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(更新: ORICON NEWS
池田秀一×古谷徹 スペシャル対談『ライバルであり戦友―― シャアとアムロとして37年関わり続けた特殊な関係』

あの『機動戦士ガンダム』の永遠のライバルが、劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』で今ふたたび対峙した。アムロの声を演じた古谷徹が安室透(あむろ とおる)、シャアの池田秀一が赤井秀一(あかい しゅういち)として、10年ぶりの対決シーンが実現。そんなベテラン声優のふたりが、かつての“戦い”と、当たり役を背負っていくことの意義、昨今の若い世代の声優への想いを語り合ってくれた。

他の誰とも味わうことができないバトルの感覚(池田)

――『機動戦士ガンダム』シリーズで共演されていたおふたりが、劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』で安室と赤井として共演することを聞いたときはどう思われましたか?
古谷楽しみで仕方がなかったです。僕が演じる安室……アムロではないですよ(笑)。テレビシリーズで安室は、池田さん演じる赤井との間にかなりの確執があったので、それがどう今回の映画につながるのか、どういう対峙の仕方になるのか、すごく興味深かったです。
池田お待たせしました! と(笑)。これまでにもゲームのキャストとしては古谷さんと名前が並んでいたりするんですけど、別録りだったので。収録で対峙するのは、『機動戦士Zガンダム』劇場版以来、10年ぶりじゃないかな。だから今回の映画では、かなり久しぶりのバトルでしたね。

――おふたりのバトルとなると、燃えるものはありますか?
古谷やはり血が騒ぎますよね。
池田マイクの横で古谷くんが戦っているのを感じるのは、なかなかいいものですよ。これは、他の誰とも味わうことができない感覚なんですよ。
古谷僕は、池田さんをライバルであり、戦友だと思っているんです。37年ものあいだ、『ガンダム』のシャアとアムロとしてずっと関わり続けてきたこの関係は特殊なもの。だからこそ、新しい仕事が来ると、事務所も違うのに池田さんに相談をするんです。すごく頼りになるんですよ。
池田まぁ、人に相談するときは、たいがい結論は出ていて、背中を押してほしいだけですから。失敗したら僕のせいにすればいいと思っているんだろうし(笑)。
古谷そんなことないですよ(笑)。話を聞いていただいて、貴重なアドバイスをいただいたりしています。
――おふたりがお互いを尊敬するところは、どんなところですか?
古谷池田さんは、すごく“楽そう”ですよね(笑)。僕は台本が真っ黒になるまで書き込んでいるんですが、池田さんの台本は真っ白で、何も書き込んでないんです。役作りに関しても、僕は役に合わせて声も芝居も変えて演じないと気が済まないんですが、池田さんは自然に役に入り込んで、一体化してしまう。これはうらやましいところでもあり、尊敬できるところです。
池田そうそう。なかなかここまではなれないですよ(笑)。

――正反対のタイプなんですか?
古谷池田さんは冷静ですね。僕はすぐに熱くなっちゃうから、スポーツでも何でも。やり始めると夢中になって他のことが目に入らなくなるんです。『コナン』でいえば、安室と赤井のタイプにすごく似ていると思います。

――池田さんは、古谷さんに対してどういう想いがありますか?
池田ひとつ古谷くんに対して思うのが、『ガンダム』のアムロも今回の安室も、シャアにも赤井にもかなわないんです。僕は、古谷くんにはいつまでも勝てない……。そこは純粋にいいなって思いますね(笑)。

星飛馬とアムロ…両極端な当たり役が自信につながった(古谷)

――おふたりは今回のようにシャアとアムロに関連付いた作品に出演したりと、看板作品とキャラクターを背負いながら声優を続けられていると思います。まったく違う作品に携わるときなど、そのイメージが足かせになることはありませんでしたか?
古谷足かせと言えば、まず僕は15歳のときに『巨人の星』の星飛馬役をやらせていただいて、その作品が大人気になったことで、すっかり“古谷徹=熱血ヒーロー”というイメージがついてしまったんです。でも、実際の僕はこのタイプではなかったので、「もっと違う役ができるのに!」と、つねに葛藤がありました。それから10年たって、アムロという役に出会い、全く違う役柄を演じられたことで、すごく救われました。なので、僕にとってアムロと出会えたことは、大変な幸運だったんですよ。両極端の役を演じることで自信にもつながりましたしね。
池田僕も、シャアと出会えたことはすごく幸運だったと思います。当時はこんなに話題になるとは思ってもいなかったし、作品も異色だったので、最初は“失敗してもいいからやってみよう”という意気込みで取り組んでいました。当時の僕は行き詰っていて、何をしたら正解なのかわからなくなっていたんです。でも、『ガンダム』に出会ったことで声優としての道が開けました。その後も足かせになるどころか、こうやっていろいろな作品やスタッフと出会わせてくれてもいます。僕にとっては、自分を救ってくれた大事な役。シャアにはすごく感謝をしています。

