない下水溝みたいな口を閉ざすべきだ 愛なき時代か そうは思わないが ぞんざいに扱われる愛も数知れず見た 僕は人を愛すが、それ以上に人を憎んだ 殺したい奴はいるが、守りたい人もできた 世界を恨む時代は終わった 貸しは返すつもりだが その期に及んで競い合うつもりか 勝つか負けるか 上か下か そうじゃない 賞金も勲章もない もはや生存競争だ なり振り構ってられるか 口を閉ざしてたまるか どうか生き残ってくれないか 高層ビル 名無し アイロニー 物質主義 吐く血 センシティブ 燃やす運命 分別ない文明 香典返しは歌のラストシーンで死んで いずれ来る寂滅 自ずと判明する判決に泣いて メーデー メーデー って子供みたいに泣きじゃくる無邪気な愛で |
タクシードライバーamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | ショッピングモール、アウトレット、郊外の黄昏 家族連れ、人いきれ、シャツに聖者の肖像、滲んで 車の牽引ロープを買った伏し目がちな青年 自宅の鴨居にぶら下げて首を括る予定 地方都市と呼ぶのもはばかられる様な町で 地元の友人と未だつるんで、たまには呑んで 息苦しさを感じながらも幸福だとうそぶいて 青い青空が青過ぎてもはや黒で タクシードライバー 世情を憂いて 溜め息で曇る生活に流行歌 飲み過ぎてくだまいて突っ走る四号線 政治批判でもなんでもいいから話しをして 途方もない真っ黒が喉につっかえて 吐き出したくないもの吐き出してしまいそうなんだ タクシードライバー 夜の向こうへ連れてって 優先席前に立ち尽くす妊婦がいたので 腹は立ったが結局なんにも言えなくて サラリーマンが性的倒錯をスマホの画面でまき散らして 世界の気まずさがこの車両に凝固してる 遠い国の爆破テロ、および犯行声明 僕が聞いたのはタクシーのラジオAM 窓から六本木の高層ビルがいけ好かねえ 物質主義が貫通してる、東京の楔として タクシードライバー トランクを開けてくれ 僕らの荷物、多過ぎて歩けない 流れる都市の景色があまりにもきらびやかで 相対的に僕らの幸福は萎縮して 汗かいて一粒の喜びに明け暮れて そのくせ帰りの道筋だって人任せ タクシードライバー 夜の向こうへ連れてって ニュースの紛争、ネットに流れた死体のjpeg 痛みを無視出来るなら人は悪魔にだってなれる 排他主義反対と疎外する人間が居て 暴力反対という暴力には無自覚な奴がいて 不良になる為には、まず良い人間にならなければ 家出する為には、まず家に住まなければ 運転手さん、あなたは出会った中で一番の思想家 生活に根ざした哲学で疾走する思想家 タクシードライバー 窓ガラスを開けてくれ 淀んだ空気 開け放って 夏の風 将来も未来も視界不良の道半ばで けど、不安に人生を明け渡せる訳はねえ この長いトンネルは一体いつ抜けるんですかね? どうぞ行ける所まで行ってくれて構わねえ タクシードライバー 夜の向こうへ連れてって |
分岐amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 今振り返ればあの時だ って今がその時なのかも知れない 分岐点、選択肢、分かれ道、どっちみち答え合わせは明日以降 実りの季節の投資も 見通しの悪い小売業 未納家賃で頭たれ舌打ち がんじがらめ のたうちまわり 慢性的貧困に差した魔が 反社会的思想 明日は我身の 四の五の言ってる間に 飛行する夜行列車 逃避行 星系から星系、星巡り 過ぎる景色、時間は日めくり 何を目指して 何を残して 何が大事で 何が不必要で 現実逃避も果ての果て 誰も追いつけない水際まで 夢見心地、世俗との交差点 我に返る ここ、金貸し査定 正しいと正しいの間 宙ぶらりんの魂の声を聞いた 西も東も悪手だ 右も左も暗い四面楚歌 それでも迫る 道を選ぶ 掴み取れば自身の死すら気高く 脅されてるぞ銃器で 後になれば分かる今が分岐点 |
百年経ったらamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 眠りから覚めても動けない身体 病み上がり 人らしき人以下に成り下がり 価値のない物に価値を付け 価値観とうそぶくものに 支払いの義理はない 世界は酔っぱらい へらへら回るけど 戦闘機 暴力と言葉が釣り合えば ビル風に寝転んで 百年経ったら起こして 土には還れぬもの達と添い寝して 裏庭の堅い実が 真っ赤になったら教えて この夏の訪れを そよ風に言付けて 空を越え 故郷が嫌い 雪が積もるの嫌い 思い出と心中するつもりもないし 夕凪の静寂 耳を澄ます海に あの娘が育った町だから そこは好き 世界一嫌いな人間と 世界一大事な人間を 一人しか救えない だとしても迷うだろう そういうもんだ 人として 良心があってこそ 良心が傷むのだ 裏庭の堅い実が 真っ赤になったら教えて この夏の訪れを そよ風に言付けて 空を越え 荒廃したこの土地で もう生きていけないから ノアの箱船的宇宙船 炎を吐く飛行機雲 みんな 地球を出て行った 僕はそれに 手を振った さよなら この町が燃え尽きて 百年経ったら起こして 土には還れぬもの達と添い遂げて 裏庭の堅い実が 真っ赤になったら教えて この夏の訪れを そよ風に言付けて 空を越え |
ライフイズビューティフルamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 何がどうなって ここに立ってるんだ 時々われに帰って 首をかしげるんだ 歌うのが好きな少年だった だけどそれを誰にもいえない気弱な子だった 久しぶりだな そっちはどうだ? 元気してんなら 別にそれでいいんだ つまらねぇ愚痴は 言いっこなしだ 昔話もたまにはいいか わいは今も歌っているんだ 暗い歌ばかり歌いやがってと人は言うが ぜってぇまけねぇって 気持ちだけで 今まで ここまで やってきたんだ これだけは本気でゆずれないんだ 背負ってるものが増えすぎたようだ 夢を諦めた人 捨てた人 叶えられず死んだ人 覚えているか? あっけなく命や夢が消える星で ありふれた良くある悲しい話 そんなもんに飽きもせず泣き笑い 人生は美しい 一つを手に入れて一つを失くして いつも何か足りないって泣いている だけど後悔なんてしてやるものか 人生は美しい いつもの居酒屋で はしゃぎすぎた 始発で帰る馬鹿達を 太陽が照らした 「俺らの夜明けがやってきたんだ」 誰かが言った 頭は痛いが 妙に笑えた そんな日々も 今はもう遠い あの頃のギターは埃をかぶってた けどな これだけは絶対言える 俺らの夜明けはもうすぐそこだ 信じた人や物が過ぎ去る街で ありふれたどこにでもある悔し涙 そんなもんに未だに突き動かされる 人生は美しい ファミレスで喧嘩したぶりのあいつが 電車に向かって手をふり続けていた 過ぎてゆく景色 二度と振り向かないよ 人生は美しい こんな時間か そろそろ帰るか? なんだ帰りたくないって まぁ わいも同じだが 不安は多いが 進むべきだ 情熱一つで何でもできるはずさ 東京 青森 路上 ライブハウス きっと場所なんてどこでも良かった 歌う場所はどこでもいいぜ 歌う歌がわいの歌なら 悔し涙振りほどいて叫んだ歌 大事なものは二度と離さないよ 振り向くな後ろには花も咲かねぇ 人生は美しい じゃあなまたな身体だけは気をつけろよ しっかり歩けよふらついてるぜ 見ろよもう朝日が昇ってきた 人生は美しい 人生は美しい |
吐きそうだamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ 新しい家に引っ越した とは言っても西日とは未だ友人だ 安心とは縁遠い暮らしの最中で どっち付かずの夢想家 思い出す景色おぼろに 白黒写真みたいなあの日々 何度も僕は僕を殺し 血まみれの僕 未だ在住 心に 夜窓に不意に映るそいつは さながら亡霊か 恨めしそうな目だ 「いつでもこっちに戻って来なよ」 踏みとどまるのはいつだってギリギリだ 自分の価値観を自分で言い負かし そいつをまた否定する言葉遊び 建前を一枚ずつ剥がせば 頭の中すっかり嫌な奴 そりゃそうだ一糸纏わぬ人間は そもそも獣とさほど変わらない つまり犯人は僕自身なのだ っていうのはもう何度目のオチだ? 生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ たった一瞬の たった一粒の 閃きが人生を変える でもそれを神様みたいに崇めるのは違うと思うんだ 愚直な自尊心が現実に跪いた 口をつく恨み節 確かによく切れたな 閃きには今も感謝するが 怠惰の言い訳になり得たのも然りだ 馬鹿にした奴 見返したいだけじゃ 目立ちたがりや 空虚な愉快犯 上か下かで競い合うその先に 僕ら生きてる虚しさを恥じて 群衆の意思の平均像の下敷きに なっているのもどうせ人間だ それなら自分が一番可愛いんだと 言ってみせろよこの獣どもが 生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ 埠頭を望むさびれた岸壁 潮風に錆び付いていく命 と呼ぶのも躊躇う様な暮らし ぶら下げ「それでも」と 未だ のたまい 所在などなく 行き場所もなく くすぶる魂すら持て余す 「後悔はない」という後悔を 引きずり重い足を歩かせる 愚痴は零すな 弱音を吐くな 素晴らしい人間になろうと思うな 我慢するべきだ 身を粉にして 道に迷っても戻りはするな 優しく在れ 義理堅く 恩は返せ 借りは作るな 無償の愛だ 無償の愛か? これこそエゴか? なんて嫌な奴だ 生きる意味とは何だ 寝起き一杯のコーヒーくらいのもんか それとも酔いどれの千夜一夜 ていうか二日酔いでもう吐きそうだ |
しらふamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 「自分以外皆死ね」ってのは「もう死にてえ」ってのと同義だ 団地からの三人称視点 寂れた外壁に吸いさしの煙草押し付け 現場監督の怒号に唾を吐いて夕暮れ もう消えてくれ 未だ歌手としては無名 ぼろぼろになるまで働いて食う飯はうめえ けど明日にはばっくれ 我慢、忍耐とは無縁 こんな僕に光が射すなら早くそうしてくれ 解体作業、ソープ、オフィス、世田谷の小学校 豊かな心、情操教育で現実を描こう アスベスト吸い込み、渡る現場は鬼ばかり 高所作業、安全帯無しで人生綱渡り こんなはずじゃなかった 頭で繰り返し これで何百回目かの人生の振り出し もう無理かもね 祈る気力もない流星 あの日期待した僕の才能、下方修正 努力 積み上げた労力は結局徒労 それなら目の前にある惰眠をむさぼろう 昨日出来たはずの世紀の名曲は 掃いて捨てる程ある駄作にも埋もれる駄作だ 埃だらけの作業服 冷たい視線 山手線 特に原宿より南は痛てえ 俳優、バンドマン、その日暮らしにホームレス 履歴書なしで派遣される工務店 事務所前チューハイで乾杯の晴天 古株の面々 まるで現代の蟹工船 妥協でされるがままの搾取 汗を酒で潤す さながらヨイトマケの唄か山谷ブルース 夢見がちな馬鹿とギリギリの奴らが集い 気がついたら僕もそんな一派の一人 泥酔にまかせて現実をずらかった 夢も消えちゃった 「今日の仕事も辛かった」 スナックの皿洗い、送迎じゃまどろっこい 大湊自衛隊員の愚痴には酷く悪酔い 次第に増える独り言、あの日の怒号、反響するエコー いや待て、これはもしかしたら幻聴 フラッシュバックで言葉を書く マッチポンプな自傷行為 宿命とは聞こえがいいが ようは体のいい呪いだ 早揚がりの泥酔の果てにふらふらの自意識が 下手な勘ぐりをし出す前にもう眠るか 「自分以外皆死ね」ってのは「もう死にてえ」ってのと同義だ 悪いのは僕か世界か 千鳥足じゃふるさとに吹く風だって冷てえ こんなんじゃ世間だっていざって時にはつれねえ 震えて朝焼け 外套の襟を立て 勇んで出てったはずのふるさとにまた立って もうここには居られねえ 自暴自棄な足取りで 分かったもう出てくよ 僕はすっかり素面で 老いも若きも酔っぱらいの三千世界で 我こそが純粋なる全うな素面で 痛み真っ向から食らい歌う酩酊いらずで 青年は詩を書く 離れた陰気な群れ 属する場所がないって場所にはぬけぬけと属して 舐め合う傷跡は蜜の様に甘え そのカビ臭い地下室からはさっさと抜け出して むき出しの肌で受け止める現実の |
エンディングテーマamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | こんなに空が青いのは ちょっと勿体ないな 少し曇ってるくらいの方が 丁度いいよな 真っ白な病室の 窓の向こうでは そろそろ桜も咲くんだろうけどな 満たされていたいって いつも思うけれど 満たされていないからこその 願う力 腹が減ってる時の 食欲みたいな物 あなたはどうか大事にしてね 失う事に慣れたりしなかった 最後まで僕は悲しい人間でした だけどそれと引き換えに 僕は願うのです 生きて 生きて 生きていたいよ 僕が死んだら 流れ出すエンドロール 僕が主演の 青春群像 お世話になった人達の 名前がずらっと並べば 何時間掛かるか分からないや そんな事考えると ちょっと笑えてくるよな だからエンディングテーマはこんなもんだろ 幼い頃飼ってたペットが死んだとき あまりの悲しさに 出会わなきゃ良かったと思った 手にする喜びと 失う悲しみ 天秤にかけるのは 馬鹿げたことです 偉そうな事を言ったりしてごめんな 本当に僕が言いたい事は つまり 僕の中で生きている 僕が愛したもの達みたいに あなたの中で生きていたいよ 僕が死んだら 流れ出すエンドロール 人はそれぞれ 日常に戻って ふとした時に思い出して 欲しいけどさ 我ながら名作とは言えないもんな そんな事考えると ちょっと笑えてくるよな だからエンディングテーマはこんなもんだろ 失い続ける事で 何かに必死になれる力が宿るのなら 満たされていないってのは 幸せなのかな だとしたら 今の僕はきっと幸せなんだな なのに 心が痛いよ 涙が止まらないよ あなたが死んだら 流れ出すエンドロール 僕はきっと 脇役だろうな 少し寂しいけれどきっと それでいいんだ あなたが幸せだった 証拠だから 僕が死んだら 流れ出すエンドロール あと18小節のエンディングテーマ あなたの胸に焼きついて 消えないような 気の利いた言葉を 言いたいんだけど そんな事考えてたら もう時間か 最後はやっぱり 「ありがとう」かな |
