日本の鉄道貨物輸送は今年でちょうど150年。温暖化やトラック運転手不足を受け、岸田文雄首相は先月、トラックから鉄道・船舶利用への「モーダルシフト」を訴えたが、課題は多い。貨物輸送は工場など生産拠点から消費地への一方向になりがちで、戻りのコンテナをどう埋めるかもその一つ。解決に向けた取り組みは?
先月九日、埼玉県越谷市の越谷貨物ターミナル。貨物列車で運ばれてきたコンテナが、フォークリフトで大東通運の大型トラックへ。コンテナの扉が開くと、日本製紙の齋藤博彦さんとJR貨物の一瀬純平さんが中の積み荷を確かめた。「全く問題ない。このコンテナは、天井が高いのが魅力です」
日本製紙、JR貨物と、環境・リサイクル事業を手がけるDOWA(どうわ)エコシステム(東京都千代田区)の三社が、「持続可能な社会への貢献」を掲げ、東京−秋田間で始めたラウンド(往復)輸送の初荷だった。
「往路」は、海外で回収した使用済みの自動車排ガス浄化触媒を、東京貨物ターミナル(品川区)でコンテナへ積み、貨物列車で秋田県の大館まで輸送して、DOWAグループの日本ピージーエムのリサイクル工場(同県小坂町)へ。
「復路」は、同じコンテナに、日本製紙の秋田工場で再生紙として生産された段ボール原紙を積み、越谷貨物ターミナルに運ぶ。空荷区間はほぼ解消。リサイクル関連の原料と製品をつなぐ「エコ」の環(わ)が、「エコ」な鉄道によって完成した。
段ボール原紙の主力製品のロールは背が高く、通常のJRコンテナには載せられない。そこで今回、DOWAエコシステムの子会社、DOWA通運の特殊な形のコンテナ「UV36A」を使うことにした。側面の扉の上が斜めにへこんでいるためトンネ...
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