奇抜すぎるルックスは一見何をするモノか分からず、デザイン先行で作られた製品だと勘違いする人も多いだろう。しかし、パナソニックの“創風機”「Q」の特殊なフォルムは、効率的に風を生み出すための必然であり、技術者が考案したものだった。同製品開発担当の吉田哲也氏に詳しい話を聞いた。
「もともと『Q』の原型は、社内で開催されたプレゼン会議『ヤングワーキング』で2012年頃、技術担当の若手から提案されたものでした。プレゼン段階から実は8割方、現在の製品と同じ形状で、実際に特許を取得した際に提出した図にも既に製品と同じような技術の詳細が書かれています」。
公開されている特許公報を確認すると、同製品に関する特許が出願されたのは2012年7月。当時の設計図と現在(2015年5月発売時)のカタログなどに描かれているイメージ図の仕組みはほぼ同じだ。このことからもフォルムが技術先行であることが分かる。
では、実際にどんな仕組みで「Q」は風を作り出すのだろうか?
仕組みはこうだ。内部のDCモーターの回転により、背面から空気を吸い込み、内側の流路を通って、前方の吹出口から噴出気流を発生させる。前方の気圧が高まることで、本体周辺の気圧は必然的に下がり、その気圧差から周囲の空気が本体内側へと誘引。一旦、内側の空間に集められた空気が一気に押し出されることで、増幅された「ターボ気流」として直進的な風が生み出される。
「実はターボ気流の技術は、以前から社内に存在していました。今回はその技術を新しい方法で実現したことと、そこに低騒音化などを実現する技術を加えたのがポイントです。例えば周囲の穴のサイズや形、流入口を滑らかにするといった細かな工夫を加えて開発を進めました。また、内部の空洞に周囲から誘引された空気が1回集められて溜まり、そこから前方の送風口の穴へと送り出され、ターボ気流となってパワフルに噴出されるのです」
最も気になるところは球体の周囲と前方にある穴だろう。それぞれに最適な風を産み出すための相関関係がある。
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