花は誰かの死体に咲くamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 街路樹も染まるから 素知らぬ顔で赤色 裏切られた気分で 寒空の下で 嫌なニュースばかりで 耳を塞いでいたら 発車のベルを聞き逃して 南無阿弥陀仏 母親のあきれ顔 寒々とした旭町 非暴力の近海で爆撃機が飛んで 生活と空想 世俗と現実逃避の成れの果て 人類が誕生し約七百万年 今日までに死んだ人の全ての遺体が 土に埋まってんなら 君が生きてる町も 世界中どこだって誰かの墓場なんだ ぞっとしない話しだが それに救われたんだ 高層ビルもアパートも墓標みたいだ 憂鬱も悲しみも思い出も 分解してくれないか 綺麗でもなんでもねえ 小さな花が咲いた 君の無様の肯定 やむにやまれず生きて 名付けられもしないで 捨てられた生ゴミも 悔やみきれず死んでも 叶えられる事なかった誰かの夢も 一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く 町が夜を追い出そうとするから夜空の下 大げさに騒いでは炎を焚いた ビルの明かり 街灯 電飾看板など ついに都市は孤独を克服したのだ それでも田舎の夜を 一人で彷徨うより 募る都市の寂しさは一体なんだろう きっと人と比べてしまうから 僕の幸福は相対的だった 綺麗でもなんでもねえ 汚れた友が笑えば 僕の失敗の肯定 選べなかった道で 恥も外聞もねえ 抱きしめたあの人も 向かい風の嘲笑も 讃えられる事なかった君の勝利も 一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く かつての戦場に人が営んだとて 悲惨な事件の現場に花手向けたとて 捨てられた町に未だ木々が根付くとて 祖父へのお供え物に虫がたかるとて 虚しさに生きてその最中に笑えよ さよならは一瞬だその最中に歌えよ 朽ちる命抱きしめて泣きじゃくる晩は 踏みしめてる土に祈れ生命賛歌 綺麗でもなんでもねえ 命が今日も笑えば 人の傲慢の肯定 逃れられぬ命を 逃げるように生きてよ 笑い合えたこの日々も 失くした日の痛みも なんとか死にきれそうなこんな人生も 一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く |
収束amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 海鳥が瓦礫の上空いなないた コンクリート世紀は知恵の数式 今じゃ遠い日のヒエログリフ かつての人の営み 腐食した建造物 侵食する植物の増殖 カンブリア爆発 ハタネズミがサカナを喰らえば 猛禽類が噛り付いて空へ誘った 逆光の太陽が燃え盛る 生き死にの律動 亜熱帯雨林と化した ここ東北の北端にも 湧き水、岩から滲みて 陽が落ちては冷却の星空に聞き入り 平穏が訪れたのだと知る 奪うも奪われるもなく 等しく星の砂塵となりて 唸り 遠吠え 求愛のさえずりや 威嚇のがなりとか 生命のオーケストラ 飲めや歌えや 騒げ愛おしいや 夜通しだ 呼応した鼓動しか物音しない ここ何億夜 規律無しの無秩序と思いきや 命の思想は確かに存在した 飲めや歌えや 騒げ愛おしいや 夜通しだ 呼応した鼓動しか物音しない ここ何億夜 荒廃したとは人の言い様だ ここにはもう人類は居ないのだから |
多数決amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 臆病者ほど人を傷つけると言うなら 一番臆病なのはこの世界なのかもしれない 優しい奴ほど背中を丸めて歩く 腹いせにこの都会を踏んづけて歩く 時代は変わっていくのではなく吹きすさぶのだ 向かい風に逆った奴らは行っちまった 息を止めた憐れな孤独の悲しみ共 空元気が繁華街に反響して空虚 価値観も善悪も 多数決で決まるなら もしかしたら 生まれる場所を間違えたのかもな もういいよ いいよ この部屋は世界の隅で 機会を今かと、窺うには丁度いいかもしれない 賛成か 反対か 是非を問う 挙手を願う 多数派が少数派に面倒を押し付ける 持つ者は持たざる者を食い物にしてる 強い者が弱きを挫いて溜飲を下げ 都会は田舎をゴミ捨て場だと思ってる 人類最後の解決法が戦争だけなら 進化論も当てにはならなかったみたいだ その実、知恵のある振りをした獣だから 空腹もこれ以上無い動機になりえた 違和感も常識も 多数決で決まるなら もしかしたら当たり前も もう疑うべきかもな もういいよ いいよ この町は忘れ去られた 良からぬ事を企てるには丁度いいかもしれない 賛成か 反対か 是非を問う 挙手を願う 札束の数 名誉の数 友達の数 勲章の数 勝ち越した数 賞状の数 努力した数 褒められた数 僕らの価値は数字じゃない 自分の評価を人に任せる訳にはいかない 世界は移り変わる 昨日の価値は今日の無価値 罪悪も合法も 多数決で決まるなら もしかしたら百年後は もう全員罪人かもな もういいよ いいよ この世界は壊れすぎた 白紙から描き直すには丁度いいかもしれない 賛成か 反対か 是非を問う 挙手を願う |
