近年、南鳥島周辺の排他的経済水域内にある水深4,000~6,000mの泥質堆積物に、数千ppm以上のレアアースが含まれることが注目され、新たな資源としての可能性が指摘されています。レアアースは、我が国の先端産業にとって不可欠な元素ですが、その供給は特定国の政策の影響を受けやすく、安定的な調達のための新たな供給源の確保が求められています。
我が国の排他的経済水域内のレアアース泥を資源として開発できる可能性が示されれば、レアアースの安定供給に寄与し、先端産業分野の国際競争力の確保や新用途・産業分野の創出にも貢献すると考えられます。
しかし、現状では、レアアース濃集帯の分布状況が不明瞭であること、4,000mを超える深海底からの採泥・揚泥技術が未確立であること、開発時に環境影響の及ぶ範囲が不明であることなど、多くの課題があります。
将来のレアアース資源としてのポテンシャルを検討するため、レアアース泥の賦存状況調査を行いその概略資源量の把握に努めるとともに、将来の開発・生産を念頭に高粘性な物理特性等に対応したレアアース泥の採泥技術や、大水深下からの揚泥技術などについて、広範な技術分野の基礎的調査・研究を行っています。