「ジビエ」を知っていますか。シカやイノシシなどの野生動物の肉のことで、食材としての活用が広まっています。背景には、山にいるはずの動物が街に現れて田畑を荒らしたり、人を襲ったりする被害(獣害)の増加があります。ジビエを通じて、身近に生きる野生動物のことを考えてみませんか。(熊崎未奈)
赤身が軟らかいシカ肉のステーキ、脂のうま味を感じるイノシシ肉のテリーヌ…。11月に東京都内であった日本ジビエ振興協会のセミナーでは、さまざまなジビエ料理が披露された。
「ジビエの魅力をもっと知ってほしい」。協会代表理事で、フランス料理店オーナーシェフの藤木徳彦さん(52)は呼びかける。藤木さんによると、シカは赤身、イノシシはとろける脂が特徴。タンパク質が多いなど栄養価も高い。「育った地域やオス、メスによっても味が違う。食べる楽しさがある」と話す。
◆野生動物捕獲 増える「獣害」へ対策
ジビエとして活用される野生動物の数は、年々増えている。昨年度は約15万8千頭だった。国も、捕獲や解体の仕方を決めたガイドラインを作ったり、処理施設を建てるために補助金を出したりして力を入れる。
背景には、獣害が広がっていることがある。2022年度に野生動物の被害を受けた農作物の金額は156億円に上る。被害を防ぐため、全国各地で野生動物の捕獲が進められている。
愛知県豊田市では、農業が盛んな山あいの地域で、イノシシが畑を掘り起こしたり、シカが田んぼで収穫前の若い稲を食べてしまったりする被害が相次いでいる。市農業振興課の藤川加奈子さんは「金属製の網や柵で囲っても、動物はくぐったり...
残り 678/1356 文字
「東京新聞デジタル」スタート
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。