CADとは？ わかりやすく解説

別表記：キャド

「CAD」とは・「CAD」の意味

正式名称「Computer Aided Design」を略した「CAD」とは、従来手作業で行われていた図面作成などをコンピュータで行うためのツールであり、建築業界や航空業界、歯科医療業界など幅広い分野で用いられ、資格試験も行われている。

住宅や自動車、スマートフォンなど日常生活に欠かせないような製品の多くは設計図を基に作られており、CADは図面の作成をする上では必須なツールになっていると言える。1960年代に飛行機を設計する目的で、大手の航空機メーカーが2DCADを開発している。その後、機械系や建築系の図面作成にもCADが活用されるようになり、世の中に普及していったと言われている。

CADの最も大きな特徴と言える点が高い技術が求められる図面の作成も簡単にできる事だ。基本的に図面は線の太さによって製品の仕様が変わってくる事から、線の太さが均一になるよう微調整できる技術が要求されてくる。しかしCADを利用すればコンピュータが太さを設定して製図してくれるため、CAD初心者でも簡単に精度の高い図面作成ができる。また作図データの修正が容易にできる所もCADが持っている特徴だ。手作業による作図の場合、修正する時に他の箇所を誤って消してしまうというリスクがある。

しかし、CADを使用すれば修正したい箇所の修正や削除をコンピュータ上で行えるので、修正箇所以外に影響を及ぼしてしまうという心配がなく、精度の高い図面作成が行える。さらにCADの特徴として挙げられるのが、データの共有や管理も簡単にできるという点である。CADで作成した図面はサーバーなどに保存できるため、データの共有・管理が簡単にできる。さらに、修正前のデータを保存する事も可能であるので、過去のデータを参照したい時にすぐに閲覧できるのは、大きなメリットと言えるだろう。尚、CAD利用技術者試験や建築CAD検定試験など、CADに関連する資格は数多くある。

「CAD」の熟語・言い回し

CADオペレーターとは

CADオペレーターとは、CADを利用して製品の図面を作成する人の事を指す。CADオペレーターは特定の業種のみで必要とされている職種ではない。製造業界をはじめ建築業界やインテリア業界など、CADオペレーターが活躍している業界は多岐にわたっている。またゲーム業界やアパレル業界などでもCADオペレーターが必要とされている傾向が強まっていると言える。CADオペレーターの主な仕事は、手書きで書かれている図面を忠実にトレースする事である。手書きの図面がない状況から直接CADソフトを用いて製図などを行うケースもあるが、基本的には正確に図面を作成する事がCADオペレーターには求められている。

一方、既に完成している製図に対して修正を行ったり、複数の図面ごとに整合性をとるといった事もCADオペレーターの業務である。一般的に製品や家などは図面一つのみで完成させる事はほぼ不可能であり、常時複数の図面を用意しておく事が基本と言える。CADオペレーターはこうした事を考慮しながら常に完成形をイメージしながら仕事をする必要がある。そのため、CADが扱えるだけでなく、自分が業務をこなしている業界の基礎知識を身に付けておく事もCADオペレーターには求められてくる。

さらに作成した図面に対して、設計者と話し合いながら微調整や修正を行う事もCADオペレーターの役割だ。設計者とスムーズに情報共有できるようにするためにも、設計に関する知識も身に付けておく必要があると言えるだろう。また、CADオペレーターの場合、一般事務と兼務しているケースも少なくない。このようなケースでは、クライアントや設計者との打ち合わせや見積書の作成などの業務もこなさなくてはいけない可能性もある。そのため、ある程度のコミュニケーションスキルもCADオペレーターには必要だ。

CADソフトとは

CADソフトとは、簡単に言うと製品を設計するためのソフトを指す。CADソフトを用いる事で従来手作業で行っていた図面作成がコンピューター上でできるようになる。CADソフトには様々な種類があり、その一つとして挙げられるのが、汎用CADソフトである。汎用CADソフトとは、製図に必要とされている基本的な機能が付いているCADソフトの事である。ジャンルに関係なく幅広い分野で利用できる点が大きな特徴だ。特定の分野を目的とした専門的機能が備わっていない事から、比較的安価で入手できる点も魅力である。簡単な図面作成や修正・編集をする程度であれば、汎用CADソフトでも十分と言えるだろう。

またCADソフトの種類として知られているのが、機械用や建築用のCADソフトである。機械用CADソフトは自動車や飛行機、スマートフォンといった機械や機器の設計に特化したCADソフトだ。機械や機器の製図はとても細かく複雑であるが、機械用CADソフトを活用する事で設計や修正が容易にできる。一方、建築用CADソフトは、建築物の設計に特化しているCADソフトとなっている。建築に必須と言える基本設計図や施工図、設備図などあらゆる建築に関する図面作成が可能である。間取りや壁などの作図が簡単にできたり、建物内のシンボル配置が容易にできるなど、建築物を設計する上で便利な機能が備わっている。

違法CADとは

違法なCADの一つとして挙げられるのが、著作権者の許可を得る事なく不正にコピーされたCADソフトであり、著作権法違反となる可能性がある。また不正にコピーされたCADソフトと知りながら入手又は使用しても著作権法違反と見なされるケースもある。不正にコピーされたCADソフトは安定性がないと言われており、アプリケーションのクラッシュが発生してしまうリスクが潜んでいる。さらに、このようなCADソフトの使用は、有害なソフトウェアの標的になったり、作業データを消失してしまうというリスクが高まってしまう。ネット上で極端に格安で販売されているものやユーザ登録は不要などとアピールしているものは違法なCADソフトである可能性が高いため、十分注意が必要である。

3d CADとは

3d CADとは仮想の3次元空間において、縦と横に加えて奥行きもある立体的な形状の製図が行えるツールである。作成された形状は3Dモデルとも呼ばれ、形状を立体的に見る事ができるのが大きな特徴だ。実物に近い形状である事から、視覚的なイメージの共有が容易にできる。そのため、専門知識がほとんどない人であっても、完成形のイメージがしやすい点が3d CADのメリットである。また優れた試作品製作が求められずに済むという点も3d CADのメリットの一つと言える。最終的に試作品は専門業者に依頼して実物を作成してもらう事になるが、それ以前の工程段階における検討であれば、3d CADで製作した完成イメージのグラフィックでも十分に情報共有する事ができる。また3Dは3Dプリンターと連携する事もできるので、3d CADで作成したデータを出力して自社で試作品を製作する事も可能だ。

auto CADとは

auto CADとはオートデスク社が提供している汎用性の高いCADソフトである。幅広い業界で使用されているCADソフトであるが、特に機械分野や建築分野で使用されているケースが多い。CADの使用経験がほとんどないような初心者にも扱いやすい優れた操作性と2Dと3D、両方の図面作成ができる点が大きな特徴と言えるだろう。また拡張性が高い点もauto CADの特徴の一つだ。様々な機能を追加する事ができるため、ユーザが使いやすいようにカスタマイズする事ができる。機械設計や建築設計など様々な分野に合わせたツールセットも用意されており、初心者でもスムーズに使用できる点も魅力の一つだ。

jw CADとは

jw CADとは、ジェイダブルキャドと呼ばれている2Dの汎用性CADである。建築士がjw CADの開発に携わっており、建築設計に便利な機能が数多く備わっているため、建築汎用性CADとも呼ばれている。主な機能としては、マウス操作でコマンドを実行する事ができるクロックメニュー機能や中身を持たない透視図などが作成できる2.5D作成機能などがある。ネット上で入手できる無料のCADソフトでありながら機能面も優れている事から、建築業界だけでなく、教育やアパレルなど幅広い業界で導入されているCADである。