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育業とは?育休との違いや男性の育児休業を推進する制度・取り組みに関しても解説

公開日:2023/09/13

監修 大柴 良史 社会保険労務士・CFP

育業とは?育休との違いや男性の育児休業を推進する制度・取り組みに関しても解説

働きながら子育てに取り組める環境づくりのために、東京都が進めてきた「こどもスマイルムーブメント」の一環として選ばれた言葉が「育業」です。

政府は2025年までに男性の育児休業取得率30%を目指しています。しかし、2021年時点で民間企業での男性の育児休業取得率は13.97%です。

そんななか、東京都が育児休業制度の新たな愛称として「育業」を発表し話題を集めています。

本記事では、社会に浸透しつつある「育業」に関して、その意味や誕生の背景、育休との違いなどを解説します。

※関連記事
育児休業は男性も取得可能?2022年法改正とあわせて制度の概要を解説

目次

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育業とは?

社会全体で子どもを大切にし、働きながら子育てに取り組める環境づくりのために、東京都が進めてきた「こどもスマイルムーブメント」の一環として、2022年、応募総数8,825件から選ばれた言葉が「育業」です。

育業とは育児休業の愛称で、育児休業につきまとう「休む」イメージを刷新し、子育ては「尊い仕事」との認識や社会全体で応援する気運を高める必要性から決定されました。

育業にはほかにも、子育てには夫婦・周囲の人間・職場の理解・チームワークが重要との意味も込められています。

育児休業が、育児のために仕事を休むものから、育児という大事な仕事に取り組むものへ発想の転換が進めば、望む人が誰でも育児休業を実現できる社会になると期待されています。

育業と育休の違いは?

従来からある「育休」も「育業」も、どちらも育児・介護休業法に定められた育児休業制度を意味しており、愛称が違うだけで内容は同じです。

育児休業制度とは、子が1歳(最長で2歳)になるまで、従業員からの申し出により育児休業を取得できる制度です。父母ともに取得するときは、子が1歳2ヶ月までの1年間に延長されます。

育児・介護休業法の定める子育て支援制度には、ほかにも短時間勤務等の措置や子の看護休暇などもあり、こうした支援全体を育休あるいは育業と呼ぶ場合もあります。

「育業」という言葉が生まれた背景

すでに「育休」が浸透していた育児休業制度に、「育業」との新しい言葉を誕生させた背景には、男性の育児休業取得率の低さがあります。

育児休業の取得率は女性80~90%で推移する一方、男性は2016年頃から右肩上がりに増えているものの、2021年時点で13.97%と女性に比べると極めて低い水準です。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf

政府が目標に掲げる2025年の取得率30%にはまだ遠く及ばない状況ですが、実は希望しながら育児休業を取得できなかった男性社員の割合は37.5%です。育業の概念がさらに広まり、希望している男性がもれなく取得できれば、政府目標の達成も叶うでしょう。

ただし、育児休業の取得期間に目を向けると、女性取得者の95.3%が6ヶ月以上ですが、男性取得者は2週間未満が51.5%と短期間が大半です。短期間で終えた理由として、収入減の不安や職場の理解のなさをあげる人が多いようです。

まだまだ育児休業を取得した男性社員でも、育児のために会社を長く休むことにネガティブなイメージをもっている現状が伺えます。だからこそ「育業」は、「育休」の「休」を払拭する新たな言葉として期待されています。

男性の育業(育休)を促進させる制度や取り組み

現在、男性の育業(育児休業)取得のさらなる促進に向けて、さまざまな制度や取り組みが実施されています。

産後パパ育休(出生時育児休業)

育児休業法の支援制度のひとつとして、2022年10月1日に施行された制度が「産後パパ育休(出生時育児休業)」です。

子どもが生まれたあと、8週間以内に4週間までの休業を2回に分割して取得できる制度で、連続して仕事を休むのが難しい人でも取得しやすい制度です。

また、労使協定が結ばれた場合には、休業中であっても休業中の所定労働日数、所定労働時間の半分までが就労可能とされているため、たとえば半日だけ働くなど部分的に就業もできます。

※関連記事
産休中の社会保険料は免除になる?手続き方法や注意点をわかりやすく解説

育児休業の分割取得

従来の育児休業制度では分割取得はできず、一度休業に入ると復職まで連続して休業する必要がありました。しかし、2022年の改正育児・介護休業法により、従業員からの申し出によって分割して2回、育児休業を取得できるようになりました。

また、1歳以降に育児休業を延長する場合、育児休業の開始日を各々の諸事情にあわせて柔軟に決定できます。さらに、各期間の途中でも、一度だけ夫婦間で交代して育児休業を取得できるようになりました。

たとえば夫婦で取得時期をずらしてそれぞれが分割取得すれば、育児休業を交互での取得も可能です。また、一括取得で長く休職せず、休業の合間にも職場に通う期間を設けられるため、育児休業の終了後に職場復帰がスムーズになると期待されます。

男性従業員の育業取得率の公表義務化

育児・介護休業法の改正により、2023年4月から男性従業員の育業取得率の公表義務化が始まっています。

対象は従業員1,000人超を常時雇用する企業です。常時雇用には、正規・非正規は問われず、契約社員や派遣社員、アルバイトなどの短時間労働者も含まれます。

公表すべき内容は、公表日の属する事業年度の「前事業年度の育児休業等の取得割合」もしくは「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかです。

公表は年1回で、インターネットなど一般の人が閲覧できる方法が義務づけられています。

働くパパママ育業応援奨励金

働くパパママ育業応援奨励金は、東京都による、都内で育業を応援する中小企業などを対象とする制度です。「働くママコース」「働くパパコース」「パパと協力!ママコース」などがあり、育業の取得、育業後の職場復帰や就業継続などの後押しとする目的があります。

たとえば、「働くパパコース」では、男性従業員に合計15日以上の育業をさせ、職場環境整備を行った企業が対象です。

2023年からは「もっとパパコース」が開始しています。複数の男性従業員に育業をさせ、育業しやすい環境を複数整備した企業を対象に奨励金が支給されます。

まとめ

育業とは、東京都が決定した育児休業の新しい愛称です。従来の「育休」にある「仕事を休む」とのネガティブなイメージから、「育業」は「大切で尊い育児に取り組む」イメージへの変化を促すと期待されています。

国や自治体には男性の育業(育児休業)取得を促進させる制度や取り組みもありますが、男性の育業取得率は依然として低い現状があります。従業員の育業取得を促すため、企業として制度や環境の整備を進めることが大切です。

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よくある質問

育業とは?

育業とは、2022年に東京都が決定した育児休業の新しい愛称です。従来からある「育休」と同じく、育児・介護休業法に定められた育児休業制度を意味しています。

育業の概要を詳しく知りたい方は「育業とは?」をご覧ください。

なぜ「育業」という言葉が生まれた?

育休の「休む」のネガティブなイメージを払拭する目的があります。育児は大切で尊い仕事であり、みんなで取り組むチームワークが必要だとの気運を高める意味があります。

「育業」が生まれた背景を詳しく知りたい方は「「育業」という言葉が生まれた背景」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史