スピードと摩擦amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 切れかけた街灯に照らされて 明滅繰り返す人々の影 ゴムの匂いと空気の湿り気 静寂と呼ぶには、はなはだ多弁 したがって 定まらぬ視点 星を滑って 東北に流転 蛾が群がって どうせ無駄だって 夢に焼け落ちて あとは何もねえ 行き先のない乗車券 此岸の終わりの夕景 地球の裏の荒野へ 早く連れてってくれ 夏の庭に犬の骨 死屍累々の日付 それを踏んづけて明日へ 気管支炎の音符で 血を吐くまで歌え 放射状 北の山背 そこに咲いた花でさえ 冒涜は許されて 僕は舌打ちをしたこの街へ いや、舌打ちしたのは街の方で 砂場に子供らの神話体系 その一粒ごと神は宿って 絡まって 切れぬ社会性 みだりに越えて 唾を吐き掛け 我が塞がって 来世疑って 無様に燃えて あとは何もねえ 獣と人の分岐点 命にたかる銀蠅 精子は霊地の巡礼 死ぬには早い降雪 国道沿いのラブホテル トワイライト純潔で 言葉足らずの夜明け 吃音的な世の果て それを飲み込んでは咽せる 結露に滴るカーテン 命が今焼け落ちて 車道に冬の銀河系 トラックの荷台に跨がって 歳月が通り過ぎた 交差点で横転して 血を流していた 窓越しにそれを見ていたら 命がじりじりと焦げる音を聞いた スピードと摩擦 火花を散らして スピードと摩擦 内臓を焦がして 体内に発車の汽笛 血液は逃避の路線 旅立っては近づいて 離れてくのはどうして? 苛立ちは尚叫んで ひび割れた今日の風景 地表にうがつささくれ 二月は無垢な難破船 スピードと摩擦 内臓を焦がして |
風邪amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 37度の微熱 もんどりうったソファーに亀裂 彼女の長い髪の毛 それで心を縛って祈れ 背後霊 どこにも飛んでかない様に もうふらふらしない様に 待合室で嘔吐した病院 人生汚してこそフィロソフィー やりたいこと やりたくないこと やれること やれないこと 面倒くさくなってほっぽって 選択肢すらなくしちゃって 運命なんて他に選択肢が無かったってだけ 必然なんてなんとなくなるようになったってだけ ごめんちょっと調子が悪いだけなんだよ本当に かれこれ数時間 便器にしがみついて 朦朧とうわ言 |
名前amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 君の名前はなんだっけ? ふと思い出せなくなって 言葉に詰まって噴き出した ヘラヘラ笑ってごめんな 人は一人で生きてけない それは確かに間違いじゃない 必ずどっかに属していて 家族 学校 社会とか 君の名札に書いてある もしくは名刺に書いてある もしくはカルテにかいてある ひそひそ影で呼ばれてる 肩書き 陰口 あだ名とか 全くもって僕は嫌い ひとまず話しをしようか それで全部分かるさ 嘘つき 理想家 夢想家 鬱病 右か左か 僕らただ生きてるだけで 名前だけ入れ替えられて 社会性不安障害 ギターロック JPOP フォーク 何だっていいだろ 僕の話しをまず聞いてくれよ 僕が小学生の時は “調子いい奴”と呼ばれたよ 人の顔色うかがって 人によって態度を変えて 音楽を始めてからは “バンドマン”と呼ばれたけど 高校卒業した途端 “フリーター”ってどうなのさ 僕自身はガキのまま 何にも変わってないけれど 時と場合と状況によって 名前は変わるらしい だからそんな落ち込まないで 僕は君を知ってるから 「誰だお前は」と言われたって お前が先に名乗れよ 債務者 クズにろくでなし 無職に 自殺志願者 僕らただ生きてるだけで 名前だけ入れ替えられて 無神経 保守派 革新派 不登校 中卒 高卒 何だっていいだろ 君の話しをまずは聞かせてくれよ 時には大げさな看板を背負わされて 時にはいわれない不名誉を着せられて 君のこれまでをいっぺんに語る事が出来る 名前なんてそうそうないよな だから どんな風に呼ばれようと 好きにやるべきだと思うよ 君を語る名前が何であろうと 君の行動一つ程には雄弁じゃない ゴロツキ 被害者 加害者 負け犬 傍観者 容疑者 僕らただ生きてるだけで 名前だけ入れ替えられて 愉快犯 情緒不安定 ホームレス 日雇い労働者 何だっていいだろ 君のやるべき事をやり遂げてくれよ 君の名前はなんだっけ? ふと思い出せなくなって ちなみに最近の僕はよく “皮肉屋”って言われるよ |
季節は次々死んでいくamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 季節は次々死んでいく 絶命の声が風になる 色めく街の 酔えない男 月を見上げるのはここじゃ無粋 泥に足もつれる生活に 雨はアルコールの味がした アパシーな目で 彷徨う街で 挙動不審のイノセント 駅前にて 僕が僕と呼ぶには不確かな 半透明な影が生きてる風だ 雨に歌えば 雲は割れるか 賑やかな夏の干涸びた命だ 拝啓 忌まわしき過去に告ぐ 絶縁の詩 最低な日々の 最悪な夢の 残骸を捨てては行けず ここで息絶えようと 後世 花は咲き君に伝う 変遷の詩 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも 明日は次々死んでいく 急いても追いつけず過去になる 生き急げ僕ら 