写真:泉 よしか
地図を見る草津温泉独特の入浴法である時間湯が始まったのは、江戸時代末期と言われています。その後も改良が重ねられ、明治10年代前半には現在の入浴法が確立しました。ちなみに明治11年に、草津温泉を世界に知らしめた偉人ベルツ博士が初めて草津を訪れています。
草津温泉は高温で、酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉という非常に殺菌力の強い性質を持っています。この温泉に効果的に、かつ安全に入るために編み出された伝統入浴法が時間湯であると言えるでしょう。そこには時間湯に携わってきた多くの人々の知恵と経験が詰まっています。
写真:泉 よしか
地図を見る過去においては草津の多くの共同浴場で行われてきた時間湯湯治ですが、現在では地蔵の湯と千代の湯の二ヶ所でのみ続けられています。地蔵の湯時間湯は本格的な湯治を専門に行っていて一般の体験は受け付けていませんが、千代の湯では時間湯湯治を真剣に検討している方だけでなく、例えば文化としての時間湯を知りたい、興味があるので自分でもやってみたいと思う初心者の方でも、気軽に体験することができるようになっています。
写真:泉 よしか
地図を見る時間湯は湯長の指導のもとに行われます。現在、地蔵の湯、及び千代の湯の時間湯を指導するのは第三十二代湯長の井田 剛文氏。
時間湯の湯長の役目は入浴の作法を指導したり入浴時に号令を掛けたりするだけではありません。時間湯湯治を行う湯治客ひとりひとりの相談に乗り、叱咤激励し支える役目も担っています。
時間湯体験では、湯長または湯長の教えを受けた弟子の方が丁寧に指導してくれます。もし千代の湯での時間湯体験を受けてみて、地蔵の湯の方の時間湯を体験してみたい、または定期的に時間湯に通いたい、草津での長期湯治を考えているという方などがいらしたら、ぜひ湯長にご相談ください。
写真:泉 よしか
地図を見るここからは実際の時間湯の流れをご紹介しましょう。まず初めに説明を受け、血圧など健康状態を申告します。時間湯を体験するにあたって心配なことがあればここで質問しておくとよいでしょう。なお、時間湯というのは基本的に湯治客の病状にあわせて、38度から上限48度のお湯で湯治を行う入浴方法ですが、千代の湯の体験時間湯では小さいお子さんから年配の方まで入浴されますので、体験者に合わせた温度に調節してあります。ご安心ください。
次は湯もみです。この時は男女一緒に着衣で行います。あっと、その前に時間湯浴室には神棚があります。神様にきちんと拝礼してから湯もみを行いましょう。
「くさ〜つ〜よいと〜こ〜 いちど〜は〜おいで〜」
湯もみ板を使い、湯長の歌う草津節に合わせてみんなでザブーンザブーンとお湯をもみます。持ってみると赤松材の湯もみ板は思いのほか重量がありますが、女性には少し小さ目の板も用意されているのでご心配なく。草津節は覚えていなくても大丈夫ですが、「ア ドッコイショ」と「チョイナ チョイナ」の合いの手だけは一緒に入れられると気分が盛り上がりますよ!
湯もみはお湯を撹拌し温度を下げるだけでなく、お湯を柔らかくし入りやすくする効果があります。また草津節を歌いながらお湯をもむことにより、入浴者の準備運動も兼ねています。入浴しないで湯もみのみ行う体験も可能ですし、湯もみ後には記念撮影もできます。
写真:泉 よしか
地図を見る湯もみを終えたらいったん更衣室に戻ります。ここからは男女別に時間差で浴室を使います。ただし、状況によっては家族、カップル、グループでの入湯も可能です。またこの時、水分補給を行うことを忘れないでくださいね。
男女別に声が掛かったら、いよいよ時間湯本番です。お湯に入る前に桶で足に10〜20杯、さらに手ぬぐいを頭にかぶり、その頭からも30杯お湯を掛けます。このとき頭からお湯をかぶるのは、血行を良くして入浴時ののぼせや貧血を防ぐためです。また、体中の毛穴が開くことにより入浴効果も高まります。最後に下半身にもお湯を掛けて清めます。これで入浴前の準備は終わりです。
ちなみに千代の湯の時間湯で使われている源泉は、熱の湯源泉といって、千代の湯の共同浴場の浴室で使われている湯畑源泉とは違います。熱の湯に入れるのもこの時間湯体験だけなんですよ。
写真:泉 よしか
地図を見る全ての準備が整ったら、湯長の号令のもと、いっせいに入湯します。
「したくが宜しければ ソロソロ下がりましょう。
揃って三分〜。
改正の二分〜。(一分経過)
限って一分〜。(二分経過)
チックリ御辛抱〜。(三十秒前)
辛抱のしどころ〜。(十五秒前)
さあ効きましたらソロソロ上がりましょう。」
有名な時間湯の号令です。湯長のこの号令が入る度に、入浴者は「オー!」と大きな声で応じなくてはなりません。ぜひ腹式呼吸を心がけてくださいね。これも温泉の蒸気を吸引することにより時間湯の効果を高める働きがあるのです。
そしてお湯から上がった後がとても大切です。決して拭き取らずそのまま更衣室に移動して、全身をバスタオルで包み蒸して熱を逃がさないようにして休憩します。この時じっくり汗を出すことがポイントです。デトックスタイムですよ。定期的に時間湯湯治に通われている方は、この休憩が終わった後に猛烈な爽快感を感じると仰っていました。体が軽くなると感じる方も多いようです。
時間湯は定休日(月曜日と第2・第4火曜日(定休日が祝日の場合は振替日))を除く毎日、午前9時・11時・午後2時・5時の4回行われています。所要時間は50分程度。体験を希望される方は5分前までに千代の湯共同浴場入口にお越しください。
体験料は1回560円。持ち物は手ぬぐい(フェイスタオル)1枚、バスタオル2枚以上、入湯前後に水分補給する水またはお茶です。タオル類は受付時に購入することも可能です。
千代の湯で行われる時間湯体験は、実際に通いで湯治を行っている方たちと一緒に行うこともあります。すなわち形だけ真似たものでなく、ここで行われているのは本物の時間湯だということです。アトピーなどのアレルギー、冷え、便秘、肩こり、腰痛などの療養や体質改善に使われている草津温泉のパワーを、ぜひあなたも時間湯体験を通して実感してみてください。
<基本情報>
住所:群馬県吾妻郡草津町草津367-4(千代の湯)
電話番号:0279-88-2508
アクセス:湯畑から徒歩2〜3分
2017年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/12/22更新)
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