組織犯罪処罰法違反の罪などに問われた特定危険指定暴力団「工藤会」の元最高幹部、菊地敬吾被告(52)の控訴審判決が、福岡高裁で言い渡された。
元ナンバー3 一審判決は無期懲役
2011年の夏に行われた「工藤会」の五代目会長継承式。式に姿を見せた紋付袴姿の人物。菊地敬吾被告だ。菊地被告は、2014年から始まった福岡県警のいわゆる『頂上作戦』で逮捕され、組織犯罪処罰法違反などの罪に問われている。総裁の野村悟被告(78)、そして会長の田上不美夫被告(68)に続く「工藤会」の元ナンバー3だ。
この記事の画像(9枚)菊地被告は「工藤会」の総裁、野村悟被告の意思決定の下で実行された「元警部銃撃事件」(2012年)「看護師刺傷事件」(2013年)「歯科医師刺傷事件」(2014年)の3つの事件のほか、暴力団排除の標章を掲げた飲食店の女性経営者の顔が切り付けられるなどした事件に関わった。
一審では全面無罪を主張したが2023年、福岡地裁は、菊地被告が6つの事件に関与したと認定し無期懲役の判決を言い渡した。
控訴審では全面無罪主張を一転
菊地被告はこれを不服として控訴。しかし2023年9月から一審で死刑判決を受けた「工藤会」総裁の野村被告と無期懲役の判決を受けた会長の田上被告の控訴審が始まり、田上被告は、それまでの無罪主張を一転した。
看護師の女性が襲われた事件と歯科医師の男性が襲われた事件について「菊地被告に犯行を指示した」と主張を変えたのだ。
さらに弁護側は、元警部銃撃事件については「菊池被告が、個人的な恨みから、独断で配下たちに犯行を指示した」とした。
そうしたなか、菊地被告も控訴審で田上被告に合わせるかのように全面無罪主張を一転。弁護側は3つの事件について一審とは異なり「菊地被告が関与した」と主張を変更したのだ。
2024年2月の控訴審。被告人質問で、弁護側からの「どうして今まで話さなかったんですか?」という問いに「工藤会の活動としてのことなので、私が認めて話すことで迷惑がかかると思っていたからです」と証言した菊地被告。関与を認めた3つの事件について「殺意はなかった」と主張した。
一方、検察側は「供述は全く信用できない」として控訴棄却を求め結審した。
「主文、本件控訴を棄却する」
2025年1月23日に行われた菊地被告の控訴審判決公判。福岡高裁の市川太志裁判長は、元警部銃撃など3つの事件について菊地被告が、田上被告の証言の変遷に伴って主張を変更したことなどに触れ「菊地被告の証言は信用性が乏しい」などととして控訴を棄却した。
閉廷後、大きく深呼吸して法廷を後にした菊地被告。弁護側によると菊地被告は判決を「承服できない」と話していたといい、上告する方針だという。
(テレビ西日本)