灯る火はせつな 生きる意味などは後からつく 君が君でいるには不確かな 不安定な自我が 君を嫌おうと せめて歌えば 闇は晴れるか 根腐れた夢に預かった命だ 拝啓 忌まわしき過去に告ぐ 絶縁の詩 最低な日々の 最悪な夢の 残骸を捨てては行けず ここで息絶えようと 後世 花は咲き君に伝う 変遷の詩 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも 疲れた顔に足を引きずって 照り返す夕日に顔をしかめて 行こうか 戻ろうか 悩みはするけど しばらくすれば 歩き出す背中 そうだ行かねばならぬ 何はなくとも生きて行くのだ 僕らは どうせ拾った命だ ここに置いてくよ なけなしの 拝啓 今は亡き過去を想う 望郷の詩 最低な日々が 最悪な夢が 始まりだったと思えば 随分遠くだ どうせ花は散り 輪廻の輪に還る命 苦悩にまみれて 嘆き悲しみ それでも途絶えぬ歌に 陽は射さずとも 季節は次々生き返る |
或る輝きamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 粘着質な夜明け 底なし沼と星空の類似 観測地点における寒波の去来 親不孝通りの吐瀉物の染み 捨て鉢なエンジン音の個人タクシー 残響と共に襟を立て、立ち去る季節 行くも行かざるも虚しいまま 湖面に不時着する落葉 断定的な微笑み 網膜 拡散 悲しみ 悲しみ (上昇と同時に墜落する肢体 住宅街の夕景のささくれ 果たせぬ願い 明日への展望 来訪する季節 ついに出発しなかった旅路 あの日、あの時のあの子の微笑み 後部座席に思い出、遺失物 悲しみ 悲しみ) 或る特定の期限における爆発的な命の輝き 瞬き 疾走とはつまり燃え落ちる衛星の輝き 瞬き 肢体がバラバラになっても 痛みが炎と朽ち果てても 存在した 存在した 輝き 屈折したエゴが結ぶ実像 環状線、囚われの身の泊地の精神性 体育倉庫の堅い地面に裂傷 深夜一時にこだまする執行猶予的な笑い声 潰れたガソリンスタンドに横付けされた侘しさ 利他的な憤怒 日々、暮れていく感性 相対的な幸福 省略された人間性 病巣 雑音 悲しみ 悲しみ (遮光カーテンに真夜中の染み 空白を埋める為の慣性運動 ぼたぼたと滲んでいく鼻血 遮断された生活の孤立 はためく企業の旗と不良カラス 自覚のない自堕落 死んでいく感性 値札の付いた幸福 間接的存在否定 虚言 悲しみ 悲しみ) |
自虐家のアリーamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | いずれにしても立ち去らなければならない 彼女は傷つきすぎた 開かないカーテン 割れたカップ 流し台の腐乱したキャベツ 愛と呼べば全てを許した 母の仕打ちも割れた爪も 酷く痩せた膝を抱いて 責めるのはいつも自分の事ばかり お前なんかどこか消えちまえと 言われた時初めて気付いた 行きたい場所なんて何処にもない ここに居させてと泣き喚いた 「窓から小さく海が見えるから 父さんとこの部屋に決めたの」と 昔嬉しそうに話していた 母は今夜もまだ帰らない あの海と一つになれたらって そう思った後に少し笑った 自虐家のアリー 波の随に 歌って 被虐者の愛 波の随に 願った 抱きしめられたくて 嘘ついたあの日を 今でもずっと悔やんでる 私だけが知っているんだから わがままはとうの昔に止めた 時々とても優しく笑う それが母の本当の姿 物心ついた時から父は居ない 理由は今も聞けない 今夜も海を眺めながら 記憶の中だけ裸足の少女 あの海と一つになれたらって そう願ったのは何故だろう 自虐家のアリー 波の随に 歌って 被虐者の愛 波の随に 願った 抱きしめられたくて 嘘ついたあの日を 今でもずっと悔やんでる 苦しくてしょうがなくて 海への道駆け抜けた 砂浜で 月明かりの裸足の少女 愛されていないって 疑った私を許して 何もいらないよ これが最後のわがまま 自虐家のアリー 波の随に 浮かんで 被虐者の愛 波の随に 沈んだ あの人が愛した 父さんが愛した この海になれたら 抱きしめてくれるかな 今でもずっと愛してる |
光、再考amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | もし生まれ変わったらなんて言いたくない どうしようもない 僕の人生も長い付き合いの内 愛しくなってくるもんで ぶつかって 転がって 汗握って 必死こいて 手にしたものは この愛着だけかもな まぁいいか そんな光 時々虚しくなって全部消えてしまえばいいと思うんだ 神様なんてとうの昔に阿佐ヶ谷のボロアパートで首吊った 綺麗な星座の下で 彼女とキスをして 消えたのは 思い出と自殺願望 そんな光 朝が来るたび陰鬱とした気持ちでそれでも青い空が好きなんだ 公園ではしゃぐ子供達と新聞紙被って寝てる家の無い人 未来は明るいよ 明るいよ くしゃみを一つしたら 大勢の鳩が 大空へ飛び立った どこへ行けばいいんですか 