ヘータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/15 06:07 UTC 版)
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Ͱ, ͱ(ヘータ、希:ͱῆτα/ἧτα, 英:heta)は、現在使用されていない古代ギリシア文字の字母の1つ。音価としては/h/を表した字母であった。
ヘータという名称は本来はΗ(エータ)の古名であり[1]、Unicodeなどで便宜的に使われている。
歴史
古代ギリシア語には気音の/h/があり、Η(古くは)の文字で表記されていた。この文字はしばしば省略されたが、音としては西暦紀元のはじめごろまでは存在していたらしい[2]。
しかし、ギリシア語イオニア方言には/h/の音が存在せず、イオニアのミレトス式アルファベットではΗの文字は長母音/eː/(古くは/æː/)を表すために流用された[3]。紀元前5世紀から紀元前4世紀前半にかけて、このミレトス式アルファベットがギリシア語世界全体に標準として普及した結果、/h/は原則として表記されなくなったが、マグナ・グラエキア地方ではその後もΗの左半分を取った「Ͱ」によって気音の/h/を表記した[2]。
その後、アレクサンドリアの文法学者は、母音の上にダイアクリティカルマークとして「Ͱ」を置くことで気音を、逆にΗの右半分を取った字(┤)によって気音が存在しないことを表した。これらの記号は後に気息記号“ ̔ ”(有気記号)および“ ̓ ”(無気記号)に変化した[2]。
/h/は、4世紀までに音として存在しなくなったようである[2]。現代ギリシャ語でも/h/の音素が存在しないため、気息記号は古典語を反映したカサレヴサでは表記されるものの、口語を元にしたディモティキでは使用されていない。(古川晴風 『ギリシャ語四週間』 大学書林、1958年、978-4475010177より)。
なお、よく似た形の文字がクラウディウス文字にも存在する(Ⱶ U+2C75、ⱶ U+2C76)が、偶然の一致である。
符号位置
大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
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Ͱ | U+0370 | - | Ͱ Ͱ | ͱ | U+0371 | - | ͱ ͱ |
脚注
参考文献
- 松本克己「ギリシア・ラテン・アルファベットの発展」『世界の文字』西田龍雄、大修館書店、1981年、73-106頁。
- Allen, W. Sidney (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558
「ヘータ」の例文・使い方・用例・文例
- ファミリースピロヘータ科の標準属
- いくつかの寄生性の、または病原性の小さなスピロヘータ
- トレポネーマ科の標準属:起伏する剛体のある嫌気性のスピロヘータ
- 人間の病気を引き起こすスピロヘータ(たとえば梅毒とフランベジア)
- 3つから5つの波形の螺旋がある小さな柔軟な寄生スピロヘータ
- 非常に細長い好気性スピロヘータ
- ドイツの細菌学者で、現在ライター症候群として知られている病気を解明し、人間の梅毒を引き起こすスピロヘータを特定した(1881年−1969年)
- 梅毒トレポネーラ・スピロヘータによって生じる一般的な性病
- 脳梅毒という,脳膜や脳の血管が梅毒スピロヘータに侵されて起こる精神神経障害の病気
- 脊髄癆という梅毒スピロヘータが原因で起こる病気
- スピロヘータという細菌
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