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弧長とは? わかりやすく解説

弧長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/29 19:23 UTC 版)

数学において、複雑な形状の曲線(弧状線分)の弧長(こちょう、: arc length)を決定する問題は、曲線の求長 (rectification) とも呼ばれ、特定の曲線に対する求長法は歴史的に様々なものが考えられてきたが、無限小解析の到来とともに曲線に依らない一般論が導かれ、いくつかの場合にはそこから閉じた形の式英語版が得られる。

複数の線分による近似

平面内の曲線は、曲線上の有限個の線分で結んで得られる折線で近似することができる。各線分の長さは、ユークリッド空間におけるピタゴラスの定理などから直接に求まるので、近似折線の総延長はそれらの線分の長さの総和として決定することができる。

考えている曲線がはじめから折線なのでなければ、用いる線分の長さを短くして数を増やすことによって、よりその曲線に近い形の折線近似が得られる。そうやってよりよい近似折線を次々につくっていくと、その長さは減ることはなく、場合によっては無制限に増加し続ける可能性もある。しかし、殊滑らかな曲線に限っては、それは線分の長さを無限に小さくする極限で必ず一定の極限値へ収斂する。このように、ある種の曲線に対しては、任意の近似折線の長さの上界に最小値 L が存在する。そのとき、その曲線は有限長であるといい、値 L をその曲線の弧長と呼ぶのである。

定義

Xユークリッド空間 Rn や、より一般の距離空間であるとし、C を空間 X 内の曲線とする。すなわち、C実数直線内の閉区間 [a, b] から X への連続写像 f : [a, b] → Xである。

区間 [a, b] に対して 区間の分割

曲線の小片 Δsピタゴラスの定理を使って近似できる。

曲線の弧長を近似するために曲線をたくさんの線分に分解するが、弧長の長さを近似値でなく真の値として得るには無限に多くの線分が必要になる。これはつまり、各線分を無限に小さくすることを意味しているが、このことは後に積分を用いる際に効いてくる。

線分の代表元を見れば、その長さ(線素)が微分 ds であることが確認できる。この変位の水平成分を dx、垂直成分を dy で表すと、ピタゴラスの定理から

曲線 y = t5, x = t3 の線素

例として、曲線が

複数の直角三角形の斜辺が曲線を近似している。

函数 y = f (x) で与えられる曲線が求長可能であるものと仮定する。曲線上の点 a から b までの f に沿った弧長 S を近似するために、斜辺を連結して曲線の弧を「被覆」できるような直角三角形の列を構成する。簡単のため、全ての三角形の底辺は等しく Δx であるものとすると、その各々の三角形に対して高さ Δy が対応づけられて、斜辺の長さがピタゴラスの定理により

フェルマーの求長法

フェルマーはそれまでの自身による接線を用いる方法に基づいて、曲線

x sin(1/x) のグラフ

既に述べたように、曲線の中には求長不能な、すなわち折線近似の長さに上界がない(長さをいくらでも大きくできる)ものが存在する。少し砕けた表現では、そのような曲線は長さが無限大であるなどという。曲線上の(少なくとも二点以上を含む)任意の弧が無限長を持つような連続曲線が存在する。そのような曲線の例としてコッホ曲線や、0 をいずれかの端点とする任意の開区間上で f (x) = xsin(1/x) および f (0) = 0 で定義される函数のグラフなどがある。無限長曲線の大きさを「測る」のには、ハウスドルフ次元ハウスドルフ測度英語版が用いられることもある。

リーマン幾何の場合

M(擬)リーマン多様体とし、γ: [0, 1] → MM 内の曲線、g を(擬)リーマン計量テンソルとすると、曲線 γ の長さは




弧長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 04:08 UTC 版)

ベクトル解析」の記事における「弧長」の解説

線積分特殊なケースとして ∫ C d ⁡ s {\displaystyle \int _{C}\operatorname {d} s} を考えると、曲線Cの長さ(弧長)に一致する事が知られている。 厳密な証明は弧長の項目にゆずるが、直観的には以下の理由よる。Cを x ( u ) = ( x 1 ( u ) , x 2 ( u ) , x 3 ( u ) ) {\displaystyle \mathbf {x} (u)=(x_{1}(u),x_{2}(u),x_{3}(u))} 、u∈[a,b] と向きはじめとする保つようにパラメトライズし、[a,b]を長さΔuの微小区間分けると、Cの長さはおよそ ∑ i ‖ x ( ( i + 1 ) Δ u ) − x ( i Δ u ) ‖ {\displaystyle \sum _{i}\|\mathbf {x} ((i+1)\Delta u)-\mathbf {x} (i\Delta u)\|} ∑ i ‖ Δ x / Δ u ‖ Δ u {\displaystyle \sum _{i}\|\Delta \mathbf {x} /\Delta u\|\Delta u} なので、Δuを0に近づけると、線積分 ∫ ‖ d ⁡ x d ⁡ u ‖ d ⁡ u {\displaystyle \int \left\|{\operatorname {d} \mathbf {x} \over \operatorname {d} u}\right\|\operatorname {d} u} に一致する。従って上述線積分で弧長を求める事ができる。

※この「弧長」の解説は、「ベクトル解析」の解説の一部です。
「弧長」を含む「ベクトル解析」の記事については、「ベクトル解析」の概要を参照ください。

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