行きたいとこへ勝手に行けよ 何をすればいいんですか 僕は誰に尋ねてるんだろう 何か始めようと震えてる ジャングルジムの影が長くなって 僕は今から出かけるよ ここじゃないどこか そんな光 彼女が歓楽街でバイトをはじめて夜は一人になった 特に寂しくは無いけど急にテレビ番組が好きになった 朝彼女が戻って 僕が部屋を出て行く 無垢に笑う彼女が本当に綺麗だと思った そんな光 子供の頃の影踏み遊びを思い出してる 追いかけても 決して掴めない物 まるで蜃気楼 だけど僕は気付いてる 本当は手にしたくなんか無いんだよ ずっと追いかけていたいんだよ もっと胸を焦がしてよ 死ぬまで走り続けたいんだよ 流れ流れて明日は東へ 出会いと別れを繰り返して 光と陰を股にかけて 泣き笑いを行ったりきたり そうだよ 大丈夫 大丈夫 皆同じだよ 上手くいかない時は誰にでもあるよ そんな光 日が沈みまた昇るように 花が散りまた咲くみたいに 全てはめぐりめぐって 全てがほら元通り もし生まれ変わったらなんて 二度と言わないで 今君は日陰の中にいるだけ ただそれだけ |
つじつま合わせに生まれた僕等amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 遠い国の山のふもと この世で一番綺麗な水が湧いた やがてそれは川になり そこに群れを作った魚を 腹を空かした熊が食べて 猟師が熊の皮をはいで それを市場で売りさばいて 娘の為に買った髪飾り 悪い人間がやってきて 全部奪ってしまったのは 歴史のちょうど真ん中辺り 神様も赤ん坊の時代 母親のこぼした涙が 焼けた匂いの土に染みて それを太陽が焦がして 蒸発して出来た黒い雨雲 その雲は海を越えた砂漠に 5ヶ月ぶりの雨を降らせた 雨水を飲んで生き延びた詩人が 祖国に帰って歌った詩 それを口ずさんだ子供達が 前線に駆り出される頃 頭を吹き飛ばされた少女が 誰にも知られず土に還る そこに育った大きな木が 切り倒されて街が出来て 黒い煙が空に昇る頃 汚れた顔で僕等生まれた 善意で殺される人 悪意で飯にありつける人 傍観して救われた命 つじつま合わせに生まれた僕等 高層ビルに磔の 価値観は血の涙を流す 消費が美徳の人間が こぞって石を投げつけるから 金にもならない絵をかいた 絵描きは筆をへし折られて 見栄っ張りで満員の電車が 走る高架下で暮らしている 喜怒哀楽をカテゴライズ 人に合わせて歌が出来て 悲しい時はこの歌を 寂しい奴はあの歌を 騙されねーと疑い出して 全部が怪しく見えてきて 人を信じられなくなったら 立派な病気にカテゴライズ 不健康な心が飢えて 悲劇をもっと と叫んでいる 大義名分が出来た他人が やましさも無く断罪する 人殺しと誰かの不倫と 宗教と流行の店と いじめと夜9時のドラマと 戦争とヒットチャートと 誰もが転がる石なのに 皆が特別だと思うから 選ばれなかった少年は ナイフを握り締めて立ってた 匿名を決め込む駅前の 雑踏が真っ赤に染まったのは 夕焼け空が綺麗だから つじつま合わせに生まれた僕等 ふざけた歴史のどん詰まりで 僕等未だにもがいている 結局何も解らずに 許すとか 許されないとか 死刑になった犯罪者も 聖者の振りした悪人も 罪深い君も僕も いつか土に還った時 その上に花が咲くなら それだけで報われる世界 そこで人が愛し合うなら それだけで価値のある世界 だからせめて人を愛して 一生かけて愛してよ このろくでもない世界で つじつま合わせに生まれた僕等 |
ムカデamazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 給水塔に反射する夏の太陽 器用に生きる象徴としての 彼女の笑顔 汗ばんだ静動脈に巣食う褐色の火薬じみた病理 僕が僕ではない感覚 もしくは錯覚 六十億の溜息に巻き起こる黄砂 逃げ場なく息も絶え絶えな ムカデ 涙の濁流を這って 何処へ 行こう 何処も 駄目だ 居場所 が無い 神様僕は分かってしまった 空っぽの夜空が綺麗 あの黒い空白に埋もれてしまえたらって 願う そうか もしかしたら 僕は 死にたいのかな 愛は愛の振りして 全部飲み下せと刃物覗かせる 今日は今日の振りして 全部やり直しだと僕を脅かす こっから踏み出すなよ 絶対だぞ 誰だ後ろから押す奴は ほら後一歩だ そうだ 夢がぶら下がる最果ての絞首台 西日に染まる郊外の公団住宅 心臓を針でつつかれる様な感傷 及び 生きてる事に対しての罪悪感 付きまとう闇 立ちはだかる闇 赤面症の季節における リビドーの肥大 故の 現実からの逃避 妄想 妄想 妄想 遮断機に置き去りの自意識 真っ二つに割れる数秒前 赤が光る 消える 光る 消える 光る 消える 消えろ チャイナドレスの女 田園都市線 劣等 劣等 過去 過去 全部消えろ 神様 殺してやる 過去は過去の振りして 全部受け入れろと喉に絞めかかる 夜は夜の振りして 全部おまえのせいだとがなりたてる こっから逃げ出すなよ 絶対だぞ 誰だ後ろから押す奴は ほら後一歩だ そうだ 夢がぶら下がる最果ての絞首台 僕は触れていたかった まだ繋がっていたいよ ビルの屋上に立った 今更思い出すんだ 春の木漏れ日に泣いた 母の声が聞こえんだ 此処にいてもいいですか 此処にいてもいいですか 空は空の振りして 全部知ってるぞって僕を見下す 人は人の振りして 全部吐き出せと僕を睨み付ける こっから踏み出すなよ 絶対だぞ 誰だ後ろから押す奴は ほら後一歩だ そうだ 夢がぶら下がる最果ての絞首台 僕は触れていたかった まだ繋がっていたいよ ビルの屋上に立った 今更思い出すんだ 春の木漏れ日に泣いた 母の声が聞こえんだ 此処にいてもいいですか 生きていてもいいですか |
