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出版業界とは? わかりやすく解説

出版業界

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:49 UTC 版)

ゴーストライター」の記事における「出版業界」の解説

本人話したことを一言一句そのまま書かせる口述筆記」から、本人書いた文章読みやすく加除訂正する「編集リライト」もあれば、ほとんど書き下ろしに近い「代筆」まで、様々なケース見られる執筆実作業担った人物に対して謝辞その他の何らかの形で名前が出る場合もあれば、まったく出ないことも少なくない。「構成」や「協力」や「編集協力」など、一見すると曖昧な名目本のの裏側や目次最後奥付の前や奥付などで、目に付かない形で名前が出る場合もある。ゴースト勝手に名乗り挙げることは、出版業界のモラル上の大きなタブーとされているが、ゴーストライターゴースト以外の作品成功した場合、その名義を表に出してゴースト時代作品復刊されることもある。「著者」の態度は人によってさまざまで、ゴーストライター手伝ってもらったことを公にする人から、追及されない限り黙っている人・あくまで自分書いたかのように振る舞う人も多い。 たとえば、文筆主業としないタレント俳優政治家スポーツ選手企業経営者・学者・その他、著名人の名前で出版されている本のうちのかなりの割合が、多かれ少なかれゴースト使っていると言われる書籍社長経営者のための企業出版入門』には「原稿作成ゴーストライターお仕事です」という一節があり「イメージ上、それを公にていないだけです」と説明されている。学者研究者場合論文自分で書くものの、一般向けの書籍などではゴーストライター関与することがある最近では芸能人アスリートブログにも、ゴーストライタースタッフによる代筆)が使われる例がある。ノンフィクションライターの窪田順生は、「国会議員社長にタレントプロ野球選手登山家大学教授医師投資コンサル……変わり種では、女カリスマ社長なんかの代筆をさせていただいたことがあると書いている。講談社編集者だった伊藤寿男は、自分担当した中でゴーストライターでなかったのは桂三枝(現・六代 桂文枝)と秋吉久美子だけで、ほとんどがゴーストライターであった明かし、「読者事情知っているのだから、古い習慣はやめて本来のライター名義入れるべき」としている。 過去には、著者名義になっている人物生放送などの場でつい、口を滑らせてしまった例も見られる例え歌手タレントである松本伊代オールナイトフジ1984年12月29日)で、“自筆エッセイ”の内容司会者聞かれた際に、「まだ読んでない」と返答してしまった事例などがある。詳細は彼女のリンクを参照ゴーストライターのほとんどは、作家ジャーナリスト・評論家フリーライター新聞記者雑誌記者などの、物書きプロフェッショナルである。高い知名度を持つ作家が、かつてゴースト務めていた経験があったり、逆に自身ゴースト使っていたりする場合もあるとされる知名度のある人物表の顏となり、実際の作業裏方任せるからである。ジャーナリスト肩書があっても、自分書かない人もいる。その場合、著者並んで取材班」という署名がつくこともあるが、つかないことも多い。ほとんど丸投げのこともある。とあるニュースサイトには、次のような話が紹介されている。「かつて『新進気鋭』のジャーナリスト出版した本が話題になったが、このジャーナリストはほとんど自分書いていないと噂になった実際に著者知人も、出版社からの依頼取材してまとめたものが、ほぼそのまま、そのジャーナリスト新刊掲載されたことがあった」、「『自称ジャーナリスト担当していたラジオ用「ニュース解説」の原稿丸投げされていた知人もいる。このジャーナリスト収録直前初め原稿を読む。つまり、自分の名前で視聴者伝えニュース解説他人に作らせ、直前までその内容知らないのだ。ちなみにこの人物、メディア登場しては、悪びれることなく嘘の実績を話す」。 ゴーストライター重宝されるのは、著名人といえど文章を書くことを生業としていない者がゼロから原稿書き上げるのは現実的に難しいこと・また書いたとしても、そのままでは読みづらく読者理解しにくい文章になりがちだからである。そのため、ゴーストライター文章書き慣れない人をサポートし文章の質や量の向上に寄与しているとも言える。『女性自身』誌で7年間に150本の手記をゴーストライトしたルポライター竹中労は、その意味ゴーストライターは必要であると主張している。その一方で竹村健一盗作疑惑や、俳優長門裕之の『洋子へ』のケースのように、時として内容問題になった際に文責所在曖昧にされることがある。 