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永瀬がプレーオフを制す 11月下旬の注目対局を格言で振り返る

永瀬がプレーオフを制す 11月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年12月10日

 竜王戦七番勝負は互いに先手番を取り続ける流れが続いています。5勝1敗同士のプレーオフとなった王将リーグは、永瀬九段が4期ぶりの挑戦を決めました。

第37期竜王戦七番勝負第5局

【第1図は△7六銀まで】

 第1図は第37期竜王戦七番勝負第5局(▲藤井聡太竜王△佐々木勇気八段)。先手が歩得からじわじわと優位を拡大しています。▲6六歩が「大駒は近付けて受けよ」の好手で、△同馬なら後手の馬が近いため、先手を取って受ける形を作りやすくなります。実戦は△5四馬と変化しますが、▲3三歩成△8六歩▲3二とから強く攻め合って、先手の優位がはっきりしました。快勝で藤井竜王が3勝目をあげています。

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写真:夏芽

ALSOK杯第74期王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフ

【第2図は▲2五飛まで】

 第2図はALSOK杯第74期王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフ(▲西田拓也五段△永瀬拓矢九段)。自玉が安全なまま攻めが続く形で、形勢は後手勝勢です。あとは難しい手は不要で、△2八金▲4八玉△5六桂▲同金△同馬と「寄せは俗手で」と迫ってはっきりしました。△8五飛の補充があるため、△5六桂に▲5七玉が利きません。リーグ戦での借りを返し、永瀬九段が藤井王将と二日制で初対戦となります。

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写真:睡蓮

第45回将棋日本シリーズJTプロ公式戦決勝

【第3図は▲6八銀まで】

 第3図は第45回将棋日本シリーズJTプロ公式戦決勝(▲広瀬章人九段△渡辺明九段)。長い中盤を経て、いよいよ終盤へ入ろうかという局面です。△8六歩▲同歩△同飛が細かいポイントの稼ぎ方。「飛車先交換3つの得あり」で、手を掛ける価値があります。以下▲8七歩△8一飛▲6七銀に△7七桂が8筋の交換を生かす攻め。飛車先が直射し、8五に桂が進める形になったので効果的になっています。以下は押し切って渡辺九段が4度目の優勝を飾りました。

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写真:銀杏

ALSOK杯第74期王将戦挑戦者決定リーグ

【第4図は▲9七同玉まで】

 第4図は王将戦挑戦者決定リーグ(▲広瀬章人九段△西田拓也五段)。千日手指し直しとなった本局。穴熊相手に攻め込んで振り飛車ペースの戦いとなりました。△6三玉が「玉の早逃げ八手の得」で、▲8一角で下段に落とされる形さえ防いでおけば後手玉は寄りません。先述した通り西田五段はプレーオフでは敗れたものの、初参加で5勝1敗は見事な成績です。

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写真:牛蒡

第83期順位戦B級1組

【第5図は▲1八玉まで】

 第5図は第83期順位戦B級1組(▲糸谷哲郎八段△石井健太郎七段)。後手が押し切れるかの終盤戦ですが、△1九金が「玉は下段に落とせ」の妙手。▲同玉なら△1七銀成です。実戦の▲1九同飛も△1七銀成▲同玉△2八角が厳しく、後手の寄せが決まりました。この日が移転前最後の対局日だったため、本局が福島の関西将棋会館で最後まで行われた対局となりました。

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写真:武蔵

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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