松重豊(61)主演のテレビ東京系ドラマ「孤独のグルメ」が劇映画化されることが10日、都内で行われた会見で発表された。松重が監督・脚本・主演の全てを務める映画「劇映画 孤独のグルメ」(25年1月10日公開)を製作。松重は自主映画を製作した経験はあるが、商業映画で監督・脚本を務めるのは初めて。テレビ東京開局60周年特別企画「孤独のグルメ」プロジェクトと題し、多彩なキャストを主人公に迎えた、オムニバス形式ドラマ「それぞれの孤独のグルメ」を制作し、10月4日から放送することも決定した。
松重は「Season10が、大きな節目だろうと考えていた。お客さんが増えてアジアでも認知され…これから、どうする? という時、最初のプロデューサーは偉くなって現場に来なくなり、次のプロデューサーはNetflix、その後も辞め…僕に人望がないのか予算がないのか、スタッフがいなくなって」と経緯を説明。「シーズンを重ねてくださいと言われても、立て直さないと、という課題があった。大風呂敷を広げるなら映画、という話になった」と映画化に至った思いを語った。
撮影現場では、主人公の井之頭五郎の格好で「OK」コールをかけるなど監督業も行った。「監督と言っても、現場で五郎がモニタのところにいて確認し『OK』『チェック』と良し悪しを決めている」と説明。そして「俳優になる前に映画監督になりたかったと、40年ぶりに思い出した。演者を支えていく方がメンタルが安定し、楽しかった。いろいろなところにロケに行き、プロデューサーと予算のやりとりをした。面白い。俳優だけじゃ当事者になりきれない寂しさがあった。最初から最後まで関われたのが、僕の財産」と監督業への思いを語った。
撮影は昨年9、10月に行い、1月にも撮影した。内容については「のど元まで出ている内容はあるが、言えない部分もある。物語として1番、大事なのはラブストーリーは絶対入れたい。大冒険ものにしたい。あと、僕等の仕事は社会との絡み…今の社会から照らし合わせるものは反映したいと思い、話を作った」と説明。「どこで映えるか…エッフェル塔、と言ったら『無理、無理』と言われたけど何とかしてくれた。それがクランクイン…フランスから始まる物語。そこに冒険、恋があれば劇映画としていうことがない」とオリンピックの地・パリでクランクインしたことも明かした。
主演として、監督として「映画として面白いものにした。面白くないと言われたら、この世界にいる資格はない。自信を持って面白いものをお届けできる」と胸を張った。「これだけやったというせいかも見届けたい。映画もお客さんが入らず、コケたら五郎をやるのは無理だ」とまで口にした。
ドラマ版も、企画開発から行い、脚本に絡んだ。当初は今年、新シーズンをやらないかと打診があったと言うが「いろいろな職業、年齢、性別の方がおいしい者を食べて、さあ頑張ろうと、いろいろな『職業に焦点当ててやりたいなと。五郎はでオチのようにそこにいて食べている…そういうコンセプトをやりたいのがあった」と明かした。
「孤独のグルメ」は原作・久住昌之氏、作画・谷口ジロー氏のタッグ 輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(いのがしら・ごろう)が、営業先で訪れた土地で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいものを独り自由に食す様子を1話完結で淡々と描く。12年1月に松重主演でテレビ東京系連続ドラマとしてシリーズ化。深夜にひっそりと放送がスタートし、23年のSeason10までシリーズを重ねた。