TOPPERS/A-COMSTACK(Automotive COMSTACK)とは、TOPPERSプロジェクトで公開している車載システム向け通信ミドルウェアです。
A-COMSTACKは、AUTOSAR COMSTACKのCOM(Communication)、PDUR(PDU Router)、CANTP(CAN Transport Layer)、CANIF(CAN Interface)、CAN(CAN Driver)の5つのモジュールを含んでいます。
A-COMSTACKは、名古屋大学組込みシステム研究センター(NCES)が、複数の企業と共同で開発した車載システム向け通信ミドルウェアで、TOPPERSプロジェクトへ開発成果物としてコントリビュートし、無償公開致します。
(※AUTOSAR関連のソフトウェアを利用する際の留意事項については、こちらをご覧ください)
各モジュールはAUTOSARの原文をベースとして曖昧な仕様や、未規定の仕様を明確化し開発を行っています。また、5つのモジュールだけでも機能が多いため、すべての機能をサポートせず、限定した機能のサブセットとしています。
明確化した仕様と、サポートする機能範囲を記載したドキュメントを、各モジュールのdocフォルダの下に同梱しています。
A-COMSTACKの最新リリースはこちらからダウンロードできます。
TOPPERS/A-COMSTACKの各モジュールの主な特徴は次の通りです。
A-COMは次世代車載システム向けCOM外部仕様書に準拠しています。次世代車載システム向けCOM外部仕様書と併せて、次世代車載システム向けCOM用語集も公開します。
|
欧州の自動車メーカや電装部品メーカを中心とした標準化団体「AUTOSAR」が策定したCOM仕様をベースとしています。 ベースとした仕様書は「Specification of Communication V4.2.0 R4.0 Rev 3」です。
コンフォーマンステストとは、AUTOSARの策定する規格にプロダクトが合致するかどうか確認するテストのことです。
「Conformance Test Specification of COM V1.0.0 R4.0 Rev
2」をベースとし、「Specification of Communication V4.2.0 R4.0 Rev
3」用にコンフォーマンステストを変更しています。
コンフォーマンステストは、TTCN-3というテスト用言語で作成されており、独自にTTCN言語をC++言語へ変換するツールを開発しテストを実施しています。
独自で開発した変換ツールを使用したコンフォーマンステスト(A-COMSTACK CT)は、コンソーシアム型共同研究に参加している企業にのみに提供されますが、ライセンス購入することは可能です。
欧州の自動車メーカを中心として定められたC言語設計規約「MISRA-C:2004」チェックを実施しています。 一部、実行速度を優先する箇所やコードサイズを節約するために、敢えてMISRAコーディング規約を逸脱しているルールはありますが、逸脱する箇所は個別に検討を行い、MISRAの指摘する危険コードの回避を行っています。 逸脱したルールは、今後TOPPERSコーディングルールとして、一般に公開する予定です。
欧州の自動車メーカや電装部品メーカを中心とした標準化団体「AUTOSAR」が策定したPDUR仕様をベースとしています。 ベースとした仕様書は「Specification of PDU Router V3.2.0 R4.0 Rev 3」です。
A-COMSTACKは、現状CANプロトコルのみサポートするため、PDURはゼロコストオペレーションとしています。 COMからCANIFに直接PDUを渡すことが可能であるかのPDU-IDのチェックは、PDURのジェネレータで実施します。 したがって、A-PDURはジェネレータのみ同梱しています。
A-CANTPは次世代車載システム向けCANTP外部仕様書に準拠しています。次世代車載システム向けCANTP外部仕様書と併せて、次世代車載システム向けCANTP用語集も公開します。
|
欧州の自動車メーカや電装部品メーカを中心とした標準化団体「AUTOSAR」が策定したCANTP仕様をベースとしています。 ベースとした仕様書は「Specification of CAN Transport Layer AUTOSAR Release 4.2.2」です。
A-COMと同様「MISRA-C:2004」チェックを実施しています。
欧州の自動車メーカや電装部品メーカを中心とした標準化団体「AUTOSAR」が策定したCANIF仕様をベースとしています。 ベースとした仕様書は「Specification of CAN Interface V5.0.0 R4.0 Rev 3」です。
「Conformance Test Specification of CAN Interface V1.0.0 R4.0 Rev
2」をベースとし、「Specification of CAN Interface V5.0.0 R4.0 Rev
3」用にコンフォーマンステストを変更しています。
A-COMと同様、TTCN言語をC++言語へ変換しテストを実施しています。
独自で開発した変換ツールを使用したコンフォーマンステスト(A-COMSTACK CT)は、コンソーシアム型共同研究に参加している企業にのみに提供されますが、ライセンス購入することは可能です。
A-COMと同様「MISRA-C:2004」チェックを実施しています。
欧州の自動車メーカや電装部品メーカを中心とした標準化団体「AUTOSAR」が策定したCAN仕様をベースとしています。 ベースとした仕様書は「Specification of CAN Driver V4.0.0 R4.0 Rev 3」です。
A-CANのソースコードをターゲットごとにまとめた簡易パッケージは、こちらからダウンロードできます。 TOPPERS/A-CANは、以下のターゲットをサポートしています。
ディレクトリ名 | 開発環境 | |
---|---|---|
プロセッサ(型番) | システム(メーカ名) | |
hsbrh850f1l_ccrh |
CS+ V3.00.0 コンパイラ: ・CCRH: V1.02.00 |
|
RH850/F1L | 株式会社北斗電子製 HSBRH850F1L | |
fl850f1l_ccrh |
CS+ V3.00.0 コンパイラ: ・CCRH: V1.01.00 |
|
RH850/F1L | テセラ・テクノロジー株式会社製 FL-850/F1L(-S) | |
rczbasev850_cx |
CS+ V3.00.0 コンパイラ: ・CX: V1.31 |
|
V850E2/FG4 | 株式会社ゼットエムピー製 RC-Z-BASE-V850 | |
hsbv850e2fg4_cx |
CubeSuite+ コンパイラ: CX |
|
V850E2/FG4(-L) | HSBV850E2FG4(北斗電子) | |
nios2_dev_gcc |
Nios2 Cyclone IV 開発、教育用キット(NIOS2_DEV_DE2_115) QuartusII 11.0sp1 コンパイラ: GCC 4.1.2 ※OSに同梱しているNios2のHWイメージに含まれるCANコントローラに対応しています。詳細は以下のドキュメントを参照ください。 CANコントローラ接続方法(Nios2依存部) |
|
Nios2 Cyclone IV | NIOS2_DEV_DE2_115(terasic) |
TOPPERS/A-COMSTACKの開発を行ったコンソーシアム型共同研究に参加した企業については、下記のページをご覧ください。