急な仕事や病気、冠婚葬祭といった緊急かつ一時的な事情ができた場合、幼い子どもを預けられる「24時間緊急一時保育」。名古屋市や横浜市で行われており、保護者の支えになっている。夜間を含めた預かり保育の様子に密着した。 (藤原啓嗣)
「ひえ~ん」。女の子が突然泣き声を上げた。12月中旬の午後、名古屋市瑞穂区のたんぽぽ保育園。音楽関係の仕事に就く女性(38)が長男(3)や長女(1)とやって来た。夜間のライブの仕事が入り、午後3時~翌午前4時に2人を預ける。
幼い2人の前日の睡眠時間やこの日の昼寝時間、食事、体調を聞き取り記録する保育士の松原圭佑さん(37)。女性が着替えやタオル、ミルクなどを手渡し、立ち去ろうとすると、長女が泣き出した。しばしの別れを察したのだろうか。
核家族化が進み、身近に子どもを預けられず、困っている人は増えている。こうしたニーズに応えるため、横浜市は2004年度に24時間緊急一時保育の事業を始めた。これに倣い名古屋市も13年度に同趣旨の事業を開始。両市によると、他に取り組む自治体は聞かないという。
この日利用した2人は、まず専用の部屋「ほしのへや」のおもちゃで遊んだ。落ち着いたのを見計らって、松原さんは一般園児と同じ部屋へ案内した。2人は他の園児と一緒に体を動かし、おやつを食べた。午後3時20分ごろ、松原さんは調理室で2人の夕食の準備を開始。この日のメニューは肉団子とホウレンソウのおひたし、みそ汁だった。
夕方になると次々と自宅に帰る一般の園児たち。午後6時30分になると、長女は保育士に抱かれたまま眠った。準備が整った7時ごろには、長女も目を覚まし、夕食の時間に。食事を手助けする松原さんは「これだけ食べてくれると作りがいがある」と笑顔だった。
午後8時になると、松原さんは翌朝まで担当する...
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