日本初の生体肺移植を成功させるなど、肺移植の第一人者として知られる京都大医学研究科の伊達洋至教授(65)が、3月の定年退職を前に米デューク大へ渡り、引き続き外科医として第一線に立ち続けることが8日までに分かった。大学病院で活躍してきた外科医が定年後も現役を続けるのは異例で、「悩んだが、現場で働き続けられるチャンス」と意気込んでいる。

 伊達さんは、小学3年から4年半を京都市内で暮らした。洛星中1年の夏休みに、岡山県に引っ越した。岡山大医学部に進学し、同大学医学研究科博士課程を修了後、米国留学を経て岡山大病院に戻り、1998年の国内初の生体肺移植手術で執刀を担った。2007年に京大に移ってからは、23年11月に世界初の肺と肝臓の生体同時移植を成功させるなど、めざましい成果を挙げてきた。

 これまでに手がけた脳死肺移植は251件、生体肺移植は世界最多の176件(いずれも昨年12月上旬まで)で、国内での肺移植全体の3割超を占める。

 渡米は迷った末の決断だった。定年を控え、