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書評

『人身売買・奴隷・拉致の日本史』渡邊大門著

 前近代の世界で、奴隷はワールドワイドな重要交易品の一つだった。日本でも、朝廷や幕府の禁令にもかかわらず、人身売買は絶えることがなかった。特に横行したのは戦乱で世が荒れた時期である。

 戦国時代、諸大名は他国での乱取り(略奪・人狩り)を雑兵への分け前として公認。西欧商人を通じ、海外にも多数の日本人が売り飛ばされた。それが転機を迎えたのが天下人・豊臣秀吉の登場。秀吉は人身売買を禁止し、朝鮮の役でも乱取りを禁じたが、異国で戦う雑兵たちには全く無視されたのは皮肉だ。気鋭の戦国史研究者による、裏面から見た日本中世史。(柏書房・本体2200円+税)

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