――37年たったいま、『コナン』の映画におふたりのアムロとシャアを彷彿させるキャラクターが出てくるのも、すごくおもしろいですよね
古谷原作者の青山剛昌先生が『ガンダム』ファンだったことで実現したので、すごく感慨深いです。
池田名前にしても、設定にしても、“ここまでやっちゃっていいの?”って思いましたけど、その思い切りの良さがおもしろさにつながっていますよね。
古谷アムロとシャアを僕たちがやっていたからこそ、安室と赤井をやらせていただけたんだと思いますが、世界が全く違うので、ふたりとも『名探偵コナン』では魅力的な大人として確立してますよね!

――ちなみに、おふたりのなかで『ガンダム』のセリフで印象的なのは何ですか?
古谷やっぱり、「殴ったね!」ですかね。
池田僕は「坊やだからさ」です。……でも、今回の『コナン』でも、コナンのことを“坊や”って呼ぶんですよ。となると、どこかで意識しちゃうんですよね。シチュエーションも役柄も全然違うんだけど、“坊や”って言うと、ついうちの坊や(ガルマ)を思い出しちゃう(笑)。でも、こっちの坊や(コナン)は、裏切らない坊やですから、いい子ですよ(笑)。

――そんな“坊や”であるコナンが今作でも大活躍しますね。
古谷今作では、コナンファンが一番の興味を持っているであろう“黒ずくめの組織”について一歩踏み込んで描かれています。そのなかでの、コナン史上、五本の指に入るイケメンの赤井と安室の直接対決は見ものだと思います。
池田テレビシリーズとはまた異なる今回の話が混線一体となっているので、子どもだけでなく、大人も心から楽しめる作品だと思います。

若い世代へのアドバイスは…“もっと飲んで遊べば?”(古谷)

――最近は声優さんが作品キャラクターに扮してCDリリースする“キャラソン”もファンから支持を得ています。大ベテランのおふたりはいまの声優シーンをどう見ていらっしゃいますか?
古谷すばらしいことだと思います。僕は、キャラクターと声優が連動したそういう活動を応援しています。いまはアイドルも声優も垣根がなく、魅力のある人間だからこそ人気が出るんです。もちろん、すべては作品とファンのためであり、そこで声優になにができるか、なにをやるべきかということですが、チャンスがあるなら何にでもチャレンジして良いと思います。ただ、何をやるにしても、まずは声優としての力量をしっかり持ったうえでやってほしいですけどね。
池田僕も最初にキャラソンが流行していると聞いたときは、一体どんなレベルのものなんだろうと思っていたんですが、実際に活動しているところを見ると、宮野真守くんや水樹奈々ちゃんとか本当にがんばっていました。このふたりのような存在がいれば大丈夫だなって思いますね。
古谷ふたりはもともと音楽畑だし、声優としての力量も申し分なし。彼らくらいのクオリティを見せてくれると、嬉しいですね。
――おふたりからいまのアニメシーンで活躍する若い世代の声優にアドバイスを送るとしたら?
古谷ひと言でいうなら、“もっと飲んで遊べば?”って思います(笑)。
池田今の若い世代は、本当に遊ばないよね。仕事以外での僕らの世代との付き合いもあまりないし……。そういう時代なんですかね。僕らが怖いのかもしれないけど(笑)。でも、コミュニケーションとして、怒られることも大事。怒るというのは、その人に興味があるからすることだから、受け入れることも大事だと思う。だって、おじさんたちはめったに褒めない! むしろ、褒められたら怪しいと思った方がいい。なにか裏があるって(笑)。
古谷気になるから、声をかけるんだしね。僕たちに声をかけられたら一緒に飲みに行ってほしいよね。怒らないから(笑)。
(文:吉田可奈)

名探偵コナン 純黒の悪夢

 ある漆黒の夜、日本警察にスパイが侵入。イギリスの「MI6」、ドイツの「BDN」、アメリカの「CIA」など各国の諜報機関、さらにはFBIの機密データを持ち出そうとするが、間一髪のところで安室透率いる公安が駆け付け、スパイは逃走。高速道路で安室とのデッドヒートを繰り広げ、スパイの車はFBI赤井秀一のライフル弾に撃ち抜かれ、道路の遙か下へ転落する……。
 翌日、コナンたちは、リニューアルしたばかりの東都水族館へ遊びにきていた。そして巨大観覧車の下で、ケガをして独りたたずむ容姿端麗な女性を発見するコナン。見ると、左右の瞳の虹彩色が異なる、通称“オッドアイ”だった……。

監督:静野孔文
出演:高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 池田秀一 古谷徹
2016年4月16日より全国東宝系にて公開
(C)2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
【公式サイト】(外部サイト)

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