バイオトイレとは
バイオトイレとは、木質材の槽に排泄物を直接投入し、撹拌することで微生物の働きにより分解、処理するもので、コンポスト式バイオトイレと呼ばれます。従来のトイレと異なり、上下水道への接続や、バキュームカーによる汲み取りの必要がなく設置のための工事量が少ないため、下水インフラが整っていない場所への設置や、災害時利用などに適しています。一方で、設置が容易である反面、水洗トイレが使えないため便器が汚れやすく掃除の負担が大きい、槽周辺で虫が繁殖するなどの問題があります。また、排泄物を木質材の槽に貯めるため、定期的な木質材の補充や交換も必要になります。
当社の水循環式自己処理型バイオトイレ「SMilet(スマイレット)™」の特徴
「SMilet(スマイレット)™ 」 は上下水インフラに接続することなく、水洗トイレが利用可能な水循環式自己処理型バイオトイレで、嫌な臭いもなく、清潔で快適に使用することができます。このトイレは水洗トイレと汚水処理槽や貯水槽、蒸発処理槽などで構成され、まず汚水処理槽で微生物の力により、処理水と余剰汚泥に分離します。分離した処理水は、貯水槽内で電気分解処理による殺菌・脱色を施して再利用します。余剰汚泥は杉チップを充填した蒸発処理槽に移送・撹拌し、蒸発処理で減容化します。通常利用において、トイレ排水や余剰水・余剰汚泥の処理は自己完結し、設置時の初期給水以降は、汲取りや給水は不要です※1。
また、SMiletはユニック車(トラッククレーン)のみで積み降ろし、輸送ができる移動式のコンテナトイレです。専門業者による工事なども不要なため、だれでも設置することができます※2。避難所等に常設するだけでなく、災害発生時には被災地にSMiletを移設し、直ぐに利用いただくことも可能です。災害拠点に設置しての平常時利用にも、災害発生時に被災地へSMiletを移設した場合でも、100V電源さえあれば初期給水後すぐに利用いただける、フェーズフリーの防災トイレであり、『いつでも、どこでも、快適な』災害対策トイレとして最適です。
- ※1 : 100回/日程度以下のトイレ使用回数の場合
- ※2 : 建築基準法の建築物となる場合、別途基礎工事等が必要となる場合があります
SMilet(スマイレット)™ 外観イメージ
【SMilet(スマイレット)™ のメリット】
実証実験における主要確認項目
2023年10月より、当社の建設現場で処理能力や室内環境を確認しています。
SMilet(スマイレット)™ 実証実験機
- 『大腸菌の発生なし』
電気分解装置稼働中における「大腸菌検出ゼロ」 - 『不快な臭いなし』
トイレ内、機械室で異常な汚泥臭ゼロ - 『余剰水の溢れなし』
3ヶ月、2千回以上の利用でも汲み取りゼロ - 『洗浄水の不快感なし』
トイレ洗浄水の脱色処理による不快感ゼロ
【参考】使用約6ヶ月後におけるトイレ洗浄水
SDGsへの取組み
SDGsへの取り組みとして、地震などの災害地における活用や、インフラの整っていない途上国への普及なども目指しています。また、国土交通省が推進している建設現場における「快適トイレ」の標準仕様を満たしており、特定非営利活動法人日本トイレ研究所の「快適トイレ」認定を取得しています。建設現場を男女ともに働きやすい環境とする取り組みに寄与すべく、SMilet(スマイレット)™ の普及を進めていく計画です。当社はSMilet(スマイレット)™ の展開を通じて、世界中に安全で快適なトイレを提供するという社会課題に取り組んでいきます。