陸上の日本選手権20キロ競歩が16日、神戸市内で行われ、男子は東京五輪銅メダルの山西利和(29=愛知製鋼)が、1時間16分10秒の世界新記録で4年ぶり3度目の優勝を飾った。
15年の鈴木雄介(富士通)の世界記録を26秒も更新した。
山西の世界記録が生まれたレースは、男子の6位までが派遣設定記録を突破するハイレベルな展開だった。マラソンなどで席巻している高反発の厚底シューズが競歩でも主流となり、日本の選手に浸透した結果だった。
五輪と世界選手権の男子20キロで、日本勢は2022年まで3大会続けて表彰台に上がった。しかし23年世界選手権、昨年のパリ五輪は厚底を履いた海外勢の後塵(こうじん)を拝した。日本陸連の谷井孝行ディレクターは「海外の選手も22年ごろから取り組み始めて、慣れるのに時間を要した。日本の選手もどんどんフィットしてきて、全体の底上げができてきた」と分析する。
常にどちらかの足が接地していなければならない競技特性上、弾みやすい靴を履きこなすのは簡単ではない。苦しんだ山西は、新たなトレーニングも導入して順応。女子日本新を出した藤井らは厚底よりやや薄い「中底タイプ」を選んでいる。
競歩界も新たな局面に突入している。自らの世界記録を塗り替えられた鈴木雄介氏は「時代とシューズに合わせてフォームをつくりあげている印象」と評した。