LJDAM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 21:55 UTC 版)
アメリカ陸軍が不朽の自由作戦とイラクの自由作戦の間に得た経験から、1つの筐体にさらなる能力を加える必要が明らかとなり、進行中の計画でJDAMキットに精密終末誘導シーカーを備え付ける改良が行われることとなった。 レーザーJDAM(LJDAM)として知られるこの改良は、JDAM爆弾の先端部にレーザー誘導(セミアクティブ・レーザー・ホーミング、SALH)システムを加え、JDAMに移動目標への攻撃能力を与えるものである。レーザーシーカーは、米ボーイング社では精密レーザー誘導セット(Precision Laser Guidance Set, PLGS)と呼ばれ、今ではDSU-38/Bで知られる先端のレーザーシーカー部分と、後部のテールキットと先端のDSU-38/Bを弾体の下で固縛し固定するためのワイヤーハーネス部から構成される。2004年会計年度の内にボーイング社と米空軍は、JDAMのレーザー誘導能力のテストを開始し、そのテストにおいてシステムが移動目標を追跡し、破壊する能力があることを明らかにしている。この2重誘導システムは、GPS/INS単独での運用能力も残しているので、レーザー誘導が働かなくてもこれまでのJDAMと同様の精度を持っている。地上部隊が目標にレーザーを当てるだけでGPS機能と連動して目標座標が測定され、そのデジタル情報は、無線で空中のJDAM搭載攻撃機に送信されると人手を介さずにJDAM内に設定されるシステムも開発された。 2007年6月11日にボーイング社は、2009年6月までに600個のレーザーシーカー(米空軍に400個、米海軍に200個)を生産する契約を2,800万米ドルで獲得したと発表した。 ボーイング社によれば、ネバダ州のネリス空軍基地でテストを行い、空軍のF-16戦闘機とF-15E戦闘爆撃機が投下した12基の500ポンドLJDAM爆弾は、高速で移動する目標を破壊することに成功したとされた。機体に搭載された照準装置を使い、投下機自身がレーザー照射を行い、投下した爆弾が目標に命中するまで自ら誘導した。さらに、LJDAMキットでは、ボーイング社はJDAMの耐ジャミングシステムの開発を米海軍と契約し、テストを行っており、2007年には開発が終了して2008年には出荷が始まる予定である。このシステムは、統合GPS耐妨害システム(Integrated GPS Anti-Jam System, IGAS)として知られる。ボーイング社は、2008年9月15日にB-52H戦略爆撃機でLJDAMを搭載してデモフライトが行われたと報じた。2008年8月12日にイラクで実戦投入された。 2008年7月24日には、ドイツがボーイング社とLJDAMの最初の海外顧客となる契約を締結した。ドイツ空軍への引き渡しは2009年中頃から始まる予定である。この注文には、2009年にキット数を追加する選択肢も含まれている。
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