パリ五輪最終日・閉会式(日本時間12日、フランス競技場)第33回夏季オリンピック・パリ大会は11日夜(日本時間12日未明)にパリ郊外サンドニのフランス競技場で閉会式が行われ、17日間の祭典が幕を下ろした。コロナ禍で無観客だった3年前の東京大会と対照的に会場は連日盛況となり、日本は海外開催の五輪で最多となる金メダル20個を獲得する活躍を見せた。サンケイスポーツ取材班の4人の記者が現地で見て、聞いて、感じた思いをつづり、大会を総括した。
有観客で開催された今大会。各会場には連日、大観客が詰めかけた。2016年リオデジャネイロ五輪以来、2大会ぶりに歓声が戻った五輪で観客が作りあげる雰囲気に記者は何度も鳥肌が立った。
21年東京五輪も出場した柔道男子66キロ級の阿部一二三は、連覇達成後に「これが本当のオリンピック」とうなずいた。無観客の東京が初出場で、今回が2度目となる選手の多くが同様の言葉を口にした。
柔道混合団体の決勝、日本-フランスなど、ときに歓声は〝完全アウェー〟の雰囲気を作り、大きな逆風にもなった。それでも、大会最終日の女子マラソンで一山麻緒が「本来だったら苦しいレースだった。だけど、そんな思いをはね返すぐらいの世界中の方からの応援に背中を押された」と、話したように声援は選手に勇気を与え、100%、120%の力を出させた。
日常生活で大きな声を出し、感情をむき出しにすることは、ほぼない。それが、五輪の会場では老若男女が歓声や拍手、ときにはブーイングを送る。それに呼応して選手はさらに躍動する。そんな非日常的の光景が大好きだ。改めて、スポーツに歓声が戻ってよかった。そして、この光景がこれからもずっと続いてほしい。そう感じさせる17日間だった。(山下幸志朗)
■山下 幸志朗(やました・こうしろう) 1994(平成6)年6月19日生まれ、30歳。横浜市出身。2017年入社。18年10月からサッカーを担当し、19年と24年のアジア杯や22年W杯カタール大会を取材した。23年2月から五輪競技担当を兼任。今大会は柔道、サッカー、バレーボールを取材した。趣味はサウナと競馬。