みずからもゴーストライター務め吉田典史によれば、「約9割のビジネス書は、ゴーストライター書いている」という。その理由は、ビジネス書では文章力よりも著者知名度コミュニティファン)の存在重要視されるからである。発売直後一定部数売れ行き見込めなければ出版企画そのもの成立しない。また無名経営者企業出版自費出版)を行なう場合は、最初数百冊を大手書店通して自費買い上げることもあるという。これは、大手書店ランキング上位掲載されることを目的とした行為である。いわば、大手書店は『ランキング売って』いるともいえる。吉田は、自分書いてない者が著者名乗るのが「詐欺なのか、それとも詐欺ではないのか。わたしはいまなお、この問い答えることができない」と、言葉を濁している。 ビジネス書ゴーストライター業が生業大半である上阪徹は、ゴーストライターという言葉ネガティブ聞こえることから、自著職業ブックライター』にて、「ブックライター」という呼び名提唱している。この本では、毎年10冊以上のゴースト本を出している自分の生活を語っている。また、ゴーストとして担当した本であとがき執筆する際に、自らと編集者の名前を出して謝辞代筆してしまうが、編集者削除されることもあると述べている。ゴーストライターをするときの「著者」への取材時間は、一般的に1020時間とされている。中には5時間で書くケースもあれば、何カ月もかけて密着取材をするケースもある。 ブロガーイケダハヤトは、世の中にある多くの本と同様に自分の本は編集者の手入っており、作品によっては半分近く編集者書いている」、と開示している。その際に「エンドロールずらずらと関係者の名前が並ぶ映画ゲーム」のように、「他人の手借りて制作した場合は、そのこと開示する」というルール提唱しており、実際に電子書籍『ブログエイジ』は共著者として編集者」をクレジットしたものの、「紙の本」の業界においては文化の壁があるようで、実現には至っていません」と述べている。 アメリカの出版業界では、スポーツ選手企業人などの文章素人出版する際にはライタージャーナリストとの共著として発表されることが多い。この場合共著者とは、クレジットされたゴーストライターであり、文章執筆のすべてを請け負っている。しかし、クレジットされるからと言って問題まったくないというわけではない。アメリカで2006年出版された『スリー・カップス・オブ・ティー』は、登山家から慈善活動家に転身したグレッグ・モーテンソンの自伝として売り出された。この本は、発売4年220週)もの間、「ニューヨーク・タイムス」紙のベストセラーノンフィクション部門ランキング載り続けたベストセラーであり、世界39カ国で翻訳販売され総計400部以上を売り上げた続編ベストセラーとなった。この2冊の共著者はデビッド・オリバー・レーリンというジャーナリストで、執筆にあたってモーテンソンの協力がなかなか得られなかったために想像によって自伝エピソード大きく補ったという。本がベストセラーになって注目浴びたために、モーテンソンの慈善事業集まった寄付金のうち7〜23億円が行不明になっていることや、内容虚偽エピソード含まれていることに対して批判巻き起こった。モーテンソンは慈善活動にいっそう力をいれることで償う謝罪したが、レーリンは批判キャンペーン展開され翌年2012年に、罪悪感ライターとして将来への悲観から49歳自殺した日本では1973年出版され糸山英太郎議員自伝・『太陽への挑戦』(双葉社)について、ゴーストライター豊田行二翌年に『小説糸山英太郎 太陽への挑戦者』を『オール読物』(文藝春秋)に発表して代筆暴露するという事件があった。元の本は一年半50部を売り上げるベストセラーであり、双葉社怒りは相当なものであった中堅幹部は、次のように語っている。「『太陽への挑戦』は糸山・豊田・双葉社三者共犯から生まれた鬼っ子”なんだからね、三者とも恥ずかし行為をしているわけなんだよ。だから、それは公けにすべきではなく棺桶の中まで持って入る“秘密”でなくちゃいけない」。 出版界では長らく暗黙の了解存在だったゴーストライターという仕事を、広く公然化したのはKKベストセラーズ創業者岩瀬順三である。1982年11月17日NHK教育テレビ放送された『NHK教養セミナー』「現代社会構図出版界最前線第2回ベストセラー狙え〉に出演した岩瀬が、当時同社から出版されベストセラー第2位だった江本孟紀の『プロ野球を10倍楽しく見る方法に関してアナウンサーが「この本も、原稿をまとめたのは、実は出版社だという話です」と言うと岩瀬は「書いた書かないかでなく、誰の本.....山口百恵の本、江本の本ということ重要だ」と前置きをして「ゴーストライターによってつくろうとも、なまじ本人書いて拙い文章の本をつくるより、言わんとすることを正確に、より読みやすく面白く書いてもらったほうがいい。