千秋公園からみえる美術館はコンクリート打ち放しの大きな壁。実は、反対側の側面が入口になっています。狭いスリットのような入口に足を踏み込んで、驚かされるのは柱ひとつない吹き抜け空間。ヨーロッパの教会のドームを見上げるような感覚に襲われ、思わず息をのみます。
三角型の天井からの優しい光。そして、光へ誘うかのように続く螺旋階段。厳粛な静けさがあり、光へとつながる螺旋階段は、さながら天国へ続く梯子のようでもあり感動的。そのまま2階に足を運びましょう。
三角形の空間のちょうど角々に入口があり、どこも1時の方向に足を踏み入れ、11時の方向へ視線が行くようにできています。
次は何がでてくるのでしょう。ラウンジに足を踏み込み、導かれるままに視線を11時の方向に向けると、壁一面に窓が広がり、水庭が千秋公園の木々や、雲の動きを映し出している姿が目に飛び込んできます。それは、まるで巨大スクリーンに映し出された風景画のよう。
建物から張り出した水庭には、もうひとつ仕掛けがあって、建物向かいにある道路が張り出した水庭の死角になって、車が見えなくなっています。技ありです。市街地の佇まいなのに、ノイズを遮断し、森の中にでもいるように感じさせてくれます。
2階のギャラリーにある「秋田の行事」は、縦3.65m、横20.50mの巨大な壁画ですが、秋田の四季折々の風物が描かれていて、活気があふれています。竿燈まつり、かまくら、秋田犬、エトセトラ、秋田の暮らしが活き活きと描かれています。秋田の資産家であった平野政吉氏は、最愛の妻を亡くして落ち込む藤田氏を励まし、彼に美術館建築の構想を打ち明けました。心機一転した藤田氏は、美術館にかける巨大な壁画を、わずか15日間たらずで描き上げました。
二人の夢は、戦争がおこったため一旦中断され、実現するのに数十年かかりました。フランスにあるランス礼拝堂を模した旧秋田県立美術館は、このたった一つの大壁画のために建てられたといっても過言ありません。長く県民に愛された建物でした。今でも、ラウンジから千秋公園に建つその姿を眺めることができます。
市街地の再開発として2012年に安藤忠雄によって新しく建てられた秋田県立美術館にも、三角屋根に丸窓の旧美術館のかたちが継承されています。優しい自然光がたくさん取り入れられ、三角形のモチーフがたくさん使われています。美術館を訪れたら、色んな三角形を探してみてはいかがでしょうか?
カフェに入ると、水庭に映し出された千秋公園の四季折々の美しい木々がパノラマで目に入ってきます。ラウンジのテーブルとソファは、すべて公園に向かって並んでいますので心ゆくまで自然を楽しむことができます。
カフェのメニューには、ケーキセットや秋田の銘菓とお抹茶のセットなどがあります。
安藤忠雄の設計した美術館は、国内外にたくさんありますが、水庭を目の前にして、お茶を楽しめるところはあまりないです。しかも水庭では四季折々の千秋公園の姿が楽しめます。そういった意味でも秋田県立美術館は、一年中いつ行っても、何度足を運んでも飽きない美術館です。
秋田県立美術館に行ったら、1階の県民ギャラリーも覗いてみてはいかがでしょうか?1階部分のギャラリーとカフェエリアは無料なので、ちょっと雰囲気を味わいたいなという方にもお勧めです。県民ギャラリーでは、様々な展示が催されていますが、県民のアートセンスは、かなりハイレベルです。
カフェには、秋田の名産品などもディスプレイされていて購入も可能。ギャラリー観覧料も大人310円、高校生以下は無料(2015年9月現在)とお得です。
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(2024/12/21更新)
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