JR金沢駅から車で約10分。市内を流れる浅野川の川沿いに主計町は位置しています。そして、大通りから一本入った小道に、久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎぐう)はあります。
平安時代の初め「乙剣大明神」と称し、このあたりの産土神として創建されたと伝えられている、歴史ある神社です。また、門前に北加賀地方の中心的な市場が作られ、この市場を中心に町が発展したことから、「市場発祥の地」「まち発祥の地」とも言われ「商売繁盛・発展の神様」としても有名です。
お参りが済んだら境内を右手奥に進みます。神社の裏からは坂道(石段)がのびていて、主計町につながっています。この坂道は「暗がり坂」と呼ばれ、昔、商家の旦那衆が、ほの暗い坂道を下りてこっそり、主計町に通っていたことから名付けられました。坂を下りると、車が通れないほどの小道になり、昔ながらの風情豊な街並みが広がっています。
「暗がり坂」は地理的に主計町をつないているだけでなく、現在の「平成」と、茶屋街として最も栄えていた「明治」初期の時代もつなぐ、タイムトンネルの役目もしているようです。
加賀藩史「富田主計」の名前が由来となり、「主計町」と呼ばれていましたが、1970年、住居表示の実施により「尾張町2丁目」の一部となり「主計町」という町名は一度、消滅してしまいました。
しかし、1979年に市制90周年記念事業の一環として、旧町名や由来などを記した標柱の設置を始めたことがきっかけとなり、住民を中心に旧町名を復活させる運動が始まりました。
そして、1999年「主計町」の町名が復活しました。旧町名を復活させたのは、全国でも初めてのことでした。この復活を機に、全国各地で、旧町名を復活させたり、それに向けた運動が行われたりしています。
古き良きものを残そうとする金沢市民の心意気が感じられる逸話ですね。
主計町から浅野川大橋を渡り、右手側に江戸時代の雰囲気を残している「ひがし茶屋街」があります。
金沢に残っている3つの茶屋街(ひがし、にし、主計町)の中で、最も規模が大きく、また金沢を代表する観光地の1つでもあります。木虫籠(きむすこ)と呼ばれる出格子のあるお茶屋が、石畳の道の両側に並んでいます。
江戸時代に建てられたお茶屋「志摩」「懐華楼」「お茶屋文化館」が茶屋街の中心にあり、いずれも有料ですが、内部を見学することが出来ます。また、和菓子、土産物屋、金箔商品や金箔を使った化粧品などを販売するお店、カフェなどが立ち並び、国内外からの多くの観光客で賑わっています。
メインの石畳の通りを見学したら、その周辺も歩いてみましょう。歴史情緒あふれる路地裏には、昔ながらの町屋をそのまま使った米穀店や味噌・醤油を商っているお店も残っています。
その他にも、日本の生産量の9割以上を占め、金沢の伝統工芸品の一つでもある金箔工芸のお店や「金箔貼り」の体験の出来る施設などに、足を伸ばしてみるのもおススメです。
今回ご紹介しました「主計町茶屋街」「ひがし茶屋街」は共に、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。そのため、道幅の狭い小道の多いエリアでもあり、車もあまり通らず、歩いて観光するにはもってこいの場所です。また、道も平坦なところが多く歩きやすいです。
是非、ご自身の足で歩き、古都金沢を体感してみてください。
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(2025/1/5更新)
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