江本孟紀書いた本を売っているのではなく、“江本の本”を出しているのだと判断してもらいたい」と発言した。これは、当時ゴーストライター対する強い批判岩瀬回答しゴーストライター必要論を強調したものであった。『プロ野球を10倍楽しく見る方法』は、220部という記録的な売れ行きとなり、以降のゴーストライターブームをつくったと言われた。その後この手タイトル本作りのスタイル他社にそっくり真似られ、20世紀末にはすっかり定着している。こうした手法編み出したのは岩瀬ではなく光文社カッパ・ブックス創始者神吉晴夫といわれるそれまでは、著者書いたものをそのまま本にするというのが一般的な傾向であったが、神吉が「編集者著者共同作業」という出版メソッド・すなわち、編集者テーマ設定して企画力発揮し編集者徹底的に注文付けて書かせるという「創作出版」・著者と共に共同製作を行う「出版プロデューサー出版社」を編み出し岩瀬の手法はこれを進化させたものであったビジネス書実用書ではゴーストライター起用が当然となっている出版業界であるが、近年小説など分野においてもゴーストライターを使う例が見られる。例として、元・ライブドア経営者堀江貴文による小説、『拝金』と『成金』があげられる小説におけるゴーストライター起用は、出版業界でもグレーゾーンにあたるらしく、普段ゴーストライター起用隠さない堀江もこれに関しては、口を閉ざしてコメント拒んだ有名人タレント名を借りた本が売れ現状の中で、出版業界のなりふり構わぬマーケティング手法には疑問呈されている。 他人の手借りて制作するという例でいえば、ノンフィクション作品推理小説では取材事実確認といった、いわば下調べ作業データマンの手任せライターアンカーマンとして作品を書くだけといった分業体制取っているケースは多い。例として、松本清張猪瀬直樹の名前が挙げられる本人書いている場合は、ゴーストライターとは言いきれない。また本多勝一は、口述筆記使用していることを公言している。翻訳出版分野においては下訳というかたちで下積み翻訳家先におおまかな翻訳をつくることがよく行われている。特に翻訳者として名前が出るのが、作家タレントなどの著名人である場合には、下訳重要性が増す。 漫画分野では、漫画原作者シナリオライターなどが何らかの理由により、表には名前を出さずストーリー手掛け作品自体漫画家のみの名義出される・あるいはストーリー作りへの低評価原因中位辺り伸び悩む作品へのテコ入れ策として編集部シナリオライター途中参加させるなどの形で、多くストーリー構成の面においてゴーストライター存在噂されことがある編集部サイド担当編集者の強い主導により作品企画進められるスタイル雑誌場合は、キャラクター設定物語の概要のみならずストーリー制作実権をも編集部編集者握ってしまうこともある。このような場合編集部内部ストーリー考案している雑誌スタッフ編集者が、実質的なストーリー担当者となる。そういう場合であっても編集部編集者原作者脚本担当としてクレジットされる例は実際にはあまりなく、多くゴーストライター同様の形態になる。ただし、編集者漫画家自分ストーリー考えた思っているケースもあり、どちらが『原作者』であるかという判断外部からは難しい。両者言い分反す場合には、原稿描いている漫画家言い分に理があるといえるまた、漫画場合アシスタント使って人物以外背景メカなどを描かせるといった分業体制による作画日常的に行われているが、これらに携わるアシスタントらの名前も通常クレジットされない。ただし、最近は浦沢直樹松田奈緒子佐藤秀峰など一部漫画家において、単行本では編集者含めたスタッフ名をすべて表記する流れ見られるレアケースではあるが、文字を書くことが困難、あるいは翻訳作業などが必要な外国出身者が本を出版する際、事実上代筆担当者としてゴーストライター起用される事もある(口述筆記)。この場合には、著者出版社ゴーストライター起用を自ら明かす事もある。著者視覚障害者場合は、述筆記でもなければ多くケース代筆担当者存在し点字などからの変換でも広義の意味代筆該当する作業となることがあるが、代筆担当の名前を出さない場合にはゴーストライター同様の存在になる。 ゴーストライター契約報酬の支払い形態はさまざまであり、著者印税一部をもらう歩合制となることもあれば、原稿料買い切り制のこともある。長嶋茂雄王貞治本の場合には、本人が6でライターが4の印税比率だったという。

※この「出版業界」の解説は、「ゴーストライター」の解説の一部です。
「出版業界」を含む「ゴーストライター」の記事については、「ゴーストライター」の概要を参照ください。

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