毎日多くの人が乗り降りする鉄道やバスにつきものなのが、傘や財布などの忘れ物だ。この中には持ち主が分からないまま保管期間が過ぎ、捨てられている物も多い。廃棄量削減に向けて事業者は、リユース市場に売却したり、忘れ物の検索サービスを充実させたりするなどして対策に努めている。 (河野紀子)
保管庫にずらりと並ぶ大量の傘。神奈川県内で相模鉄道や相鉄バスなどを運営する相鉄グループでは、忘れ物のうち最も多いのが傘で、2021年度は約1万3600本だった。一方、持ち主に戻ったのはその24%にとどまった。
昨年7月からは、遺失物法が定める保管期間が過ぎて所有権が同社に移った忘れ物を、中古品販売のワットマン(横浜市)に売却する取り組みを始めた。今年8月までに約4万9千点を引き渡し、店頭で販売するなどしてもらった。相鉄グループの担当者は「忘れ物の有効活用につなげたい」と狙いを明かす。
首都圏を中心に東急電鉄と東急バスなどを運行する東急グループも、2年前から中古品販売大手のブックオフと協力している。同グループでは、持ち主が分からず捨てられた忘れ物は20年度で25トンに上っていたが、今年5月までの1年間でアクセサリーや文具、家電など約10トンを売却。ブックオフが仕分けし、国内外の店舗で販売したり、金属などの資源はリサイクルしたりした。
忘れ物が持ち主に戻りやすくする工夫も。名古屋鉄道(名古屋市)は、今年7月から人工知能(AI)による検索サービスを導入した。同社のホームページからアクセス...
残り 642/1283 文字
「東京新聞デジタル」スタート
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。