うす‐まく【薄膜】
はく‐まく【薄膜】
薄膜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 04:44 UTC 版)
薄膜(はくまく)とは薄い膜のこと。分野によって定義が異なる。
以下の項目は1の薄膜についての記述となっている。
製造方法
薄膜の製造方法は以下のように分類できる。[1]
気相堆積法
- -原料の気体を、蒸発やスパッタリングなどの物理的な手法で発生させる方法。
- -物質を真空中で蒸発させて、基板上で薄膜を成長させる方法。
- 抵抗加熱蒸着
- 電子ビーム加熱蒸着
- パルスレーザー堆積(PLD)
- 分子線エピタキシー(MBE)
- イオン/ラジカル蒸着
- スパッタリング
高エネルギーのイオンや原子をターゲット材料に衝突させることによって、ターゲット材料の表面から原子が叩き出されることを利用する方法。
- -物質を真空中で蒸発させて、基板上で薄膜を成長させる方法。
- -気体の原料を、基板の近傍で、熱やプラズマによって反応させて薄膜を生成する方法。
液相堆積法
- 融液法
- -液相エピタキシー(LPE)など
薄膜の分類
薄膜は膜の厚みによって分類され以下のようになる。
- 膜の厚みが数10μmならば厚膜
- 膜の厚みが数μmならば薄膜
- 膜の厚みが数nm以下ならば超薄膜
また、薄膜の持つ特性からコールドミラーコート、バンドパスフィルター、反射防止コートなど様々な種類に分類されている。
薄膜の測定
薄膜の厚みは2種類測定される。1つ目は物理膜厚と呼ばれる単なる薄膜の厚みであり、これは水晶振動子と呼ばれる電圧をかけると振動して周波数を発生させる機器を用いる。2つ目は光学膜厚と呼ばれるもので膜の厚みに膜の持つ屈折率をかけることで得られるものである。実際には、光学膜厚は計算ではなく、光学モニターによって測定されている。
薄膜の評価
薄膜を評価する方法は多数存在し、電子線を用いる方法(LEED、SEM、TEMなど)、イオンを用いる方法(ISS、SIMSなど)、X線回折を用いるものや応力検査などがある。
脚注
出典
- ^ 金原 粲「薄膜工学」、丸善出版、平成28年、ISBN 978-4-621-30098-5。
関連項目
外部リンク
「薄膜」の例文・使い方・用例・文例
- うろこ、薄膜、棘などを取り払う
- タイヤと道の間の水の薄膜の上に浮上し、そのためそれ以上道路との接触がなくなる
- 蛾の薄膜状の羽
- 磁気ケイ酸塩の薄膜上の泡という形で情報を保持する、不揮発性の記憶装置
- ポリエステルの薄膜
- セメンタイトとフェライトの薄膜状混合物で、オーステナイト冷却の間に形成される
- 発声器官という,動物の気道内の特定部位にある薄膜状の振動音を生じる器官
- 円窓という,人間の耳の薄膜
- 表面に酸化スズ,酸化チタン,酸化インジウムなどの電導性薄膜を焼きつけ,透明で電導性のあるガラス
- 鉄骨に薄膜を張り,ワイヤーで引っ張って屋根を架ける建築構造
- フォトレジストという,集積回路製造の際,金属蒸着薄膜の表面に塗布する感光性物質の膜
- このディスプレイは新技術を活用し,柔軟性のあるプラスチックフィルムの上に有機TFT(薄膜トランジスタ)と有機EL(エレクトロルミネッセンス)を集積している。
薄膜と同じ種類の言葉
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