最近、海外から飛び込んできたニュースには驚かされました。
これまでIT優先の学校授業を先進的に実施してきたスウェーデンが、紙の教科書や鉛筆を使う時間を増やし、タブレットと共に紙の教科書を配布できるように2024年7月から予算措置まで取り始めたというのです。
前回は、世界で進む子どもたちの交流サイト(SNS)利用規制について取り上げましたが、今回も急速なデジタル化の中での注目すべき動きについて、立ち止まって考えたいと思います。
▽「脱デジタル化」による回帰
スウェーデンではすでに2006年、日本より20年近くも前から学習用端末の「1人1台」配備が広がり、デジタル教材による授業への切り替えが進んでいました。しかし、22年10月の政権交代で発足したウルフ・クリステション内閣は、教育現場のデジタル化戦略を凍結し、教材選択の裁量を持つ学校や教員に、紙の教科書が基本の授業へ戻るよう求めたのです。これは、教育の「脱デジタル化」による大胆な回帰と言えるのではないでしょうか。
スウェーデン政府がこのような教育の「脱デジタル化」政策を取り始めた理由の一つとして、IT化による子どもたちの学力低下への懸念が...