DS-ATC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 14:45 UTC 版)
東北新幹線 上越新幹線 北陸新幹線 北海道新幹線・海峡線 東日本旅客鉄道(JR東日本)の東北・上越・北陸新幹線で採用されており、DS-ATC (Digital communication & control for Shinkansen-ATC) と呼称する。 2002年12月の東北新幹線盛岡~八戸間延伸開業で使用が開始され、2013年までに東北・上越・北陸新幹線の全線で、アナログ型のATC-2型からDS-ATCへ更新された。 基本的なシステムはD-ATCと同じであるもの、列車側では車上装置 には、走行路線の線路情報と速度照査パターン をデータベースとして記録しており、車上装置では速度発電機のパルス出力より算出した移動距離、トランスポンダ地上子から受信した位置情報、データベースで記録されている路線情報を元に、列車の位置と速度を常に把握している。一方、地上側では、日立製作所勝田事業所で製作されたとみられるSAINT-LAN (Shinkansen ATC and INTerlorcking) と呼ばれる地上装置があり、そこで軌道回路による列車の検知、列車の停止位置の決定、伝送する信号電文の作成を行い、作成された列車の停止すべき点の情報をデジタルATC信号として列車が在線する軌道回路の後方区間に送信する。それを車上装置が受信することにより、車上装置のデータベースから速度照査パターンを検索し、該当した速度照査パターンと列車の位置から、その時点での許容速度を算出し、ブレーキが掛かる際には、列車速度と比較しながら最適なブレーキ力を算出して、一段ブレーキにより減速する。高速走行等を考慮し、駅間で後続列車が先行列車に接近の場合には、列車の最高速度から停止まで、ATCの速度照査パターンによる一段ブレーキになるが、停車での駅進入の場合には、列車の最高速度から75km/h まで、75 km/hから停車までの、ATCの速度照査パターンによる二段ブレーキとなっており、75 km/h以下からは、ブレーキハンドルによる手動操作により列車を停止させ、従来のATC-2型で行われていた確認ボタンによる確認扱いは行わない。ブレーキハンドルによる手動操作が行われなかった場合には、ATCのブレーキパターンにより、進路終端までに列車を自動的に停止させる。また、速度照査パターンにより列車を自動的に減速させる時には、ATCのブレーキの強弱を行うことにより、そのパターンに沿った滑らかな減速を行えるようになっている。車庫線での車両入換については、進入番線を地上信号機ではなく運転台の表示で確認できるようになっている。これらの関係でATC信号から受信した電文には、誤りがないことを検定するチェック用電文が含まれており、電文の正当性チェックを行うため、認識するのに多少時間がかかることから、非常ブレーキについては、動作応答を速めるため特定のビットを連続して受信すると即座に動作するよう設定している。D-ATC・DS-ATCは、下記ATC-NS・KS-ATCとは異なり、速度照査パターンデータはあらかじめ作成済みのものをデータベースとして所持し、地上からの停止点情報を元にそのパターンデータを「検索」するという方式を採用しているため、速度照査パターンを都度演算するATC-NSで導入当初に頻発した演算エラー等での停止信号現示などの現象は起きにくいとされている。着眼点は地震の規模からあらかじめ津波予測を計算・データ化し保存しておき、地震発生時はそのなかから最適データを引き出すだけとする津波予報システムと同様の考え方といえる。 海峡線のうち、新中小国信号場から木古内駅の間は、北海道新幹線の開業に合わせて設備(交流25,000V、DS-ATC、三線軌条)が更新された。そのため、同区間を通過する在来線列車は、対応する車上装置を搭載した形式に限定されることとなった。客貨車による列車は、すべてJR貨物EH800形電気機関車の牽引によって同区間を通過する。また、TRAIN SUITE 四季島に使用されるE001形も、前述の仕様を満たしており、自力走行で同区間を通過する。
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