ビルの老朽化により先月、表参道での四十六年に及ぶ営業を終えた子どもの本の専門店「クレヨンハウス」が武蔵野市に引っ越した。新店舗はJR吉祥寺駅近くの大正通り沿いにある商業ビル。プレオープンを十七日、グランドオープンを十八日に控え、内装工事が急ピッチで進んでいる。同店を主宰する作家の落合恵子さん(77)に移転先に吉祥寺を選んだ理由などを聞いた。
◆セレクト色を出す
−旧店と比べ、商品構成は変わりませんか。
「売り場面積は二割ほど小さく、やや手狭になりますが、一階が有機野菜売り場やレストラン、オーガニック化粧品など、二階が子どもの本や女性の本などの書店と玩具売り場です。これまでは『専門書店のスタンダード』をずっと続けてきて、入門編を大事にしてきました。新店では、次のステップも用意したい。作家別のコーナーをなるべく増やし、セレクト色を出そうと考えています」
−なぜ吉祥寺を移転先に。
「小さいころ、中野に住んでいたので母と一緒に週末は井の頭公園に遊びに来ていました。木陰で母の作ってくれた弁当を食べながら絵本を開いた。終戦後の物資の乏しい時代でも、傍らにはいつも本があった。井の頭公園は小さい自分を包容してくれた思い出のあふれた場所で、吉祥寺にお返ししたいという気持ちからです」
◆有機農業やりたい
−吉祥寺での新たな構想は。
「有機農業をやりたいです。有機農業をされている農家に協力いただき、できれば都内で、ここからそれほど遠くない場所に畑を確保したい。来春にも方向性を出すつもりですが、耕作できるようになるには時間がかかるかも。生産者は野菜や果物の作家です。私たちの体は私たちの食べたものでできている。オーガニックは通常のものより値が張りますが消費者が増えれば値段は下がる。『生産性、効...
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