AMEL BROAT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/09/07 03:21 UTC 版)
AMEL BROAT(アメルブロート)はアマチュアゲームプログラマのShou(河合章悟)によって作成されたフリーゲーム。ジャンルはRPG。略称は「アメル」。次回作Cresteaju(クレスティーユ・略称「クレス」)と合わせて「アメクレ」とも呼ばれることもある。
概要
同じ作者による長編RPGの2作目(「石がすがすがしい」という未公開の作品が存在するため、本作は2作目と定義される)。世界観はファンタジー。元々は、MS-DOSで作成されたものだったが、後にWindowsへと移植された。
今は入手困難ではあるがWindows版のゲームの音楽としても使用可能な サウンドトラックが存在する(一時期作者のホームページで購入できた。サウンドトラックのほか、壁紙、MIDIデータ、開発に関する逸話が収録されていた)。
ストーリー
かつてこの世界を創造した神、アメルが去り際に残した十六夜(いざよい)の剣。その存在を娘セリアに知られたルセイヌ帝国皇帝ドルガイラスは、信頼を置いている部下エルド・オウト・ノーティスを召集し、極秘に会議を開く。そこで、セリアの暗殺を命令した。数日後、『王女セリア病死』の報が世界中を駆け抜けた。
それから数年後、十六夜の剣を求めて旅を続ける青年アルヤは、家出して行き倒れていたヒロを助ける。そして、十六夜の剣の手掛かりをガハディ率いる盗賊団が握っていると知った二人は盗賊団のアジトに乗り込むことにした。
登場人物
戦闘メンバー
- アルヤ
- 本作の主人公。16歳。赤毛で、性格はそれなりに暗く過去のことを話したがらない。十六夜の剣を求めて旅をしているが、その理由すらも話そうとしない。ボケ役で、過去の話を持ち出されたときに惚けることもしばしば。戦闘では炎・雷系の攻撃魔法や回復魔法も使える一方、白兵戦も得意でほぼ全ての剣やナイフを装備できる。終盤に手に入る十六夜の剣は彼にしか装備できない。必殺技は剣による攻撃のものばかりである。
- ヒロ
- 13歳の少年。とある理由で家出し、行き倒れていたところをアルヤに助けられ彼に付いて行く。パーティにおいての回復役にしてアルヤの良きツッコミ役でもある。実家は神殿なのだが、あまり神を信じてはいない。戦闘では前述したとおり、回復系の魔法を駆使することが多い(全体回復魔法は彼しか使えない)。他にも氷・光系の攻撃魔法も使え、槍を中心とし、ナイフやごく一部の剣も装備できる。必殺技には相手に与えたダメージの量だけ自分が回復するものや、味方全員を全快させるものなど。
- レイシス
- レンヌ町長の娘。15歳。盗賊に誘拐されていたが、アルヤ達に助けられた。町へ戻されるも、盗賊団に囲まれピンチに陥ったアルヤ達を助けて旅に同行する。変態が嫌いで、女性キャラの中では唯一セイルに靡かず彼に蹴りを食らわせて宿屋の二階から突き落とすこともあった。兄が一人いたらしいが、船の事故で行方不明となっている。戦闘ではナイフや杖を装備できるが接近戦は苦手。攻撃魔法を中心として戦う。炎・雷・風・土系の攻撃魔法に加え、あるサブイベントをこなすことで古代魔法も扱えるようになる。必殺技にはMPを回復するものや、接近戦を得意としないにも関わらず他のメンバーの攻撃力を遥かに凌ぐ蹴りがある。
- セイル
- 年齢は20歳前後とされている。自らを勇者と称し、赤いマントに白い服と、センスを疑うような格好をし、緑色の髪を持つ(本人はこれを「環境に良い」と言い張る)。だが、女性ファンが多く、サインを求められることもしばしば。女に優しく男に厳しい性格だが、ジアには畏敬の念を抱いている。使える魔法はインバリディティ(敵味方双方に掛かっている補助効果を全て打ち消す)のみ。戦士タイプで攻撃力やHPはアルヤを凌ぐ。必殺技は剣による攻撃や、笑うことで敵のやる気をなくさせる(そのターンの行動を強制終了させる)ものがある。
- ジアエストル
- 年齢は還暦以上。通称ジア。義賊の頭で、ガハディの実父でもある。若い頃はドルガイラスと旅をしていたらしい。そのためか、ドルガイラスのことは「ドルちゃん」と呼ぶ。普段は飄々としているが、昔150人の山賊を相手に無傷で戦ったという豪傑であり、打撃による攻撃が得意で戦闘面でもその強さを発揮するが、よく持病の腰痛で動けなくなったり遠くを眺めたりするなど扱いづらいところがある。必殺技もやはり打撃によるものである。
- ルーシー