少年少女amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 校庭の隅っこで 体育座りしてぼんやりと見てる 野球部のフライを眺めるように なんとなく未来を見てる いつかは変わってしまうかな 大好きなあの子の笑顔とか 馬鹿だったあいつらも 大人になってしまうかな 今まさにヒットを放った 4番バッターのあいつは 一年後の冬に 飲酒運転で事故って死んだ その時 誰もがあまりの空っぽに立ち尽くしていた 母さんが汚れたバットを抱きながら泣き叫んでいた 僕が憧れた彼女は 男に逃げられたストレスで 過食気味になったと笑った こけた頬を引きつらせ 右手には悪趣味な指輪と かさぶたの吐きだこ 諦めるのは簡単と コーヒーをすすった 夜の街を彷徨いながら 昔話に夢中になってた そんな事もあったねと 彼女は笑いながら泣いた それでも それでも 頑張れなんて言えなかった さよなら さよなら せめて笑いながら手を振った 少しずつ 諦める事ばっかり上手になってた 我慢する事が 人のためになると思ってた 記憶の隅に積み重ねた 無謀な夢と悔し涙 押し殺したホントの気持ちが むなぐらに掴みかかる 「どうしてここに居るんだよ 今すぐに逃げ出せよ 望んだ様に生きられないなら 死んでんのと同じだ」 そうだ 僕も君ももう一度新しく生まれ変われるよ 傷ついて笑うのは 金輪際もうやめにしよう 凍える夜に一人だから 僕等は間違った事もやった 心無い人が多すぎて 僕らは無駄に強くなった それでも それでも 間違いじゃないと信じたいな さよなら さよなら 強がりは夜の闇に溶けた 校庭の隅っこで 体育座りしてぼんやりと見てる 野球部のフライを眺めるように なんとなく未来を見てる 僕は変わってしまったかな 時々不安で恐くなるよ ホームインした四番バッターがはしゃいで笑う声 それぞれの不安を抱えて それぞれ未来へ歩んでいった それぞれが痛みを抱いて それぞれ今日に立ち尽くした なんだろう なんだろう 涙が溢れてしょうがないよ さよなら さよなら 思い出なんて消えてしまえ どうせ明日が続くなら 思い出なんていらないよ この足を重くするだけの感傷なら どぶ川に蹴り捨てた それでも それでも 涙が枯れる事はないから さよなら さよなら せめて僕は笑いながら泣いた |
初雪amazarashi | amazarashi | 秋田ひろむ | 秋田ひろむ | amazarashi・Yoshiaki Dewa | 青森駅前に雪が降る 果たせなかったいつかの約束が バス停に留まる少女が吐いた 白い息と一緒に夜空に消えた 積もりだしたのは彼女の記憶と 感傷とわずかな後悔 長く伸びる僕の足跡も やがてそれに消されるだろう 思えば遠くへ来たもんだ いや と言うより振り出しに戻ったのか 自嘲気味に踏み出すその一歩は 今日も変わらず迷ってばかり それでもここに留まるよりは いくらかましだと信じてる 肩に積もった雪をみて思う 少し休みすぎたみたいだな いかないでくれと 呼び止める 思い出を 振りほどいて僕は どこまでいけるのだろ 初雪が 風に吹かれて 僕らの街 通り過ぎただけ 君の優しさ 風に吹かれて 僕の胸 通り過ぎただけ 雪は昨日から止むことを知らず 出かけようとドアを開けた手を止める 綺麗だなと思うより早く 面倒くさいななんて一人ごちる 傘はないし 時間も無い ましてや期待なんてあるはずも無く ただ向かうべき目的地と 焦燥だけは捨てるほどある そんな毎日を生きてます 僕はなんとかやってます これを幸福とは思いませんが かといって不幸とも思いません ただ 君がいなくなったことで 出来た空白を埋められずに 白黒に見えるの街の景色 決して雪のせいではないのでしょう 悲しいことなんて あるものか あるものか 振りほどいて僕は 急いで出かけなくちゃ 初雪が 風に吹かれて 僕らの街 通り過ぎただけ 君の優しさ 風に吹かれて 僕の胸 通り過ぎただけ 雪は今日も止むことを知らず 急ぐ僕の足はもつれる 笑い合った長い月日も 確かに分かり合えた何かも 全部嘘だと言い切れたら 僕は簡単に歩けるのに でも大丈夫 ちゃんと 前に進めているよ 初雪が 風に吹かれて 僕らの街 通り過ぎただけ 僕はそれに 少し泣いただけ 冬の風に 心揺れただけ |