白い天井ばかりを見つめていた日々。できることは就職情報誌を読み、どのような仕事に就くべきかを模索することくらい。
時間は山ほどある。様々な企業情報を丹念に読み込んでいた。最初は明確な軸はなくノックアウトファクターだけ。
①職場で煙草を吸わない、べたな酒づきあいがない
②異動転勤をかってにさせられない
③年功給・退職金で人を会社に縛り付けず、若手の時から報酬が良い
④学閥がなく実力主義
大手電力会社で高卒ゆえに課長に据え置かれ、転勤族で満足にマイホームから通うこともなかった父親。父の時代は、それしか選択肢がなかったし、ベストだったと思う。だが大学まで入れてもらえたのだから、僕の代は立場を最大に活かすことが親孝行と思っていた。両親共に電力会社を勧めたものの、受ける気はなかった。ノックアウト条件に全て当てはまるから。
条件を適用すると大手メーカー、金融などは選択肢から消えた。僕の大学は金融機関を受ける人間が多かった。だがB級大学の学生はしょせん幹部にはなれず、それは役員陣の出身大学を見ればすぐに分かることだった。体育会の連中は、素直さ、協調性、根性、体力しか求めてないから金融機関に兵隊として迎え入れられるだけなのだ。
誇った体力なんて砂上の楼閣。やりたいことがあるなら先送りは駄目。退屈しないで夢中になれるものを選ばないと命の使い方として勿体ない。
①どのような思考、行動の特徴があるのか、端的に示すエピソードとは何か?
②どのような価値観を持ち、どんな問題意識、関心を持っている人間なのか?
③他人からはどのような人間と言われているのか?
④どのようなキャリアビジョンか
ゼミの友人などからは、シンクタンクが向いていると言われていた。リサーチや考察を立てて意見や質問を良くしていたからだと思う。実際にもそれが合っているとも思え、プロフェッショナルファームに狙いを絞っていたこともあり、だいたい上記の建て付けで自己紹介と志望理由を話していた。
野球部、茶道部、様々なバイト経験。一切アピールしなかった。経営学こそもっとも情熱をもって取り組んだ対象であり、関心の深かった専攻課目、卒論のことを話した。経営コンサルティングは、経営学を実践展開するビジネスと信じていた。
自身の性格の特徴を問われた際、意思決定を一貫性をもって行いたいので、理由を常に明確に言語化したいと考えている・・と話すとグループ面接では、僕の考え方について他の人はどう捉えるのか?となったことがあった。思いを深めた闘病経験について語ると、多くの大人たちの興味や関心をひいた。
ジョブズは、スタンフォード大学でのスピーチで、死を意識することが人生において重大な決断を行うときにもっとも役に立つと述べている。人生で後悔をしないためには、自分が最も欲すること、他者との近いを明確化し、そこに基づいた意思決定をするしかない。それは7つの習慣 その2『終わりを思い描くことから始める』ということ。それが身をもって理解できたとことは大きな財産だったのだろう。