エイプリルフールには、どんな意味や由来があるのでしょうか。なぜ嘘をついてもいいの?いつごろ始まった風習?どうして4月1日?午前と午後で違うって本当?この記事では、そんなエイプリルフールのいろんな疑問にお答えします。
エイプリルフールとは?
エイプリルフールとは、4月1日だけは「罪のない嘘やいたずらで笑わせてもいい」という習慣のことです。
日本では「嘘をついてもいい日」とよく言われますが、海外ではエイプリルフールの「嘘」は、ジョーク(joke=冗談)、トリック(trick=いたずら)、プランク(prank=悪ふざけ)という単語で表現されます。ライ(lie=嘘)という言葉はマイナスイメージが強すぎ、あまり使われないようです。
あくまでジョークを仕掛けてみんなで楽しむ日、それがエイプリルフールです。
エイプリルフールの由来
実はエイプリルフールがいつ、どうして始まったのか、確かなことは分かっていません。
ここでは、いくつかの説をご紹介します。
●3世紀までさかのぼるインドの春祭りに、いたずらをし合う風習があり、それがヨーロッパに伝わったという説。インドの春祭りは、色の付いた水や粉をかけ合う「ホーリー祭」の原型でもあるのだとか。
●古代ペルシャ発祥で、今も行われている「シズダベダール」というお祭りが原型という説。「嘘の13日目」といって、春分から数えて13日目である4月1日前後に、いたずらをする習慣があったそうです。
●1564年にフランスで「新年の始まりを1月1日とする」という改暦があったとき、それに反対した人たちが、旧暦のままの4月1日を祝ったのが始まりという説。面白おかしなニセの贈り物をしあったのが原型だとか。
●17世紀にイギリスで行われていた、君主制回復を祝う「オークアップルデー」が起源という説。この日は午前中だけはオークの小枝を身に付けねばならず、身に付けていないと、卵を投げつけられたり、細かいトゲのあるイラクサで叩かれたのだとか。
諸説ありますが、海外の民俗学的な分析では、春の到来を祝うお祭りだと推測されています。
期間限定でルールが取り払われ、ある程度の不正やいたずら、ウソが許される…というのは、世界中で見られるお祭り文化なのだとか。
ちなみに中南米などのスペイン語圏では、新年の到来も近い12月28日に嘘をつく「エル・ディア・デ・ロス・サントス・イノセンテス(聖なる愚か者の日)」という日があるそうですよ。
日本にエイプリルフールはいつからあるの?
日本には、大正時代に欧米から伝わり、広く知られるようになりました。新聞などで欧米の習慣として紹介されていたようです。
また、上述のインド発祥の風習が中国に伝わって「万愚節」になり、それが江戸時代の日本に伝わって「不義理の日」と呼ばれていたという説もあります。
不義理の日は、日ごろご無沙汰をしている人に、手紙などでわびる日だったとか。
エイプリルフールに嘘をつくときの基本ルール
・人を精神的にも肉体的に傷つけない
あくまでユーモアの日であって、全員が楽しい気持ちになることが目的です。終わったときに、関係するすべての人にとって、面白いものであることを目指しましょう。
・財産上の損害を与えない
物を毀損(きそん)しないこと。違法なことが一切行われないのは当然ですね。
・「だまし」を含む
例えば、 “お祭りでいたずらをする”という同様の習慣は、秋のハロウィーンにもあります。
ハロウィーンの場合は、「窓を石けんで洗う」「車に卵を投げる」「トイレットペーパーで家を覆う」など、わりと直接的。
エイプリルフールでは、ちょっとした「だまし」を入れるのがポイント。エッ!?と思わせてから、タネ明かしで噴き出させる…というひねりこそがエイプリルフールなのです。
「嘘は午前中だけ。午後にネタばらし」という風習も
このルールは、英語圏に特有の習慣のようです。嘘は正午までと決められていて、午後に嘘をつくと逆に「エイプリルフール!」と、愚か者扱いされてしまうとか。
上述の、イギリスの「オークアップルデー」で、オークの小枝を身に付けるのは正午までだったことが由来とされています。
その日のうちに種明かしできるという意味では、理にかなっていますね。
世界各国の風習やルールも知りたい!
・フランス
フランス語でエイプリルフールは「ポワソンダブリル(poisson d’avril)」。4月の魚という意味です。
カトリック信徒にとって4月1日は肉食を控える受難節の期間中で、魚がよく贈り物にされていたことからの名前だとか。
魚形の紙をこっそり相手の背中に貼るいたずらをしたり、魚型のパイやムース、お菓子などを作って食べたりします。
・イギリス
「嘘は午前中だけ」というルールがあるイギリス。放送局や新聞社まで大真面目に嘘をつく伝統があるようです。
それが混乱を招かないためにも、午後にはタネ明かしをしてホッとさせるのだとか。
・中国、イスラム圏
中国やイスラム圏では、エイプリルフールという文化がなかったり、禁じられたりしていることもあるようです。
ジョークを言うにも、相手の文化に合わせることが必要ですね。
【記事協力】
よろず堂通信
https://yorozu-do.com/
【記事出典・参考】
The MUSEUM of HOAXES 「April Fool’s Day」
http://hoaxes.org/aprilfool/faq
※この記事は2025年1月8日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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※この記事は2025年1月にじゃらん編集部が更新しました。
ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。