その人は、自分のストーリーの先にビジネスがあった。
道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す「起業家たち」の言葉をお届けしてきた連載『仕事論。』シリーズ。3年目となった2024年も、たくさんの起業家を紹介してきました。
インタビューを重ねるごとに意識するようになったのは、それぞれの起業家が持つストーリーやパーソナリティ抜きに、そのビジネスを紐解くことはできない、ということ。
その人の歴史があり、そこで出会った課題があり、やがてその延長線上にビジネスがある。事業について聞いているうちに、その人の根本にあるテーマが浮かび上がってくる、そんな本質に迫るインタビューの機会に、昨年もたくさん恵まれました。
そんな数々のインタビューの中から、新年を迎えるにあたって、あらためて皆さんにお届けしたい珠玉の記事を5本、紹介します。
「記録の再発明をする」プロダクト:kyu 大川優介さん
思い出・記憶のあり方を、プロダクトからもう一度見つめ直す。「記録の再発明をする」をテーマに、カメラやアプリを提供しているのが、イメージングブランドkyu(キュー)の創業者である大川優介(おおかわ ゆうすけ)さん。
元々は動画クリエイターとして個人的に活動していた大川さんですが、それがやがてビジネスになり、動画制作会社を創設。仕事の規模も大きくなり、順風満帆のようにみえるものの、大川さんの中には「本当にこれがやるべきことなのか?」という問いがありました。
そこからkyuでの再出発まで、何度も自らを問い直し「動画を残すことの意味」を純度を高めながら追求した結果が、まったく新しい1つのカメラへと結実します。
日本から世界へ、画期的なプロダクトと新しい記録の形を届けようという、大川さんの熱意がこもったインタビュー、必見です。
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次世代ファミリーコンシェルジュサービス:Yohana 松岡陽子さん
パナソニック執行役員であり、次世代ファミリーコンシェルジュサービス「Yohana(ヨハナ)」を手がけるのが、松岡陽子(まつおか ようこ)さん。
かつてアメリカの「天才賞」マッカーサー・フェローを受賞し、Google Nest社CTO、Google副社長などを歴任するなど、シリコンバレーでの華々しい活躍の経歴を知っていると、「なぜテクノロジーから人中心のサービスへ?」と疑問に思えるかもしれません。
しかし、その根底には『テクノロジーの力で誰もが「なりたい自分」になれるようにサポートすること』という変わらないミッションがあります。
シリコンバレーでの経験、そしてコロナ禍を経て、パナソニック入社・Yohana立ち上げへと至るストーリーには、「変わらないミッションを抱きながら、変化を受け入れ学び続ける」という松岡さんの魅力が詰まっています。
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ドライヤー販売初日で売上1億円突破:cadre 藤巻滉平さん
大手メーカーをはじめ、競合ひしめく家電業界で、新規参入のドライヤーが販売初日で1億円を売り上げる──。
この常識では考えられないような偉業を成し遂げたのが、株式会社cadre(カドレ)の藤巻滉平(ふじまき こうへい)さんです。
小学生のころから「起業家育成合宿」に参加し、大学在学中に複数の事業に同時に着手。「cadreで通算7社目の起業」と語る藤巻さんには、生まれついての起業家ともいうべきストーリーがありました。
起業において「仮説を検証し、合理的に仕組みを組み立てている」という、独自の俯瞰した視点も興味深いインタビューです。
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「自分らしさ」に根ざした求人サイト:JobRainbow 星賢人さん
LGBTQ+の当事者の視点からダイバーシティ求人サイト「JobRainbow(ジョブレインボー」を運営しているのが星賢人(ほし けんと)さん。
かつて、中高校生時代の閉塞的な状況から、インターネットを介して「理解者してくれる人たちもいて、小さな世界を出ていけばつながれる」ということを知り、やがて自身も多様性を受け入れてくれる企業と当事者をつなげる使命へと向かっていきます。
現在は、LGBTQ+のみならず、あまねくすべての人に「他人と違うことは誇りである」というメッセージを届けたい語る星さん。
そのストーリー、そしてビジネスからは「自分らしさ」を肯定していこうという、ポジティブなムードが溢れ出ています。
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もっと「知り合える」デジタル名刺:スタジオプレーリー 坂木茜音さん
デジタル名刺サービス「プレーリーカード」を運営する株式会社スタジオプレーリー共同代表の坂木茜音(さかき あかね)さんは、アートやクリエイティブな世界から起業家としての活動をスタートしたという、この連載でもほかにない経歴の持ち主。
そのキャリアは意外に思えるかもしれませんが、しかしその根底にはアートと共通する「社会への問いかけ」という目線があります。
名刺交換を文化として尊重しつつ、一方で抱えている社会的な課題に対してアプローチし続けたいという坂木さん。
最初は友人へのプレゼントだった1枚のカードが、やがてプロダクトになり、そして作品になっていく──。そんな進化を感じられるインタビューです。
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2025年も新たなビジネス、そして新たなストーリーを届けるべく、取材を続けていきたいと思います。
新年も連載『仕事論。』にご期待ください。
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