約束を守るべきなのは、誰でも知っています。がんばって、約束以上のことしようとする人もいます。ただ、最近の研究によれば、約束以上のことをしても、相手からの評価という点では、約束をただ守っただけの場合とたいして変わらないようです。

カリフォルニア大学サンディエゴ校とシカゴ大学ブース経営大学院が共同で実施したこの研究では、被験者にまず、約束を3つ思い返してもらいました。1つは約束が破られた時のこと、1つは守られた場合、そしてもう1つは約束以上のことをしてもらった場合です。この調査からわかったことの1つ目は、まったく当然の内容でした。被験者たちは、約束を破る人よりも、守る人を高く評価していたのです。ところが、もうひとつ意外なことが明らかになりました。約束以上のことをしてもらった場合でも、相手に対する満足度が増すわけではなかったのです。

次の実験では、被験者に40個のパズルを解くように指示し、1つ解くごとに賞金を払うと伝えました。次に、被験者に協力者を紹介しました。協力者は、きっかり10個のパズルを解くと約束しますが、実際に解くパズルの数は、5個(約束に満たない)、10個(約束どおり)、15個(約束以上)の場合があります。

この実験でも、被験者の喜びの大きさは、協力者が約束どおりにしてくれた場合と、それ以上に手伝ってくれた場合とで、例外なく変わらないことが明らかになりました。研究リーダーのひとりであるNicholas Epley氏は、次のような結論を導き出しました。

「約束した以上のことをするのは、労力を費やすに値する行動ではないかもしれません。約束以上のことをするよりも、約束を守ることに労力を割くほうが良いでしょう。この助言は、ビジネス分野にもあてはまります。企業は、約束した以上のことをしようとするよりも、まずは約束を破らないためにリソースを使うべきです」。

だからといって、約束以上のことをするのが悪いわけではありません。管理された研究室での実験だけでは、この結果があらゆる状況にあてはまるかどうかはわかりません。約束以上のことをするのが、何かを「大事に思っている」と相手に伝える良い方法であるのは確かです。とはいえ、約束をしたら、まずはきちんと実行することに力を注ぎましょう。何よりも大切なのはその点なのです。

Worth Keeping but Not Exceeding: Asymmetric Consequences of Breaking Versus Exceeding Promises|Sage Journals via Science Daily

Patrick Allan(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)

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