- 年齢は23歳。元々は、ルセイヌ帝国に仕えていたがドルガイラスのやり方について行けず退役し、帝国の未来を憂いて革命軍を興す。アルヤとは知り合いで、彼の過去についても色々知っている。剣やナイフが装備でき、魔法は補助効果のあるものが使える。
ルセイヌ帝国
- ドルガイラス
- ルセイヌ帝国皇帝。皇后の平和主義を強く継いだ娘セリアを疎ましく思っていた。やがて彼女の人望に恐れをなし、十六夜の剣を知ったことを口実に殺害した。過酷な悪政を行っているため人民からは密かながら反発を受けている。
- セリア
- ドルガイラスの一人娘。アルヤとは何か関わりがあったらしい。十六夜の剣の存在を知ったために暗殺された。名前のみ登場。
- レイガ
- 皇帝直属の騎士で、アルヤとは同い年。セリアを暗殺した人物でもある。革命軍としてルセイヌ城に攻めてきたアルヤを撃退する。後にアストローグでアルヤと一対一で決着をつけることになる(この戦闘の結果によって後のイベントが少し変わる)。
- エルド
- 帝国No.2の一人で、黄色のローブを纏っている。口調は丁寧ではあるが、取り乱すと乱暴になることも。唯一血液型が判明しており、A型である。ノーティスとは犬猿の仲である。
- オウト
- 帝国No.2の一人で、緑色のローブを纏っている。生真面目で、言葉遣いは丁寧。
- ノーティス
- 帝国No.2の一人で、赤色のローブを纏っている。喋る言葉が片仮名で3人の中では一番印象が強い。性格は好戦的で、挑発的な態度を取る。
- シャネイン
- 高血圧持ちの帝国兵。アルヤたちに会う度にからかわれて体調を崩す。口が軽く、大事なことをついつい喋ってしまう。革命軍としてルセイヌ城に攻め込んできたアルヤ達に倒され、命を落とす。
- ソムヤード
- 帝国兵。シャネインとは良きライバル同士らしい。城を攻めてきたアルヤ達を匿っているとしてラスカートを焼き払おうとしたが、ミナの返り討ちに遭い失敗。アストローグではエルドにアンデッドの魔法を掛けられ、死してもなおアルヤ達に立ちはだかった。
- グレイ
- ルーシーの元同僚。回想シーンのみ登場。この回想イベントは見つけるのが困難なため、彼を目撃したプレイヤーは多くはないと思われる。
- ガハディ
- 盗賊の頭。何故か風邪を引いているため、彼との戦闘はそう難しくない。十六夜の剣の鍵となる水晶球を持っており、シャネインに渡す筈だったがカーナの南にある塔でアルヤ達に追い詰められ、実父ジアに突き落とされ命を落とす。
その他
- ダイサク
- ジアを心から尊敬している義賊。自分の名前を大変気に入っている。
- ミナ
- ヒロの姉。ラスカートで巫女をしている。嫌いな言葉は「クソババア」で、ソムヤードから言われた際に強力な魔法を怒涛の勢いで食らわせた。意外にも白兵戦も得意で、魔法を封じられても背中に背負っていたロングソード一本で帝国軍を退けた。その強さをアルヤに買われ旅への同行を懇願されたが、「肌に悪い」「髪が痛む」などの理由で断わった。
- ライアス
- 過去の空想中に出てくるレイシスの兄。数年前に、家族で船上で事故に合い、母と兄のみが行方不明となった。
評価
ベクターの「週刊ソフトニュース」では「グラフィックの大半が16色で描かれているなど、いまのWindowsソフトと比較するとちょっと荒い、と作者も述べているが、その欠点を補ってあまりあるのがゲームバランスのよさ」と評されており、「万人受けするシナリオと、シンプルな操作性」や「随所に『より便利に』というコンセプトが見受けられる点」についても評価された。一方で「ジョイパッド(SideWinder Freestyle Pro)を使うと、ゲームが強制終了してしまうのが気になった」「アプリケーションの切り替え([Alt]+[Tab])ができないのも痛い」との指摘もなされた[1]。
ふりーむのレビュー記事では「RPGの基本をしっかり押さえてあり、ゲームのバランスも取れている」「アイテムと魔法の種類も豊富であり、丁寧な創りこみが感じられる」と評価され、「若干グラフィックに寂しさを感じるが、完全オリジナルの戦闘システム・グラフィック等によって独特の世界観を演出しているので、プレイしているうちに『味』のあるグラフィックに感じられるだろう」と評された[2]。
脚注
- ^ 週刊ソフトニュース 99.03.11号 ベクター 1999年3月11日
- ^ AMEL BROAT レビュー ふりーむ!
外部リンク
固有名詞の分類
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