タバコの煙に含まれる有害物質を与えた場合と与えていない場合の気道粘液線毛輸送機能を比較した結果を示したものです。有害物質を与えた場合は、有害物質を与えていない場合に比べ、気道粘液線毛輸送機能が低下することがわかりました。
また、このグラフではタバコの煙に含まれる有害物質を注入した場合に清肺湯と他の去痰薬(痰切れをよくする薬)を与えた結果も示しています。清肺湯を一度(初回)与えると、他の去痰薬を同じ条件で与えた場合よりも気道粘液線毛輸送機能が活性化することがわかりました。
次に、タバコの煙に含まれる有害物質によって、気道へダメージを与えた後、8日間連続で投与する実験を行いました。すると、同じ条件で他の去痰薬を続けて与えるよりも、清肺湯を投与した方が高い気道粘液線毛輸送機能の活性効果を得ることができました。
右のグラフは、タバコの煙に含まれる有害物質を注入せずに、清肺湯と他の去痰薬を与えた場合の気道粘液線毛輸送機能の変化を調べた結果です。
清肺湯は、健常な場合でも気道粘液線毛輸送機能を活性化させることがわかりました。
写真を見ると、タバコの煙に含まれる有害物質を注入することで気道線毛上皮細胞が部分的に脱落していることがわかります。そして清肺湯を2週間与えると、脱落した気道線毛上皮細胞が修復されることがわかりました。
※気道液(サラサラ液)とは、肺サーファクタントを含む気管支などを覆う液体のことです。
線毛と一緒に働き、肺に入ってきたごみや異物を肺の外に追い出す役割を果たしています。
清肺湯が、気道液(サラサラ液)の分泌を促進する効果があることが証明されました。気道液の分泌を担っている肺上皮細胞に清肺湯を与えて処理をすると、15分後に、気道液の増加することが確認されました。
さらに、清肺湯を与えてから12時間、24時間と経過しても、通常時より気道液が増加した状態を維持していました。
このことから、清肺湯は即座に気道液の分泌を促進し、その効果は長時間持続されることがわかりました。
- 清肺湯は、喫煙などにより低下した気道の粘液線毛運動を活発すると考えられます。
- 清肺湯は、喫煙などによってダメージを受けた線毛の再生を促すと考えられます。
- 清肺湯は、気道液「サラサラ液」の分泌を促進し、その効果は即座に発揮され、長時間持続されると考えられます。
- 清肺湯は、一般的に使用されることが多い去痰薬(痰切れを良くする薬)と比較しても、優れた気道粘液分泌・線毛運動促進作用があると考えられます。
※AQP5:アクアポリン5
肺上皮細胞の細胞膜上に存在し、気道液の分泌などを調節する水チャネルとして機能する蛋白である。
※本実験はあくまでも一薬理実験の結果であり、必ずしも人体に同様な効果があるとは限りません。
タバコに含まれる有害物質が、気道粘液線毛輸送機能に与える影響と、清肺湯およびその他の去痰薬(痰切れを良くする薬)の効能を比較・検証する目的で行われたものです。